2013年 11月 02日
米原曳山まつり 2013 その5 壽山組②
持っていた刀でいきなり彼女の脇腹を刺してしまします。
これも姫の言いつけか
・・・と、狂乱するお三輪に向って鱶七、
実は金輪五郎は、
女悦べ。
それでこそ天晴高家の北の方、
命捨てたる故により、
汝が思う御方の手柄となり
入鹿を滅ぼす術の一つ、オゝ出かしたなあ・・・
いきなり切りつけておいて「女よろこべ。でかしたなあ」
・・・はないと思うのですが(笑
こんな事情です。
「疑着の相」・・・という言葉が出てきます。
「執着心の強い相貌」・・・のことをいうそうですが、
お三輪は、嫉妬に荒れ狂って、
まさにその「疑着の相」に。
白い牝鹿の生血を呑まされた母親から、
霊験によって生まれたのが蘇我入鹿。
超人的な悪の力を持つ
その入鹿を打ち倒す方法はただひとつ。
「爪黒の鹿の血汐」と「疑着の相ある女の生血」
このふたつを笛にかけて吹くこと・・・。
のう冥加なや。勿体なや。
いかなる縁で賤の女がさうしたお方と暫しでも、
枕かはした身の果報、
あなたのお為になる事なら、死んでも嬉しい、忝い。
利用されただけではないのか
・・・と素直に感情移入できませんが、
もともと身分違いの恋ですから、
求女のために死ぬ
・・・という観念の上でしか救われようがないのかもしれません。
・・・とはいふものゝいま一度、
どうぞお顔が拝みたい。
たとへこの世は縁薄くと、
未来は添ふて給はれ
と這ひ廻る手に苧環の・・・
この主様には逢はれぬか、
どうぞ尋ねて求女様もう目が見えぬ、
なつかしい、恋しや・・・
・・・といひ死にに、思ひの魂の糸切れし。
小田巻塚と今の世まで、
鳴り響きたる横笛堂の因縁かくと哀れなり