垂井曳山祭 その4 「恋飛脚大和往来 封印切」

c0196076_19164244.jpg


2013年、滋賀県長浜市の市民歌舞伎「長濱ゆう歌舞伎」で『恋飛脚大和往来』のうち
単独で上演されることの多い「封印切」と「新口村」が通し狂言で上演されたそうです。

そのときの振付、岩井小紫氏によって今年、長浜曳山まつりで「新口村」が上演されましたが
それから1ケ月も経たないうちに、お隣り岐阜県の垂井曳山祭で
小紫氏のお弟子さん、小紫八氏振付による「封印切」が上演されました。
物語の順序は逆ですけれど、記憶冷めやらぬうちに見ることができて感激です。

まったくタイプの違う梅川忠兵衛ながら、どちらも甲乙つけがたいほどすばらしく
できることなら、どこかでつづけて観ることができぬかと夢想してしまいました・・・




c0196076_05183067.jpg

井筒屋に、槌屋治右衛門がやってきます。
梅川と恋仲の飛脚屋の養子忠兵衛が、身受けの手付五十両は払ったものの
その後、支払いがなく、期限が昨日で切れてしまったことを告げに来たのです。

c0196076_05183084.jpg

忠兵衛の友達、丹波屋八衛門からの身受けの話を持ち掛けますが・・・

c0196076_05443705.jpg

槌屋さんも忠兵衛との仲はご存じのはず。 身受金はなんとかなさるでしょうからしばらくご猶予を
・・・そう訴える梅川の頼みを、忠兵衛のことを目にかけている治右衛門も承諾します。

c0196076_05183043.jpg


c0196076_05183177.jpg

そこへやって来たのは、身受金を懐にした丹波屋八右衛門。

c0196076_05192657.jpg

忠兵衛に身受けさす、という治右衛門の言葉に逆上した八右衛門は
あいつは大和の水吞百姓の倅だの、貸した金を返さないやつだの、散々に忠兵衛の悪口を並べます。
あいつにそんな大金が用意できるのは、首が胴から離れるようなことを仕出かしたときや。

c0196076_05192674.jpg

忠兵衛さんは器量もええし、気前もええ、おまけに仕事も遣り手。 あんたとはまるでちがう。
廓の女たちにも忠さん忠さんと人気者。 近ごろは、台所のネズミまでチューチューと(笑)

c0196076_05192784.jpg

ニャーニャー鳴くネズミがおるもんか、と息巻いた八右衛門はさらに忠兵衛の悪口を捲し立てます。

c0196076_05192705.jpg

陰で聞いていた忠兵衛が堪らず飛び出してきます。

c0196076_05192770.jpg

ようもそんなけ悪口言うてくれたな。 
大和の百姓言うても、親爺様は大地主。 今日も、小遣いや言うて金を送ってくれはったとこや。

c0196076_05192753.jpg

それになんや。 貸した金返さへんって、ちゃんと返したやないか。

c0196076_05202757.jpg

忠兵衛と八右衛門の立て板に水の上方ことばの応報が見事でした。

c0196076_05202771.jpg

八右衛門の挑発に乗って、金ならあるわと懐から取り出したのは、お屋敷に届けるはずの封印した小判。
どうせ石ころかなんかが入ってるんやろ。 火鉢に当ててみ。 ほんまの小判はこんな音がすんのや。

c0196076_05202746.jpg

おまえの小判はなんか音がちがう、と難癖をつけられた忠兵衛。 心の糸がプツリと切れます。

c0196076_05213256.jpg

ほら見てみ・・・と懐で封印を切り、小判をバラまく鬼気迫る名演技!

c0196076_05213312.jpg

忠兵衛にそんな金が用意できるはずのないことを知っている八右衛門です。
とんでもないことを仕出かしたにちがいないと、怖ろしさに身震いします。

c0196076_05213369.jpg

胴から首が離れんように気いつけや。 

c0196076_05213376.jpg


c0196076_05213328.jpg

いまさら言うても栓無いやろけどな。

c0196076_05213400.jpg

封印を切って公金に手をつけたからには、もはや死罪は免れぬ忠兵衛です。
梅川を見受けし、茶屋遊びのツケやご祝儀を払って今夜のうちに出発したいと・・・

c0196076_05222909.jpg

梅川が廓の大門の外へ出られるよう、おえんを鑑札の手配にやらせます。
ふたりになると、忠兵衛は梅川に、この金が実は公金であることを打ち明けます。

c0196076_05222928.jpg

いっしょに死んでくれるか。 この首は、もう胴体についてないのや・・・

c0196076_06083950.jpg

最初は驚いていた梅川ですが、短い間でも夫婦でいられれば・・・と覚悟を決めます。

c0196076_05223010.jpg

死んでくれとはもったいない、わしゃ礼言うて死にますわいな

c0196076_05232800.jpg

鑑札が整い・・・

c0196076_05232840.jpg

おえんに見送られ、死出の旅路へ赴く 梅川、忠兵衛・・・

c0196076_05232953.jpg
                               



トラックバックURL : https://gejideji.exblog.jp/tb/29474005
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by tora003 at 2018-05-18 21:07 x
「浪花の恋の物語」「封印切」「新口村」・・・ 
通と認められるには三つの作品を鑑賞する必要がありますね(笑)
忠兵衛と八右衛門が演じた大阪ことばの応酬場面は実に見事でした。
もう一度見たいと思いますが、祭りの舞台は一年に一度限りが良いのかもしれません。
Commented by dendoroubik at 2018-05-18 22:35
☆toraさん

今年は垂井で忠臣蔵はかかりませんでしたけれど
露店での忠臣蔵談義 楽しかったですね~~
市川歌右衛門とか月形龍之介の名を連呼するわれわれを
まわりの方々はきっと「昭和の親爺」と憫笑してたことでしょう(笑)

しかし 近松の翻案に「浪花の恋の物語」などという
粋なタイトルをつける昭和の映画人のセンス
これは なんといっても擁護しなければなりません!

忠兵衛と八右衛門の掛け合い いまでも思い出します・・・
by dendoroubik | 2018-05-18 06:23 | ◇垂井曳山祭 | Trackback | Comments(2)