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あいの土山斎王群行

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滋賀県甲賀市土山。

今年で17回目を迎える、「あいの土山斎王群行」がおこなわれました。



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斎王は、、伊勢の斎宮御所へ遣わされる天皇の名代。

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天皇が即位されるごとに、未婚の皇女または女王の中から卜定され
皇祖、天照大神をはじめとする神々にお仕えするものだったそうです。

それまでにも斎王の前例はあったそうですが、
制度として定められたのは天武天皇の御世。
以降、600年以上にわたり、67名が斎王が、都より伊勢へ遣わされます。

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都が京に遷り、鈴鹿峠を経由する阿須波道が拓かれて以降、
近江を横切って伊勢へ向かう群行ルートが定着します。

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京から伊勢までは5泊6日の旅。

頓宮と呼ばれる宿泊所は、近江に3つ(勢多、甲賀、垂水)
伊勢に2つ(鈴鹿、壱志)あったとされています。

ただ、その度に造られては取り壊されるものなので、
遺構はなく、場所の特定が困難で、
5つの頓宮のうち、国の史跡指定を受けているのは
鈴鹿峠を控えた、土山の垂水頓宮だけだそうです。

この文化遺産を内外に知らしめんがために、はじめられたのが
斎王の群行を再現したこのイベントがだということです。

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見たことはないのですが、同様のイベントは京都嵐山(「斎宮行列」)と
頓宮のあったとされる三重県多気郡明和町(「斎王まつり」)にもあります。

「斎王」というのは、それほどロマンを掻き立てるものなのですね。

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小学校の前庭で禊式がおこなわれた後、斎王が御輿に乗り、群行がはじまります。
ここから、垂水頓宮まで、旧東海道沿いを約3キロの道中になります。

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80人ほどの従者とともに、旧東海道を東へすすみます

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当時の松並木が残る街道・・・

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諏訪神社で休憩。

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童女役の女の子たちによる、道中舞が披露されます。

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近江に5つある東海道の宿場町のうち
土山は、伊勢、坂下宿から、難所鈴鹿峠を越えて、最初の宿。

  坂は照る照る 鈴鹿は曇る
     あいの土山 雨が降る

歌詞の意味はよくわかりませんが、
「あいの土山」という愛称はこの「鈴鹿馬子唄」からとられています。

しかし、この日は「雨が降る」どころか雲ひとつない快晴で
群行の方々にとって、3キロの道中は、さぞたいへんだったことでしょう。

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地安禅寺まえで、再び休憩。

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真正面から照りつける太陽が眩しそう・・・

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采女、女嬬役の女の子たちによる、道中舞が披露されます。

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土山といえば・・・

小倉在往時代の森鴎外が立ち寄った場所として
記憶されている方もいるかもしれません。

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石見国津和野の藩医だった鴎外の祖父、白仙は
万延元年(1860)、藩主の参勤交代に随行して江戸へ出向。
翌年帰国の際に発病し、土山宿の井筒屋で急死。
津和野へは遺髪のみが届けられ、遺骸は常明寺の墓地に葬られます。

鴎外が生まれる前年のことです。

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明治33年、軍医部長会出席のため上京の途中、鴎外は土山に立ち寄り
無縁仏になりかけていた祖父の墓を探し当てます。

鴎外は、常明寺の境内に墓を修し、土山に一泊し、東京へ向かいます。

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遺言により、祖母と母も、土山の常明寺に葬られますが
昭和28年、3人の墓は故郷、津和野永明寺へ移され、
現在常明寺境内には、鴎外の子孫が建立した供養塔だけが残されています。

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群行は、常明寺や井筒屋跡は通らず
手前を北上し、国道1号線を横切って頓宮跡へ向かいます。

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茶畑に囲まれた頓宮跡に到着。お着き式がおこなわれます。

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呈茶式、お着きの舞が披露されて終了です。

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天気もよくて、旧東海道を群行とともに歩いくのは、とても気持ちよかったです。

資金面など、これからの運営もたいへんでしょうが、ぜひ、つづけていただきたいものですね。
Commented by senbei551 at 2014-03-27 01:43
うちの行きたい祭りリストにも入ってますわw
なかなか遠くて行けないなぁと思いつつ、こうやって写真で見せていただくと、まったりと美しいものを楽しむことができて、いい行事だなぁと思います。
気持よさそう(^^)
Commented by dendoroubik at 2014-03-27 17:42
☆せんべぇさん

えっ! こんなイベントまでご存じなんですか?
滋賀県民もあんまり知りませんよ(笑)

出演者は一般公募ですが
三重や京都の方もおられたので
知る人ぞ知る・・・なんでしょうか
今年の斎王役は 地元の女の子でしたが
とてもよく似合っていて感心しました

それにしても・・・
片道3キロほどの道中とはいえ
終わって駐車場まで引き返すので
往復6キロ歩いたことになります
おかげで未だに筋肉痛で
階段の昇り降りに苦労してます(笑)
by dendoroubik | 2014-03-26 12:08 | ◆近江の祭 甲賀 | Trackback | Comments(2)