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ぼんのこへんのこ祭

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8年まえに、いちど見た祭りの再訪です。

そのときから変わったことはいくつかあるのですが、いちばん大きな変化は
午後2時からの祭典が午前9時からに繰り上げになったこと。
子どもたちが1時間ほど炎天下を練り歩く神事ですので、体調を考慮してのことでしょうけれど
繰り上げしてでも、必ずやらなければならないお祭りなのです。 もちろん雨天でも決行。
なぜなら、この祭りを中断して火事がおこったことは一度や二度ではないのだそうです。




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大きな茅の輪に、御幣と長さ60センチほどの木製ペニス、そして串刺しにした茄子2ケ。
このヴィジュアルのインパクトと「ぼんのこへんのこ祭」(通称ではなく正式な祭事の名称)
という奇妙な語感をもって、この祭りは規模にくらべてとても知名度が高いように思います。

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松尾神社(滋賀県湖南市甲西町平松)境内摂社「三宝大荒神神社」のお祭りです。
「三宝」(仏法僧)という名前からもわかるように、仏教の神様。
神仏習合の名残りを留める行事でもあり隣接する南照寺のご住職も参列します。

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不浄を厭離しこれを取り除く火の神で
もっとも清浄な場所とされる竈(台所)の神として信仰されることが多いといいます。
祠の脇には、滋賀県の神社でよく見かける竈もありました。

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火防の神といえば愛宕権現ですが、こちらも向かいに祀られています。

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祭典終了後、子どもたちが茅の輪を担ぎ練り歩きがはじまります。
8年まえとくらべ、子どもの数も半数ほどに減っており
出立まえと神社へ還ってきてから拝殿を3周まわることもカットされていました。

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ぼんのこ へんのこ 作右衛門のナスビやーい

練り歩くとき子どもたちが囃すこのことば(唄)も奇妙です。

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ます最初に、集落の西の結界、家棟川沿いの常夜灯下で修祓。

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いったいこの奇妙な茅の輪と囃子ことばが何を表しているのか
両者にどういう関係があるのか、あるいはないのか、ということはわかりません。

一般的な解釈によると「ぼんのこ」は煩悩。 
「へんのこ」は男性性器を表す古語「へのこ」のことといわれます。

この日、お会いした『日吉山王祭』の著者・山口氏によると、2ケの茄子は睾丸を表すということでした。
そういわれれば、そんな風にも見えますが、8年まえの写真を見返すと茄子は3ケ(笑)
また、氏によると、茅の輪に茄子をつけるのはこの祭りだけでなく
同日行われる東近江市葛巻の行事でも見られるということでした。

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茄子は睾丸だとしても、作右衛門とはいったい誰のことでしょう?
一説によると、応永6(1399)年に焼失した神社を再興した人とも
松尾神社に三宝大荒神を摂社として祀り「ぼんのこへんのこ祭」を興した人ともいわれるそうです。
(あるいは、同一人物とも)

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でも、そんな殊勝な人物に向かって「作右衛門のナスビやーい」と囃すというのも面妖です(笑)

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この日(7月31日)滋賀県湖南地方を中心に、茅の輪行事が盛んにおこなわれています。
山口氏によると、先述の祭事では、同じように茅の輪を子どもたちが運搬するとのこと。
神社に据え付けこれを潜ることによって半年間の穢れを祓うのが一般的ですが
茅の輪を持って練り歩くことで集落の穢れを集め、祓うという意味があるのでしょうか。

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わずかに2、3軒だけでしたけれど、玄関先で茅の輪を出迎えるお宅もありました。

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茅の輪を、生命力の象徴として女性器に喩えることも、それほど突飛な説ではありません。
これに「へんのこ」を取り付けて和合させることで、五穀豊穣を祈念する、という意味があるのかもしれません。

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集落の東の結界、商店の軒先でも修祓。 つぎにお旅所へ向かいます。

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この神事がわかりにくいのは、夏越の大祓(茅の輪)と五穀豊穣への祈り(茅の輪とへんのこ)
火伏祈願(三宝荒神)の、3つの神事が輻輳していることによるのだろうと思います。
歴史的に、さまざまな要素が追加されてきた、ということかもしれません。

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御旅所で修祓。 このあと神社へ還ります。

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それにしても、一見シンプルに見えて、とても複雑でわかりにくいところのあるお祭りです。

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どんな祭りでも「これは夏越の大祓です」とか「五穀豊穣を祈る祭りです」「火伏の祭りです」
といった解説を聞いて、わかったつもりになっているだけで、間違いではないとしても
それはその祭りのある一面を言い表しているだけ、ということは往々にしてあるのだろうと思います。

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しっくり納得できる解説がすなわち正解ということでもないのでしょう。

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謎の作右衛門のナスビがとりはずされました(笑)

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茅の輪は8の字にひねって三宝大荒神社の背後へ・・・集落の穢れを祓い封じ込めるように投げ捨てられます。

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Commented by nararanran at 2018-08-03 21:09
日本民族文化は面白いですね。
ときどき、古本屋さんで
日本民族文化や習慣関連の面白い本を見たり買ったりしていますが。
キリがないです・・・。
しかもお値段が年々あがって元の値段の数倍にもなってたり・・。
Commented by dendoroubik at 2018-08-03 22:40
☆らんさん

あっ! 僕もそういった本 よく買ってしまいます
たしかにキリがなくて 
知らないことばかりで落胆するか  
知ってることばかりで辟易するかのどちらかです
本って高価いですけど 食べ物にくらべて
賞味時間で割つたら 割安かもしれないですね
食べ物より 満足の確率は格段に低いですけど(^o^;
Commented by tora003 at 2018-08-04 15:18 x
長年にわたり使い込まれ、ひび割れも見受けられる一物ですが萎えてませんね。 出来る事なら見習いたい・・・
Commented by u-Brigand at 2018-08-04 17:34
風の盆も近づいてきました、行かれますか。
1泊だけ行きます。
Commented by dendoroubik at 2018-08-04 17:44
☆toraさん

江戸時代から使い込まれたへのこ
隆々と黒光りしておりました(笑)

今年も よさこい 阿波踊り巡礼でしょうか
酷暑の折 じゅうぶん体調管理に留意くださいませ!
Commented by dendoroubik at 2018-08-04 17:47
☆いちやどさん

今年は1~2日のみ 
3日は公式行事まででいれるかどうかといったところです
例年のことながら 台風が心配ですね・・・
Commented by tad64 at 2018-08-05 16:33
ぼんのこへんのこ祭 って名前も変わっているけど、本当にへんなお祭りなんですね。
でも中止したら火事が起きた実績があるなんて・・・そりゃ止めるなんて出来ませんね!!
Commented by dendoroubik at 2018-08-06 12:56
☆タッドさん

再建した神社が再び火災にあったことからはじまった祭り
といわれ 江戸時代に中断した際には民家で火災
昭和にも都合でおこなわった年に火災があったといいます
たまたまだったとしても やめるわけにはいかないですね
でも この祭りの どこかゆる~い雰囲気が好きです
by dendoroubik | 2018-08-03 20:44 | ◆近江の祭 湖南 | Trackback | Comments(8)