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米原曳山まつり 旭山 義経千本桜 吉野山の段

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壽山の 「一条大蔵譚」を見終えて駆け足で向かったのは
もうひとつの当番山、旭山の最初の子ども歌舞伎執行場所。
30分遅れの開演、一番山で三番叟もありますから
ぜんぶはムリでも3分の2くらいは見られるはず・・・

果たして、その通りにはいったのですけれど
走っているうちに舞台上の時間はどんどん先へ進み
権勢を恣にした平家は滅んで、幼かったはずの義経もいまや都落ち・・・

ここは京の都から遠く離れた桜満開の吉野山・・・




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吉野山に身を寄せている義経を慕って旅する静御前。
供するのは義経の家臣、佐藤忠信。

   姓名添えて賜りし
   御着せ長を取りいだし、君と敬い奉る。

義経より下賜された鎧を切り株に立てて主君を忍ぶふたり。

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義経が静に託した「初音の鼓」は、平安のはじめ伝説の夫婦キツネの生皮を剥いでつくられたもの。  

このキツネが鳴くと、必ず雨が降る・・・という言い伝えがあり
都を旱魃が襲ったとき野狩りして捕らえられ、鼓にされてしまったのです。

キツネの霊力か、これをポンと打つと見事に雨が降ったといわれ、長らく宝物として宮中にありました。

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この宝物を義経は後白河法皇から拝領。

もちろん、酔狂で与えられたわけではありません。

 鼓の裏皮は義経 表皮は頼朝。 鼓を打て=頼朝を討て!

・・・との院宣。

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固辞すれば朝敵、受ければ兄への叛逆。
思えば、このときから義経の悲劇は定まっていました。
平家の娘を娶ったことを頼朝に責められ、卿の君は自害。
嫌疑をかけられた義経も都落ち・・・

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静をなぐさめるために、そこにあたかも義経がいるかのように舞う忠信・・・

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恋人同士のようで危うい・・・「忠義恋路櫻」・・・という外題がつけられた由縁です。

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どこか妖しげな雰囲気を漂わせた忠信・・・実は、彼は鼓にされた夫婦キツネの仔のキツネ。
義経から預かった鼓を静の打つ音が、父母の声にも思われて懐かしく恋しく、忠信に化けて供しているのでした。

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静に乞われるまま忠信は、屋島の戦いで討ち死にした兄、継信の様子を舞ながら語ります。

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平家の武将、能登守教経が義経に矢を射かけ・・・

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継信が義経をかばって矢に当たり・・・

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  あえなき最期はもののふの 忠臣義士の名を残す。

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 思いいずるも涙にて 袖は乾かぬ筒井づつ

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逸見藤太が家来(花四天)を連れて、ふたりを探しにやってきます。
「初音の鼓」を手に入れて、褒美にあずかろうという魂胆ですが
この藤太、悪党のくせに肝っ玉が小さく、義経の家来たちを恐れています。

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  義経公のお側には、亀井、片岡、伊勢、駿河。

  つつつるてんの武蔵坊。
  こいつおれよりちょっと強い。

  おれはよっぽど・・・

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忠信の姿を見つけて逃げ出す3人・・・

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  よいところへ 早見の藤太ー。
  わがおんともなせし、静御前に初音の鼓。
  奪いとらんなんぞとは、胴よりふとき面の皮。

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3人はあえなく忠信の霊力で打ち負かされてしまいます。

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  急ぐとすれど はかどらず 
  芦原峠こうの里土田むつ田も遣らぬ
  のじの春風吹きはらふ
  雲とみまごうみ吉野の 麓をさして急ぎ行く

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静を先に行かせてひとりになった忠信は・・・

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いつしか・・・

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キツネの姿に戻り・・・

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義経の・・・父母の悲運を思って泣くのでした・・・

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忠信を演じているのは小学6年生の男の子。
ときおり不思議な光彩を放つ瞳を持つこの少年は、ちょうど声変わりしているところらしく
人と狐のあわいを行き来するこの役にピッタリ。 とてもうまかったです。

Commented by ei5184 at 2016-10-13 04:16
義経千本桜 吉野山の段 は、歌舞伎でも拝見していましたが、
今年の宮川町2月のお化けでは、芸妓菊志乃さんと舞妓君ひろさんが演じてくれました。
尤もお化けですから、途中からあらぬ方向へと(笑)

長浜、出かける予定に入れました。立って観賞するとか?
目の高さと云う事は、後ろから脚立でしょうか?
Commented by dendoroubik at 2016-10-13 11:03
☆eiさん

大歌舞伎の源九郎狐はどなただったのでしょう?
米原でも以前 四の切なんかもやってたんですよ~
空中回転も・・・舞台方がだっこしてですけれど(笑)

長浜は土曜に駅前で萬歳樓 日曜に曳山博物館前で四山
・・・とありますが どんな風に上演されるのでしょうか?
曳山博物館まえの広場の横はアーケード商店街ですから
脚立の立てられるような場所は報道関係が独占してそうですね・・・

日曜は木之本会場の「茶わん祭り」も気になります・・・
by dendoroubik | 2016-10-12 21:50 | ◇米原曳山まつり | Trackback | Comments(2)