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石取祭 後篇

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蝋燭で燈すところもあれば、電球をつかうとろこもあり。
昼間から山形に十二張の提灯を張り、
縁板まわりなどに燭台を取りつけた祭車は、やはり夜の祭りのためのもの・・・



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試楽日は夕刻より各組町内で祭車の練りがおこなわれます。

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はじめての見物ゆえに、なんという組になるのかさえわかりませんが
七里の渡や船津屋まえを巡行する光景、とても情緒がありました・・・

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解説を読むと、この祭りのハイライトは、試楽のはじまる午前零時の「叩き出し」や
本楽の「渡祭」になると思うのですけれど、この各組町内練りも、見物です。

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桑名駅から桑名城跡までの大通り(八間通)に、各組の祭車が車列を組んで向かってゆきます。

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打ち手がつぎつぎに代わって、間断なくお囃子が奏せられます。

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正式には、どういったシーンで歌われるものなのか
ところどころで「おかっさん」を放歌高吟。


  町屋川原の 撫子 野花 
  昼は萎れて 夜は開く 
  ああ でんや でんや

  めでた めでたの若松様よ 
  枝も栄えて 葉も茂る 
  ああ でんや でんや

「若松様」の変奏でしょうか・・・

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  桑名の石取祭は 鉦や太鼓で ゴンチキチン 
  叩くときゃよかったが 後でお手々がマメだらけ

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各町内会によって、
お囃子の拍子や叩き方は異なるそうですが
大きくは「五つ拍子」と「七つ拍子」。

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  日本一喧しいこのお囃子を
  桑名っ子は子守唄代わりに聞いて眠りにつく

そんなフレーズをただの謳い文句
くらいにしか思っていませんでしたけれど、
幼い子供たちが、自分の身長よりも長いバチを、
カッコよくキメながら操っている姿を眺めていると、
それはホントかもしれない、と思えてきます。

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このお囃子は、一見簡単そうに見えますが、
究めるには相当の修練が必要なようです。

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  お腹にいるときから聞いていないと
  うまく叩くことができない

そんな風にも言われるそうです。そうなのかもしれません。

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八間通の曳き揃えられた姿は勇壮で、
とくに田町の交差点に入場(?)するときには、
まるで凱旋のような盛りあがりを見せます。

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曳き揃えを眺めているうちに、喉にひっかかるような違和感を覚えていました。

これは、いったい曳山祭りなのか?

曳山祭りにもさまざまあり、その情趣を一括りなどできませんけれど
あきらかに他の曳山祭りとは、ちがう感興が湧きあがってくるのです。

でも、それが何なのかが言葉にならずに違和感を覚えるのでした。

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お囃子に篠笛のメロディがないからなのか
お囃子を奏するのが曳山のうえではないからか・・・

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そうか!

これは「曳山祭り」ではなく「石取祭」という、
ここにしかない固有の祭りなのだ!

あたりまえのことなのですけれど・・・そう考えると
目の前で繰りひろげられている光景の美しさや粋が、
よりいっそうストレートに胸に迫ってくるのでした。

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試楽の夜が更けてゆきます・・・
Tracked from Mr.LOVEぶろーすM.. at 2015-09-08 22:33
タイトル : 【平成27年版】桑名石取祭!試楽!!
ではではっ!! 途中で 郡上おどり と 熊野大花火 のレポを挟んじゃったので休憩してましたが、 お待たせしましたっ(笑)!!! 日本一やかましい天下の奇祭! 【桑名石取祭】 レポ第二弾! ※第一弾の 試楽叩き出し編 はこちら⇒ http://blogs.yahoo.co.jp/kabukiti_spanish/56911961.html 8月1日(土) ・ 試楽(しんがく...... more
Commented by ei5184 at 2015-08-05 19:14
検索して動画を見ましたが、成程太鼓よりも鉦の音が大きいですね!
時々腰を落として太鼓と鉦を打つのが、面白いですね~
之は是非とも訪ねてみたいお祭りです。
ゲジデジさんと巡りあわなければ、生涯知らないままでしたでしょう。
ありがとうございました。
Commented by tora003 at 2015-08-05 19:31 x
エッ、「暗くなってからバテ気味で集中力が落ちた」ですって?
どこが落ちたのですか・・?
9枚目の写真がいいね、若衆連が祭りを心底楽しんでいる表情が伝わってまいります。
そして、極め付けの一句・・・
『そうか!これは「曳山祭り」ではなく「石取祭」という、ここにしかない固有の祭りなのだ』
桑名石取祭保存会からキャッチコピーに採用したい旨のオファーがあるかも。


