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愛染娘をもう一度!


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一年でいちばん寒い時期に夏祭りの話で恐縮です(笑)
天神祭、住吉祭と並んで「大阪三大夏祭り」のひとつに数えられる愛染祭について、です。

スケールでいうと、愛染祭よりもいくたま祭の方が「三大」に相応しいようにも思えるのですが
むかしから「大阪の夏祭りは染さんにはじまり、吉さんで終わる」とされ
語呂合わせで「あい()すみ()ません」などと言い慣らされていたそうですから
この3つの組み合わせは、大阪の人々の暮らしや情緒に深く染みついたものだったのでしょう。

ところが2年まえ、この祭りは参拝者、というか若者の迷惑行為に近隣住民からクレームが出て
宝恵駕籠パレード、愛染娘の募集、屋台出店が中止。 規模を大幅縮小しておこなわれました。
昨年は、公募ではなく関係者の紹介などで愛染娘さんが4名選ばれ
境内のみで恒例の「駕籠上げ」などもおこなわれたようですが
理由が理由だけに、かつてのような華やかなパレードの復活は困難かもしれませんね。




 
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愛染さんは、江戸時代よりとくに商人や芸妓たちに篤く信仰されていたそうです。
いったい何の紋日がよくわかりませんが、祭りの当日は色街の大紋日にあたるとされ
盛装した芸妓さんたちが、こぞって駕籠に乗って参詣するのが浪速の風物詩であったとか・・・

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芸妓さんの数が少なくなって、その風情が失われていくことを惜しみ、1998年(平成10年)より
一般公募から選考された「愛染娘」数十名が「宝恵駕篭パレード」などをおこなうようになったそうです。

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だから「あんなものは浪速の情緒とは無関係」とおっしゃる向きもあるでしょうし
近隣住民からのクレームを受けて、あっさりと中止になったのも
そういった経緯と無関係ではないかもしれません。 それにしても惜しいことです。

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「関西でいちばん早い夏祭り」として知られる兵庫県西宮市の「おこしや祭り」には
この日から浴衣を着初める、というような風習があったそうです。 
浪速のいとさんたちにとっても、夏祭りの魁となる「愛染祭」は浴衣をおろす特別な日。

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和服が普段着でなくなった現代は、この日の意味合いは、むかしと同じではありませんが
「おこしや祭り」には「びわ娘」という女子大生 「愛染まつり」には「愛染娘」たちが
浴衣姿で行列することで、ありし日の華やかな情趣を偲ぶ人も少なくなかったのでは。

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浪速の情緒などと、もっともらしいことを言うが、たんに、べっぴんさんが見たいだけではないのか?

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そう問われれば・・・まあ、正解です(笑)

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ただ、情緒なんていうものは、即自的に存在するものではなく、何かを通してしか醸されないものじゃないでしょうか。

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その何か・・・浴衣姿のぺっぴんさんもそうですし、たとえば祭り提灯。

蝋燭に灯された行燈がLEDに取って代わられると、ある種の情緒は失われていまうのかもしれません。 
あくまでも蝋燭に拘るのもひとつの見識ですけれど、蝋燭だって、かつてはたいへん高価なもので
これをふんだんに使用できるのは、よっぽど経済的に富裕な地域に限られていたはずです。
伝統的につかわれつづけてきたといっても、ある時代に導入されたものにはちがいありません。

事程作用に、伝統というのはただ守り伝える、というだけのものではなく
世情の移り変わりによって更新されつづけられる、ということなのだろうと思います。

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ですから、かつて「浴衣祭り」とも呼ばれたこの祭りの
ある種の情緒を引き継いでいる愛染娘さんは、ぜひとも復活してもらわなければならないのです。

Commented by noboru-xp at 2020-01-23 06:28
びっぴんさんあっての祭りですね。
ただ迷惑行為で縮小されるのは残念ですね。
Commented by dendoroubik at 2020-01-23 08:27
☆のぼるさん

そうなんですよね~~
共同体のお祭りだと 見物人が多くても秩序が保たれるもんですけど
そういうものから ちょっと離れた祭りになってしまってるのかもしれませんね
とはいえ このまま縮小していくのも いかにも惜しいです
Commented by kurisutaraizu at 2020-01-24 18:04
綺麗な女性が「宝恵かご」の中から手を振られたら
私だって羽目外したくもなります お祭りですもの
(無秩序になっては困りますが)

ここで一時クールダウンし再出発されるのも妙案かと❕

Commented by dendoroubik at 2020-01-24 19:52
☆kurisutaraizuさん

再出発してほしい というのは僕も同感です
規模が縮小したとき たしかご住職が 信仰の原点に立ち返るいい機会
みたいなことおっしゃってた と記憶しますが
信仰と浪速の情緒が共存できる道を探ってほしいな と思います
Commented by ruolin0401 at 2020-01-25 18:27
こんばんは
大阪に住んでいましたが
このお祭りは知りませんでした。
可愛い子ちゃんがみなさんカメラ目線で微笑んでいますね。
カメラマン冥利とでも言いましょうか・・・良いですね。
Commented by dendoroubik at 2020-01-26 08:25
☆素浪人さん

天神祭なんかにくらべたら やっぱり扱いは小さいですね
大阪以外の関西人にも それほど知名度は高くないかもしれません

器量や愛嬌だけでなく オモロイことが言える
というのが審査の基準になってる(?)のが大阪らしくて好きです
「趣味はギョーザの食べ歩きです」
なんて自己紹介する若い女の子は 東京にはあまりいないのでは?(笑)
by dendoroubik | 2020-01-23 05:00 | ◆摂津の祭 | Trackback | Comments(6)