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出町子供歌舞伎曳山まつり 2019 その3「義経千本桜 道行初音の旅 吉野山の場」後篇

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 あへなき最後はもののふの 忠臣義士の名を残す 
     思ひ出づるも涙にて 袖はかはかぬ筒井筒・・・

静御前と忠信が、忠信の兄、継信の屋島の戦いでの最期を再現します。




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その矢先にまわる者で射落とされないものはなかったという王城一の強弓精兵、平教経。 
源氏の大将義経を射落とそうとしますが、一騎当千の兵たちもそうはさせじと矢面に。

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「そこを退け、雑魚ども‼」と言うや、さんざんに射て10騎を射落とし
次の一矢があわや命中と思われたそのとき咄嗟に義経のまえに前に躍り出た佐藤継信。
弓手の肩から馬手の脇へと射抜かれて落馬。

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「源平の合戦に奥州の佐藤三郎兵衛継信が主に代わって討たれたなどと
 末代までの物語に語られることこそ、今生の面目、冥途の思い出」
 そう語って継信は息絶えます。

義経が鎧の袖を顔に押し当てさめざめと泣き
継信を手厚く供養させるのを見た忠信をはじめとする郎党たち。
「この主君のためなら命を失うことは露塵ほども惜しくはない」
涙ながらに、そう思わない者はいなかったという・・・


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・・・と、こんなイイ話のあとに登場するのは、ただ笑わせるためだけに出て来るような
鎌倉方の追手、逸見藤太とその手下の四天王(といっても、ここでは一人だけ)です。

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藤太「ヤレ来いやい」 花四天「はー」 藤太「待て」 花四天「ねい」 藤太「待て」 花四天「ねい」
藤太「待て 待て 待て 家来ども ヤアイ」 花四天「はー」 藤太「とかく 軍というものは」花四天「ねい」

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臆病で決断力がないくせにプライドだけ高く部下に対して横柄な、義経とは正反対な、どこにでもいるリーダーです(笑)

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しかし、それも致し方ありません。 

義経には弁慶や忠信のような屈強な手下がついています。
逸見藤太もそういった連中には適わないことをわかっています。
「オレは忠信よりもちょっと弱い」と。 ちょっとだけ(笑)

花四天に偵察をさせます。

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どうやら忠信がいるらしい。

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このふたりの幼い男の子は、この場面の可笑しさをとても巧みに演じていました。

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星満々たりと言えど、月の光に勝つことあたわず、ならば手柄にからめて見よえ

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さきほど物語した屋島の戦とはえらいちがいです(笑)

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手もなく忠信に打ち負かされてしまいます。


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挙句の果てに道行のお見送り(笑)

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静御前を先に立たせた忠信は・・・

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キツネの姿に戻って・・・

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恋しい父母のあとを慕ってゆきます・・・

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見ているうちに、ふと今年の1月に亡くなった作家の橋本治のことを思い出しました。

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『義経千本桜』という長い物語は、安徳天皇を擁した平家一門が海中に没した年
元暦2年の夏、旧暦6月からはじまり、翌年やっと梅の花が咲きはじめたころに終わります。

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つまり、本文では桜の咲く季節の話ではないのですね。

でも、歌舞伎で満開の桜がフィーチャーされるのは「舞台上の演出」によるもので
われわれのような凡人はせいぜいそのことを指摘して知ったかぶりするくらいが関の山です。

・・・が橋本治はちがいました。

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  現実の桜はないが、理念としての桜はある。これが『義経千本桜』である。
  つまり、ここには『満開の桜』とイコールになりうる『観念の桜』がある。 それは何か? 
  言うまでもない、源義経そのものである。『義経千本桜』は、実は『義経=千本桜』なのである。

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こんなにケレン味たっぷりに、なるほどと思わせる解説をしてくれる人は他にいません。
たしかにこの物語のなかで義経は主役ではなくて桜のような傍観者というか狂言まわしで
それぞれの段で主人公たちが奏でるのは、親子の情愛のやるせない旋律です。

そんなことを教えてくれる人はもういません。

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by dendoroubik | 2019-05-13 05:00 | ◇出町子供歌舞伎曳山まつり | Trackback | Comments(0)