2015年 06月 15日
津沢夜高あんどん祭 2015
富山県西部、砺波平野には「夜高(よたか)」
と呼ばれる行燈行事がいくつかあります。
青森のねぶたのような巨大な行燈を曳きまわし、
盛りあがったところで突合せを行う・・・というものです。
砺波市のとなみ夜高祭、庄川観光祭、
南砺市の福野夜高祭、
そして小矢部市の津沢夜高あんどん祭り。
津沢の祭りへ、4度目の見物へ出かけました・・・。
4度目の津沢・・・雨でした。
少々の雨では中止にならないのがこの祭りです。
軒下には武者絵の描かれた行燈が吊るされ、
町ぜんたいが幻想的な雰囲気に包まれます。
丹精込めた美しい行燈がビニールに覆われているのは
いかにも残念ではありましたが、
ゾクゾクするようなこの祭りの興奮は
篠つく雨にも水を差されることはありません。
前日に子どものお囃子のコンクールがあり、
上位の子どもたちの演奏がありましたが、
これがべらぼうに上手く、カッコいいのです。
若衆、小若が夜高太鼓を打ち鳴らし、
主に女の子や女性が篠笛で曳行を盛りあげます。
津沢辺りか 夜空が燃えるョ
夜高太鼓に ササ浮かれでる
この祭りはもともと、6月10日、11日の
「やすんごと」と呼ばれる植付け盆
・・・五穀豊穣を祈る、虫除けの田祭り行事として
伝承されたものだそうです。
17世紀の中頃、砺波郡福野の鎮守の氏神として
伊勢神宮より分霊を勧請した際、
住民たちが手に手に行燈を持って
国境に分霊の行列をお迎えしたのが、
行燈行事としてのこの祭りのはじまり・・・
たいていの観光案内にはそう書かれています。
想像するに、その光景がえも言われず美しかったこと・・・
その記憶が、夜高祭りを興す契機となったのかもしれません。
「夜高」は「夜に(行燈を)高々と掲げる」・・・の意でしょうか。
なぜ、行燈が巨大化していったのかわかりませんが、
青森から能登半島にかけての日本海沿岸部には、
巨大な行燈行事がいくつも伝承されており、
夜高祭りも、それらと無関係ではないだろうと思います。
青森ねぶたの人形型でもなく、
弘前ねぷたの扇型でもなく、
あんどんの形は、秋田「能代のねぶながし」
を思わせる城郭型が多い・・・。
午後9時過ぎ、引き回し(喧嘩)がはじまります。
その頃、いちばん雨脚が激しくなってきました。
7基の大行燈が、次々に
向かい合っては、激しくぶつかり合ってゆきます。
組み合わさると、曳き棒をクレーンのように上下させながら、
相手の「釣り物」(前方に取りつけられた行燈)を破壊。
喧嘩山車なら かいしょで回すョ
揺れて夜高の ササ勇み肌
「喧嘩」は夜半までつづきます。
戦いを終えた夜高行燈は、
ふたたび夜の町を練り回されてゆきます。
勇壮な夜高行燈のぶつけ合いが、
この祭りの白眉にはちがいないのですが・・・
7基の大行燈、6基の中行燈、8基の小行燈が
軽快なお囃子を奏でられるなか、
「ヨイヤサ、ヨイヤサ」の囃子詞とともに、
闇のなかを練ってゆく風情・・・
4度も訪れた理由は、むしろ
そちらを味わうことだったかもしれません。
ヨイヤサ、ヨイヤサ・・・
遠くでお囃子が聞こえてきます。
小矢部川沿いの、おそらくは普段は静かな町。
祭りの夜でさえ、夜高行燈が遠ざかると、
何事もないように静寂につつまれるこの町を後にしたのは、
ちょうど日付が変わろうとする頃・・・
Commented
by
mahoroba-shahai at 2015-06-15 11:16
まさに、圧巻! そのもですね。
シルエットが、またイイ! 酔いしれました。
ありがとうございます。
シルエットが、またイイ! 酔いしれました。
ありがとうございます。
0
Commented
by
dendoroubik at 2015-06-15 11:36
☆まほろばさん
ありがとうございます!
規模では劣るかもしれませんが
町練りの幻想的な美しさや 喧嘩の興奮は
津軽のねぶたにも負けていないと思います
でも 雨のために 夜高行燈の美しさが
じゅうぶんにお伝えできなかったかもしれません
なぜ全国的な知名度がさほど高くないのか
不思議に思えるほど とてもいい祭りです
ありがとうございます!
