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酒井神社のまいどこ神事

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滋賀県大津市下阪本の酒井神社で、
毎年11月22日の夕刻、まいどこという神事がおこなわれます。

学校を終えた児童たちが、手に御幣を持ち、
順番に吽形阿形の面を被りながら、
酒井神社から、旧社地へ参拝し、再び戻ってくる。

・・・たったそれだけの神事です。

行き帰りに子供たちが唄う歌が、とても不思議です。

 まいどこ まいどこ 藁 三把 出ーさんモンは
       ツーラに毛ぇが いっぱい 生よ 生よよー




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向かって右側か酒井神社、左がこの神社から分かれた両社神社です。

社伝によると、創建は、弘仁元年(810)。
下阪本の梵音堂にある磊 から酒が涌き出し、
その酒の精が大山咋神であるとの神告から、
磊を神体として社が建てられたと言われます。

元亀二年(1571)織田信長の比叡山焼き打ちによって
この社は焼け落ちますが、天正十六年(1588)に再建。

元和六年(1620)広島藩主浅野長晟によって
梵音堂から南西へ300メートルほど離れた場所に、
新たに社殿が建てられ、これが現在社の酒井神社です。

なぜ、現在地に遷されたのかはわかりませんが、
このあたりはギリギリ、明智光秀の坂本城の縄張り。
廃城(1587年)後、堀は埋め立てられ、
大津から北陸へ至る北国海道として整備。
その街道沿いに、現在の下坂本の町並みが形成されます。
これがちょうどこの時期に当りますので、
あるいはこの町づくりと社殿の遷座は関係あるのかもしれません。
(たんなる想像で、根拠はありません)

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浅野長晟は下阪本出身で、最初、秀吉に、関ヶ原後は家康に仕えた武将。
酒井神社を建立したときには、安芸国広島藩初代藩主(42万石)に収まっていました。

それ以前も彼は、故郷のこの神社へ貢献しています。

永禄年中征伐凱旋にあたって、阿吽二面などを寄進。
現在もこの面は神社が所蔵(博物館に委託)していますがまいどこで使われるのはそのレプリカです。

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午後3時過ぎから、三々五々、児童が神社に集まってきます。

きっちり何時から・・・と決まってきるわけでもないらしく、
学校が終わってから・・・というゆるい決まりみたいです。

「○○君がまだ来ていないなあ」
「じゃあ、呼びにいってくる」


・・・と言った子供がなかなか帰ってこなかったり・・・という感じです(笑)

本殿前で参加者のお祓いがはじまったのは午後4時頃でした。

 まいどこ まいどこ 藁 三把 出ーさんモンは
       ツーラに毛ぇが いっぱい 生よ 生よよー


その後、子供たちが歌いながら、旧社地へ向います。

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10分ほどで到着。
子供たちはカエデの木から葉を毟り取り、まもなく酒井神社へ戻ります。

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まいどこ まいどこ 藁 三把 出ーさんモンは
       ツーラに毛ぇが いっぱい 生よ 生よよー

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以前に見たときは、この後、氏子町内をくまなく廻っていたしたが、今回は往復だけに簡略化されていました。
  
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子供たちが唱えるこの唄から、神社ではこの神事をまいどこと呼ぶそうです。
「参ろうか」 とか「毎度」の転訛かな、とも思うのですが、意味自体は不明なのだそうです。
 
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翌朝5時頃、神社で藁を燃やすお火焚があるそうなので、
子供たちが、その藁の供出を呼びかけている・・・というのは僕の想像です。

阿吽の面を被るのは、神威を借りるため。
藁を供出しないような胡乱な奴は、
顔から毛がいっぱい生えてくるぞ・・・というユーモラスな脅しではないかな、と。

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御幣と阿吽の面を神前に返し、カエデの葉を供えて終了。
子供たちはお菓子を貰って散会です。
ちょっとハロウィンっぽい行事かな・・・と思うのですが、いかかでしょう(笑)

それにしても、ゆるーい感じの神事です。
これほどゆるい神事が、現在まで存続してくれたことに、
ある種、感動すら覚えます。ずっと続いてほしいものですね。

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by dendoroubik | 2013-11-30 20:09 | ◆近江の祭 大津 | Trackback(1) | Comments(0)