Commented by dendoroubik at 2015-08-05 20:03
☆eiさん

前回の記事にもコメントいただいてましたのに
不注意で削除してしまい 申し訳ありませんでした・・・

石取祭は こんな写真で見るよりも
実物はもっとエキサイティングで美しいお祭りです
ぜひぜひ 訪ねてみてください
夜の祭り・・・といわれますけれど
「前篇」で紹介させていただいた夕方の試楽も
とてもグッとくる行事でした
ただ猛暑と轟音で卒倒しそうになりましたが(笑)

太鼓・・・といえば
2月の最終土日 福井県勝山市でおこなわれる
「勝山左義長まつり」をご存じでしょうか?
これ以上楽しいお祭りがあるだろうか
・・・というくらい楽しいお祭りです
強くオススメします!
Commented by dendoroubik at 2015-08-05 20:17
☆toraさん

案の定 暗くなってからハグれてしまい
あの轟音のなかでは携帯電話も役に立つまいと
そのまま失礼いたしました
夏バテもあったのですが
「歌行燈」に出てくる桑名のうどん屋のことを思いだしたら
急にきつねうどんが食べたくなり 予定を切りあげて撤収
しかし 御在所SAのフードコートには
「きしめん」と「味噌煮込みうどん」しかなく ガッカリでした(笑)

はじめて見る「石取祭」は やっぱり分類不能
どんな祭りかと尋ねられても 比較で語れるものはなく
「石取祭」だ!・・・としか答えられない祭りでした
toraさんに 案内いただけなければ
なにがなんだかわからないうちに終わってたと思います

改めまして ありがとうございました!
Commented by すぺいん人 at 2015-08-05 22:02 x
夜のレポートもありがとうございました♪

試楽は各組ごとに動いているのですが、
田町交差点で撮られた田町の祭車の後ろに、天幕を上げている宝町の祭車(田町とは違う組)が写り込んでいる写真、、、これは見た時にめっちゃ興奮しました!

叩き出しにも本楽にもそれぞれ見どころがありますが、
試楽にも試楽だけの見どころや楽しみが有るので、ついつい毎夜通ってしまいます(笑)。

山形もほかの部分も全て蝋燭の祭車は炎が揺れて特に美しく映えますよね♪

石取文化は桑名がオリジナルにして最大で、愛知県西部~(岐阜県南部?)~三重県北部に分布しています(笑)。
なので、私は小さい頃からお囃子=石取の太鼓&鉦のものだと思っていたので、違う地域のお祭に行って笛の入ったお囃子を聞くと「すご~い!!」といまだに感動するんです(笑)。

私が各地のお祭で特に「音」に魅かれるのは、この石取の影響かもしれません(^^*)

ぜひともまた本楽の日も体験しに来てくださいね♪
Commented by dendoroubik at 2015-08-05 23:14
☆すぺいん人さん

田町の交差点で ちがう組の祭車の映り込みに昂奮する人なんて
おそらく 日本じゅう探しても すぺいん人さんだけじゃないですか(笑)

でもね・・・その気持ちはよく理解できますし 正しいと思うのです

10月に 地元で「大津祭」という曳山祭があり
距離的に近い(電車で10分)ということもあり
京都の祇園祭とそっくりなのですが
外来者が「あー 祇園祭のミニ版ネ」
と口を揃えて言うのを聞くと 軽い殺意さえおぼえます(笑)

その指摘自体は 決してまちがいじゃないと思うのですが
比較や類推で わかったような気持ちになってるのがガマンできません
祭りの情緒を楽しむというのは 
そんな相対的な差異を確認することで自己愛を慰撫することではなく
絶対的な差異に 身体が砕けるような体験をすることではないかと思うのです

あ・・・何か柄にもなく熱く語ってしまいました(笑)
ともかく 石取祭 最高でした!
Commented by すぺいん人 at 2015-08-06 21:54 x
おっしゃる通りです!
例えば姿形が似たお祭でも、そのお祭はそのお祭で有って、
そこにしか無いものだと思います。

お祭の楽しみ方は人それぞれなので正解なんてないんでしょうけど、
私は行ったお祭がその場所ならではというか、そのお祭でしか見られない景色や聞けない音を楽しむのが好きです。

