おわら風の盆 2019 プロローグ

令和最初のおわら風の盆です。

夜流しの闇のなか、雪洞の灯りよく馴染む地が淡い朱の衣装に折り鶴の柄を染めた東新町の浴衣。

１年ぶりに見る衣装は記憶にある色合いとは異なり、他の多くの支部に似て、ピンクがかっているよう・・・

・・・と思ったら、やっぱり新調されたのですね（笑）

新調されたものとそうでないものに、ちょっと色のバラつき・・・

踊りや歌舞伎なんかを織り込んだ祭りで、幕間に演者が軽く身振りや唄やセリフを練習

・・・というか、おさらいをするシーンなんかをよく目にすることがあります。

とてもほっこりとした気持ちになります。

何によらず「舞台裏」というのはおもしろいものですけれど、大切なのは「本番」ですから

奇を衒うために楽屋落ちに終始するような視点には、ちょっと共感しかねるところがあります。

本番に賭ける意気込みというか、熱量のようなものが垣間見られるから「舞台裏」がおもしろいのであって

その前提が欠けているものに共感できないということでしょう。　敬意や愛情が欠けているように感じられて。

祭りの面白さは、衣装や装飾の豪華さ、珍しさなどもさることながら

これを執りおこなう人々の心意気や情熱の強度によって決定づけられるものだと思います。

「おわら風の盆」は狭義の「祭り」ではありませんが

この強度に並々ならぬものがあり、なによりもそこに惹きつけられます。

威勢のいいだんじりや神輿祭りではなく、その熱量の向かう先が情緒連綿とした民謡

・・・というところが特異です。　老若男女が３日間夜を明かして美に傾斜してゆく様に

「幻想的」という凡庸な表現しか思い浮かばない自分の表現力のなさがもどかしくなります。

〽背なに折鶴　浴衣に染めて　祝う令和の　オワラ　風の盆