規模では劣るかもしれませんが
町練りの幻想的な美しさや 喧嘩の興奮は
津軽のねぶたにも負けていないと思います
でも 雨のために 夜高行燈の美しさが
じゅうぶんにお伝えできなかったかもしれません
なぜ全国的な知名度がさほど高くないのか
不思議に思えるほど とてもいい祭りです
Commented
by
yyama0525 at 2015-06-16 07:52
鄙びた集落に突如響く、あの三味線に似た
音色のハイビート
行灯の美しさ・・雨もまた良しだったでしょう
ガチなぶつかり合いで、否応なく盛り上がった
様子が手にとるように分かります
私は翌日も行けませんでした
音色のハイビート
行灯の美しさ・・雨もまた良しだったでしょう
ガチなぶつかり合いで、否応なく盛り上がった
様子が手にとるように分かります
私は翌日も行けませんでした
Commented
by
dendoroubik at 2015-06-16 11:39
☆Capt.Yamaさん
傘を片手の撮影でしたので
写真はどうにもなりませんでしたが(笑)
若衆 小若の心意気はまったく雨も無関係
正直 ちょっとガッカリしながら臨んだんですが
瞬く間に祭り風情に酔いしれてしまいました(笑)
静かな町だからこそ
あの急激なお囃子と幻想的な夜高行燈がより映えるんでしょうね・・・
傘を片手の撮影でしたので
写真はどうにもなりませんでしたが(笑)
若衆 小若の心意気はまったく雨も無関係
正直 ちょっとガッカリしながら臨んだんですが
瞬く間に祭り風情に酔いしれてしまいました(笑)
静かな町だからこそ
あの急激なお囃子と幻想的な夜高行燈がより映えるんでしょうね・・・
Commented
by
tamsanpe at 2015-06-16 14:09
Commented
by
dendoroubik at 2015-06-16 17:41
☆ぴんの助さん
実直で寡黙な県民性というイメージとは裏腹に
富山県には存外 喧嘩祭りが多いんですね~
なぜなのかとても気になるところではありますが
納得のいく説明を聞いたことがありません
ただ どれも静と動の対比が美しくいい祭りばかりです
つくづく思うのは祭りの良さは その知名度と
必ずしも比例しないということです(^-^
実直で寡黙な県民性というイメージとは裏腹に
富山県には存外 喧嘩祭りが多いんですね~
なぜなのかとても気になるところではありますが
納得のいく説明を聞いたことがありません
ただ どれも静と動の対比が美しくいい祭りばかりです
つくづく思うのは祭りの良さは その知名度と
必ずしも比例しないということです(^-^
Commented
by
shinrajuku at 2015-06-17 11:08
こんにちは。
過去3年のこの祭りの記事も今拝見してきました。
あ~、いいですね~、たまりませんね~^^
こりゃぁ行ってみたい。(行きたいところばかりが増えて、なかなか行けませんが・・・)
晴れた日の鮮明な行燈も綺麗ですが、
ビニールを被されて光る行燈がかえって妖しく思えます。
濡れた道が行燈に照らされてボ~ッと浮かび上がるのもまたいい感じです。
過去3年のこの祭りの記事も今拝見してきました。
あ~、いいですね~、たまりませんね~^^
こりゃぁ行ってみたい。(行きたいところばかりが増えて、なかなか行けませんが・・・)
晴れた日の鮮明な行燈も綺麗ですが、
ビニールを被されて光る行燈がかえって妖しく思えます。
濡れた道が行燈に照らされてボ~ッと浮かび上がるのもまたいい感じです。
Commented
by
dendoroubik at 2015-06-17 21:41
☆shinrajukuさん
でも やっぱり雨じゃない方がいいですね(笑)
カメラ 壊れるかと思いました(>_<)/~~
水の入った水田に屋敷林が浮かびあがるように見える
この時期の砺波平野の散居村の風景を山の上から見ようか・・・
それとも夕刻 夜高行灯が 田んぼのなかを練り歩くのを眺めようか・・・
そんな野望も雨に打ち砕かれてしまいました・・・
どうして夜高祭りはぶつけ合いをするのか
・・・と思ってたら 大宰治を読むと
昔は津軽のねぶたでも やってたみたいですね
規模は小さいですけど
ある意味 ねぶたよりも面白い祭りですよ~~
でも やっぱり雨じゃない方がいいですね(笑)
カメラ 壊れるかと思いました(>_<)/~~
水の入った水田に屋敷林が浮かびあがるように見える
この時期の砺波平野の散居村の風景を山の上から見ようか・・・
それとも夕刻 夜高行灯が 田んぼのなかを練り歩くのを眺めようか・・・
そんな野望も雨に打ち砕かれてしまいました・・・
どうして夜高祭りはぶつけ合いをするのか
・・・と思ってたら 大宰治を読むと
昔は津軽のねぶたでも やってたみたいですね
規模は小さいですけど
ある意味 ねぶたよりも面白い祭りですよ~~
by dendoroubik
| 2015-06-15 10:15
| ◇津沢夜高あんどん祭
|
Trackback
|
Comments(8)