石取も桑名から各エリアに波及して、祭車も桑名や近隣地域から古いものが離れた地域に譲られてその土地での石取祭として始まったりしているんですが、
叩き方が微妙に違ったり、景色や人が違ったりして、やっぱりその土地ならではの石取になってるんです♪
規模の大小は有るんですが、祭車1台しか出ない小さなお祭でも魅力が有ったりして、ついついほかの地域の石取も見に行ったりしちゃいます(笑)。

しかし、これだけたくさんのお祭を体験されているdendoroubikさんにこんなに楽しんで貰えるなんて~♪
本当に嬉しいです!!(≧∀≦)

さて、次はどこのお祭に行かれるのでしょう??
Commented by dendoroubik at 2015-08-06 23:21
☆すぺいん人さん

祭りに興味のない人が二人の会話を読んだら
「なに ワケわかんないことで盛りあがってんのか」
と訝ることでしょう(笑)
しかし すぺいん人さんは正しい!

名の知られた祭りを執り行っておられる方々だって
その心意気は 欲得抜きの理不尽なものです
知名度の低い祭りの 理不尽な心意気を嗤う人は
高名な祭りの粋をわかっていない
高名さくらいしか価値基準を持たない ただのバカです
じゃあお前は バカじゃないのかと問われれば
ただの祭りバカですとしか答えられないところが
この主張の論拠の薄いところなのですけれど(笑)
でも そんな質問をするような人は しょせん
祭りの粋とは無縁な野暮天なので 無視しておきましょう

祇園祭で疫病が退散できるのですか?

えっ? 文化的価値と経済効果・・・?

もう君とは話しません(笑)
Commented by やまぜん at 2015-08-09 18:48 x
炎天下の中お疲れさまでした。
自分はバテバテです。(苦笑
kaikaiのラーメン屋さんも行かれたのですか?(笑
自分は本楽の日曜日に昼過ぎから約4時間撮影させて頂きました。
歳のせいでしょう、夕方にはクタクタで翌日の仕事を心配して辞する事にしました。
桑名は女性が凄いでしょ?
浴衣の女性も暑い中キリッとした姿勢で歩くところはいつも感心です。
半被の女性陣の鐘太鼓のリズムとか意外に女性主導の祭りのようにも思える事も度々です。

次週の予定は既に組まれているかと思いますが、14日、15日と当地で富田の鯨船(夜は石取り)富田一色のけんか祭とあります。
16日は同じ桑名市内の赤須賀地区での石取り祭。
此処は漁師町内で雰囲気も良いです。

Commented by dendoroubik at 2015-08-11 12:14
☆やまぜんさん

たしかに桑名の石取祭の女性たちは水際立っていますね!
実は最初てっきり 浴衣の女性たちは華を添えるだけの存在
かと思い込んでいたのですけれども
女性主導といっても過言でないようにも思えますよね

富田の鯨船 一色のけんか祭
赤須賀地区の石取り祭など とてもよさそうですね
来年にはぜひ 見せていただきたいと思います
ご教示いただきまして ありがとうございます

あっ! ラーメンは外観だけです(笑)
Commented by すぺいん人 at 2015-09-08 22:38 x
ようやく私の方も試楽のレポが出来ましたので、トラバのお願いに上がりました(笑)。
先にコメントを入れさせて貰ったおわら風の盆の所に書くには、、、あまりに雰囲気が違いすぎるので(笑←どちらも好きだけど^^;)、こちらに再び失礼しました♪♪♪

上のやまぜんさんもおっしゃっていますが、富田や赤須賀の石取、富田の鯨船も独特で面白いです♪(・・・鯨船がなかなか休みに当たってくれなくて見に行けない・涙)
Commented by 風神雷神 at 2015-09-08 23:15 x
こちらにもコメントさせていただきます!

