2015年 11月 24日
大矢田神社 ひんここ祭
「うだつのあがる町並み」・・・で知られる美濃の旧市街地から、長良川を越えて西へ数キロ。
標高500メートル強の天王山の山の麓に、大矢田神社という古社があります。
境内の「もみじ谷」はヤマモミジ樹林として国の天然記念物に指定される紅葉の名所。
観光客でにぎわうこの時期、(11月23日・・・と桜の頃、4月第2土曜日の翌日の日曜日)
大矢田神社に奉納されるのがこの祭りです。
「ひんここ祭り」
名前からして脱力系ですけれど(笑)その内容は・・・ネーミング以上にゆるい祭りでした。
(「国選択無形民俗文化財」)
かつては牛頭天王として習合した、禅定寺を含んだ、広い社域を誇ります。
寛文十二年に再建されたという本殿は、各部に精巧な彫刻と彩色が施されて秀麗。
拝殿とともに重要文化財に指定されています。
祭神は、須佐之男命(すさのおのみこと)天若日子命(あめわかひこのみこと)
阿遅志貴高日子根命(あじすきたかひこねのみこと)
「ひんここの舞」の舞台は、神社から500メートルほど下った参道脇、お旅所(大矢田神社遥拝所)。
小高い丘の中腹に幔幕を二段にめぐらした、舞処(まいど)の下段でおこなわれます。
こちらが全登場人物です。
人形・・・というよりも案山子のように見えますね。
竹を十文字に結び、カシラは竹籠に紙を貼り彩色。
胴を同じく竹籠で、衣装が着せられています。
心竹は2メートルほどで、カシラを前後に動かす竹がついています。
烏帽子を被ったこの人形は袮宜殿(ねぎどの)と須佐之男命の一人二役。
・・・といっても、衣装が変わったりするわけではありません。
恰好はそのままで、役割がかわるだけです。
こちらはオロチ。
頭と胴体ふたつ、尾・・・の合計4つのパーツにわかれています。
それにしても・・・「素朴」というだけでは足りない、この顔の ゆるさはどうでしょう!(笑)
「ゆるキャラ」という名の生みの親、みうらじんさんは、
まだこの言葉が市民権を得ていなかった頃、ある自治体へ取材へゆき
「ウチのキャラはゆるくありません!」
・・・と叱責されたことがあると、どこかでお話しされていました。
それも数十年まえのことにすぎないのですけれど、この祭りは、一説には500年ほどまえにはじまったとも。
なんだか、めまいがしそうです(笑)
12人の農民は、それぞれ農具を持ち、ホクロをつけるなど、顔も微妙に描き分けられています。
他の人形とは一線を画すこの人形は猩々姫。
おろち退治の「ひんここの舞」と並行して
午前11時20分頃、操者が人形を掲げて、丘の中腹の舞台へと登ってゆきます。
猩々姫を先頭に、しんがりには笛、太鼓、摺鉦のお囃子。
最初に登場するのは、袮宜殿。
観客の穢れを払うために舞う・・・と解説があります。
ひんここ
・・・の名の由来は、お囃子が
ヒンココ チャイココ チャイチャイホーイ
と聞こえることだという説が有力だそうです。
最後の「ホーイ」は裏声による合いの手で、このタイミングで人形が高く差しあげられます。
そして、このワンフレーズが、最後まで蜿蜒と繰り返されます。
つづいて農民の舞。
軍配を持った庄屋を先頭に12体の農人形が麦蒔きの所作を演じます。
「ひんここの舞」は、近世には毎年9月7、8日におこわれており
本来は秋の麦蒔前の予祝芸能だったといわれます。
(明治初年の新暦採用により10月7、8日、
昭和40年から現在のように、4月第2土曜日の翌日の日曜日と
「もみじ祭り」のおこなわれている11月23日)
次にオロチが登場し、農人形たちをつぎつぎ吞みこんでゆきます。
最後に庄屋が吞みこまれると、須佐之男命が現れ、オロチとの死闘を繰りひろげます。
死闘をくりひろげる・・・といっても
人形の動きは、心竹を高く差しあげるか、ゆらすか
頭を前後に動かすことで表現されるだけですので
須佐之男命のオロチ退治・・・という「物語」を知らなければ
いったい、何がおこなわれているかわからないかもしれません。
しかし、ともかくオロチは退治され、観客からは拍手喝采がおくられます。
須佐之男の喜びの舞を舞い終了です。
ご覧の通りの(想像以上に)ゆるい祭りでしたけれど
これを眺めていた30分間の印象というのは、
コントなどに失笑するような感覚とは、ちょっと異なります。
