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市川海老蔵展

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来年5月の十三代目市川團十郎白猿襲名を記念して開催された「市川海老蔵展」 
海老蔵としての、おそらく最後の展覧会(京都高島屋)になるかと思われます。




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いうまでもなく、市川團十郎は歌舞伎役者の名跡の最高峰。

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そして市川宗家のお家芸といえば「歌舞伎十八番」。 天保3年、七代目團十郎が
初代・二代目・四代目によって初演されたものの中から選定し、受け継がれてきたもの。
・・・と、解説には書かれてますね。 『勧進帳』とかはちがいますけれど。

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「歌舞伎十八番」のなかでも上演回数の多い人気演目は『助六』『勧進帳』ついで『暫』ですが
海老蔵は、あまり上演されない演目にも積極的に取り組んでいることはよく知られていますね。

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海老蔵自身や歴代の團十郎が演じた十八番の写真、衣装などが展示されていました。

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そういえば、地歌舞伎では十八番は、それほど頻繁に上演されているわけではありません。
『助六』なんか、演りそうなものですが、僕が観たのは『鳴神』『勧進帳』だけです。 
それらも、異例な上演といえるものでした。 とくに弁慶なんて、難役中の難役ですからね。

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30年にわたって、石川県小松市の子どもたちに『勧進帳』を指導していた十二世團十郎は
はじめて「小松お旅まつり」で子ども歌舞伎を見たときのことを、こんな風に書いています。

  実際の舞台を拝見し、旨い下手ではなく、町衆の熱意に支えられて無邪気に演ずる子供役者たちも
  無事に終わるようにと念じながら舞台に食い入りヤンヤの喝采を送る町の人々も両方が輝いて見え、目頭が熱くなるのを覚えた。
  改めて歌舞を生業とする者として、この光景を焼き付けておかねばならない、と肝に銘じた。

(写真は今年の長浜孔雀山の『勧進帳』です)

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娘の市川ぼたんさんはインタビューのなかで
「父は『勧進帳』のご当地、安宅で弁慶を勤めたいという夢をもっていた」と語っていましたが
3年まえ、安宅の海岸沿いに設えられた舞台で、海老蔵が弁慶を演じています。
富樫は中村獅童・・・見たかったなあ。

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幼少からの厳しい稽古、家柄と伝統という重圧に耐えきれずハネ返っていた自分が
立ち直って、歌舞伎に向き合えた契機は、偶然目にした『勧進帳』のフィルムで
弁慶を勤める祖父、十一世目市川團十郎の芸の美しさに心底感動したこと、とどこかで語っていたのを覚えています。

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「白猿」という謙譲にも、その感銘が残響しているようです。

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海老蔵と勸玄くん、十二世と十一世團十郎、十世の海老蔵の光源氏、幼少期の海老蔵

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成田屋360年の歴史、歌舞伎十八番といったテーマがつづき
最後は、これからのこと、家族のことなど、インタビューフィルムを交えての展示になります。

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Commented by mami-2013 at 2019-12-27 10:23
こんにちは。
舞いをするので興味深く見せていただきました。
近ければ見に行きたいイベントです。
gejidejiさんの解説があるから魅力が倍増するのでしょうか。
来年も楽しみにしています。
Commented by dendoroubik at 2019-12-27 12:56
☆mamiさん

フラメンコなどをされるのですね 素敵ですね!

子供の頃 西川きよしさん司会の『素人名人会』などで日舞なんかを見て
(古いTV番組ですので ご存知ないでしょうけれど ^-^;)
なんて古臭くて退屈なんだ!と思ってたのに
近頃は 伝統芸能にてとも魅力を感じるようになりました
ロック少年が 神社で雅楽を聞いて陶然となるなんて(笑)

来年も よろしくお願いします
よいお年をお迎えください!
Commented by mami-2013 at 2019-12-27 19:24
フラメンコも好きで習っていましたが
父の跡を継ぐため
今は剣詩舞をやっています。
未熟ながら今年の春、二代目を継承しました。
gejidejiさんのブログで日舞や歌舞伎以外にも
日本には古の昔から脈々と舞い伝えられている
その土地ならではの伝統文化が数多く存在することを
知りました。
gijidejiさんの解説によりとても勉強になりました。
Commented by dendoroubik at 2019-12-27 20:18
☆maniさん

TVでしか見たことがないのですが
剣詩舞って 扇とか刀とか持って舞うものですよね?
あれはカッコいいなと思ってました
今年の春に継承されたとの由 おめでとうございます!

民俗芸能やお祭りなど ほんの僅かしか知りませんが
それでも 訪ねると 日本の奥深さや美しさを垣間見る思いです
「美しい国 日本」とおっしゃってる方が感じておられる美しさとは
ずいぶんとちがう美しさかもしれませんけれど(^-^;
by dendoroubik | 2019-12-26 18:38 | 番外編 | Trackback | Comments(4)