前篇には甥と姪が、後篇には私がさりげなく写り込んでいました(笑)
皆さんがたくさん写真を撮っていただいているので、どこで私が写ってしまっているかわかんないです(^^;

来年は、私にお声掛けていただければ、うちの町でよろしければある程度の場所ならば、写しやすいところまでお入りいただけるようにさせていただきますよん!
(石取祭をほめていただける方は大歓迎なので(笑))

石取祭も元々は笛、太鼓、鉦で囃すお祭りで、四輪の小さなものでした。
だんじりみたいに走ったり、ぶつけ合ったりとかもあったようです(江戸時代の話ですが)。

それが今のようになったのも、様々な経験を経て整ったものでしょう。
いなべ市(特に旧員弁町)には古い石取祭車があり、笛も含めた古い石取祭の様子も見られます。

また、北勢地方のお祭りを見に来ていただけるのを楽しみにしています!
Commented by dendoroubik at 2015-09-09 22:05
☆すぺいん人さん

富田や赤須賀の石取、富田の鯨船
教えていただくまで 聞いたことすらなかったのですけれど
調べてみると かなりおもしろそうですね~~
いずれかは 絶対 来年のは覗いてみたいです

幸い そこそこ健康と体力には恵まれてますが
時間と身体がいくつあっても足りません(笑)

Commented by dendoroubik at 2015-09-09 22:39
☆風神雷神さん

えっ! 風神雷神さんはどの写真に?

各地の祭りを拝見しておりますと
300年とか400年の歴史・・・と銘打っていても
300年 400年まえとはずいぶん様式が変わり
すっかり原型をとどめていないものが多いですね
300年400年受け継がれているのは様式よりも
その「心意気」みたいなものであるのに気づかされます
そして何よりもグッとくるのはそこです
桑名の石取祭にグッときたのも
その強度がとても強かったからです

石取祭の祭車の彫刻や天幕なども
一目惚れしてしまいましたけれど
あまりにも数が多すぎて
すべてを覚えるには10年以上かかりそうです(笑)

さらに北勢地方のお祭りとなると
・・・生きているうちに 制覇できるでしょうか(笑)
Commented by 風神雷神 at 2015-09-11 23:17 x
400年前の石取祭は質素なもので、200年くらい前は荒っぽく、100年前から今のような形に…そして未来へ、、、。
時代と共に変わる部分は多々ありますが、心意気だけは変わらないようにしたいものです。

戦直後の生活がやっとの頃、まだ祖父もシベリアで捕虜になって帰国していない頃でも、嫁に来たばかりの祖母は祭車再建にわずかながらでも尽力してくれました。
だからこそ受け継がねば…と、姉二人に私、甥と姪も加えて我が家は楽しませてもらっています(笑)


他所ではなかなか見ない図柄を用いたり、多種多様ですね。
うちの町の本天幕は、日野祭や祇園祭の木賊山と同じ図柄のものを使ってます(日野は左右二枚に分けて、木賊山は色違い)。

私も全ての祭車の装飾は覚えきれてませんよ(笑)

ましてや、近隣に同じように分布する石取祭車も含めると…f(^_^;

東海三県に分布する、石取祭車約150台。
一生のうちに全部コンプリートしてみませんか(笑)?
Commented by dendoroubik at 2015-09-13 13:44
☆風神雷神さん

400年前は質素なもの 
200年くらい前は荒っぽく
100年前から今のような形
・・・とてもわかりやすい見取り図ですね!
ブログをやっていてよかったと思うのは
祭りをよくご存じの方から 
このようなご教示をいただくときです

ありがとうございます!

石取祭車150台コンプリート!

夢ですね~~
でも たぶん寿命か金銭のどちらかが 
先に尽いてしまいそうです(笑)



Commented by 風神雷神 at 2015-09-17 23:30 x
あ、私が写ってるのは4枚目の上本町の写真です!

上手に撮ってもらうと写りもいいようで(笑)

石取祭の分布も9割くらいは確認しましたが、まだ知られていない所(鉦と太鼓所有のみなど)もあるので、皆さんからの情報が何よりです。
どこかでそんなお祭りをお見かけしましたら、教えてくださいませ!
Commented by dendoroubik at 2015-09-18 19:16
☆風神雷神さん

祭りが好きでよく見に行くのですけれど
何が好きといって 祭りを執り行う方々の
お顔・・・といいますか
お姿を拝見しに行っているようなものです

日本人の いちばんカッコいい姿
いちばん美しい姿だと思います

勇壮な祭りだけでなく おどけた祭りなんかでも
やっぱり カッコよく美しいと感じます

ヘタクソながらも「カッコイイ!」
と思った瞬間にシャッターを切るので
やはり風神雷神さんも 相当にカッコいいです

僕に折り紙つけられたって
うれしくもなんともないでしょうけれど(笑)
by dendoroubik | 2015-08-05 18:43 | ◆伊勢の祭 | Trackback(1) | Comments(18)