舞処が、思いのほか遠くにあることも手伝ってか、
お囃子の単調な繰り返しのなかで、
表現力に乏しい(と、現代の基準からは思われる)人形の所作が
いつかモノ狂おしい心持ちへと観衆を誘います。
数百年も伝承される祭りには、やはり人々を魅了する不思議な力があるのだと思います。
このあと、お昼休憩をはさんで、午後からも「ひんここの舞」が披露されるのですが、今回はここで退散です。
↑大矢田神社の後に立ち寄った 根道神 社 の池 ・・・人多すぎて衝撃でした(汗)。 さて!!! 『本日のひとこと』でも予告した通り、 11月23日に行って参りました! 3年越しの夢 がかなって 【ひんここ祭】 に 初参戦 っ!!! 。゚ヽ(゚´Д`)ノ゚。 ヤッターン♪ ではでは、 ユルさ満載の超楽しいお祭 【ひんここ祭】 レポ、 すたぁ~とぉ~☆☆☆ヽ(◎´∀`)ノ ...... more
山の斜面で繰り広げられる素朴な人形芝居のようですね。
全国的な知名度に欠ける祭礼かもしれませんが、
その土地ならではの伝統行事に関心を向けるのが祭り通。
今年の紅葉は色づきが悪く天候にも恵まれません。
この祭りへ行くなら やはり
稚児舞や 獅子舞などもある春の例祭でしょうか
もみじ祭りで賑わってましたが 紅葉は見ず
わすか30分の「ひんここの舞」を見るために
往復4時間かけて出向く自分もどうかと思いました(笑)
東海TVの「祭人魂」という番組が取材に来てましたので
そのうち放映されるんじゃないでしょうか
しかし あの奇妙なお囃子が耳から離れません・・・
本当にゆる~くて、でも楽しいお祭でしたね♪
農民さんの麦まきが本当にかわいくてかわいくて❤
3年前にこの祭の事を知って、春は休みが合わないので11月23日に休みが当たるのを心待ちにしていましたが、
雨が降ってくることもなく無事に見させて貰えて良かったです♪
今、我が家ではあのお囃子と「フォ~」の合いの手が若干流行ってます(笑)。
「祭人魂」は1月23日の放送予定だそうです。
東海テレビで毎週土曜日に放送されてる15分番組(だったかな・・・)ですが、
たまにタイミングが合って見るだけでも、東海地区でもまだまだ知らないお祭がたくさんあるなぁ、、、と気付かされます。
あ、TBもお願いしますm(_ _)m
ゆる~くて なんとも愛らしいお祭りでしたね!
壮麗な祭りや勇壮なお祭りなんかも好きですけれど
こういう素朴な祭りも見逃せませんね~
自分が見たなかで好きな ゆる~い祭りは・・・
ぼんのこへんのこ祭 http://gejideji.exblog.jp/14877893/
田中の粥占い http://gejideji.exblog.jp/21463447/
ヤシャリさん http://gejideji.exblog.jp/21463447/
酒樽返し http://gejideji.exblog.jp/21910769/
・・・などです(名前からしてゆるいですねw)
とくにヤシャリさんは 年明けにもまた行こうかな
・・・と思うくらいグッとくる行事でした
思い返すと けっこう有名なお祭りでも
ゆるーい部分があったりしますよね
東海の祭りは まったくといっていいほど未踏で
またボチボチまわってみたいなと思ってます
滋賀県の祭りも たまに地元の放送局で
短いドキュメンタリーをやっていますが
たまに ボーッと眺めていると 自分が写ってたりします(笑)
「祭人魂」・・・こっちでも放映してくれないかなあ・・・
お祭番組に写られているとはさすがですね❤
dendoroubikさんのゆる~いお祭セレクション、見てきました(笑)。
酒樽返しはリアルタイム(記事をアップされたタイミング)で拝見していましたが、
どれもカメラを構えながら自然と笑顔になっていそうなお祭ですね♪
ヤシャリさん、すごくあたたかい雰囲気が写真から伝わってきました♪
今度のお正月は奥三河の花祭に行こうと思っています♪
大きなお祭りや有名なお祭りを担う人々の
心意気みないたものも大好きなんですけれど
ゆるーい祭りの人々の ちょっと半信半疑な(?)
でも(行事を)やめられない微妙な雰囲気にも惹かれます
子供や若者が参加しているものはいいんですけれど
お年寄りばかりの行事は この先どうなるんだろうか
・・・と ちょっと心配になったりもしますよね~~