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米原曳山まつり 2013 その4 壽山組①

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「妹背山婦女庭訓 三笠山御殿の場」

「大化の改新」を舞台にした有名な歌舞伎ですが、
前段がズバッと省略されています。

三角関係を構成するひとり、
橘姫が登場しなかったり、
素性を怪しまれて囚われていた男が
説明なしにふいに登場したりするので、
ストーリーを知らずに見ると、
まるで理解できないかもしれません・・・。




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皇位を奪おうと伺う、蘇我一族と
天智天皇側との争いをタテ糸、
天智天皇を奉じる藤原鎌足の息子、
淡海(求女)と、その恋人お三輪、
そして蘇我入鹿の娘、橘姫との
三角関係をヨコ糸に物語は展開されます。

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舞台は、入鹿が三笠山に新築した豪勢な館。

 もう少し、前段を説明しておくと・・・

鎌足からの和睦の使者として鱶七という男が訪ねてきます。

この男、実は淡海の家来、金輪五郎。

素性を怪しんだ入鹿は、この男を館の奥に拘束します。

その頃、入鹿の妹橘姫が求女との逢瀬から戻って来ます。

着物の裾に赤い糸がついているのをいぶかしんだ官女たちが、
それを引き寄せると・・・というところから、舞台がはじまります。

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 たぐりたぐればくるくると、
 糸に寄る身はささがにの、
 雲井の庭に引かれ来る、
 ぬしは床しの・・・


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赤い糸の苧環(おだまき)を持った求女が現れます。

求女(実は藤原淡海)は、
自分に惚れた女が入鹿の妹、橘姫であることを知り、
切り殺そうとするのですが、
彼女が唯々諾々と討たれようとするのを見るや、
入鹿が奪った宝剣を取り戻すことを条件に、
夫婦の契りを約します。

・・・と、このあたりの事情も
舞台には登場しないので、ちょっとわかりにくい。

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 迷いはぐれし、かた鶉、
 草の靡くをしるべにて、
 いきせきお三輪は走り入り・・・


ブツクサ言いながら、
杉酒屋の娘、お三輪が登場します。

お三輪は」求女と恋仲ですが、
彼が淡海だということは知りません。

最近、求女のもとへ、
やんごとなき様子の女性が忍んできているという噂を聞いて、
やきもきしたお三輪>は、変わらぬ愛のしるしにと、
七夕に供えた赤い糸の苧環を、求女に渡し、
自分は白い糸の苧環を持っています。

しかし、求女はくだんの女性が気になるようで、
着物の裾へ苧環の赤糸をつけて後を追っていました。

求女から離れたくないお三輪は、
彼の裾に苧環の白糸をつけて追いかけていたのですが、
途中で糸が切れ、見失ってブツクサいっているのでした。

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糸は切れながらも、
ようようお三輪御殿にたどりつきますが、
通りかかった豆腐買いの女中から
求女と橘姫との祝言がおこなわれると聞きます。

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 主ある人をば大胆な、
 断りなしに惚れるとは、
 どんな本にもありゃせまい。
 女庭訓しつけかた、よう見やしゃんせ、
 エたしなみなされ女中さん


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逆上したお三輪は御殿の中へ駆け込もうとしますが、
イケズな官女に止められ、
おまけにさんざんイビられてしまいます。

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このイジメシーンがけっこう長くつづきます。

こんなに長く引っ張るくらいなら、
前後の事情をきっちり説明するほうが
物語がわかりやすくなるのでは・・・とも思うのですが、
これもお三輪を屈辱に塗れさせ、
憤怒させる物語上の伏線になっています。

それに、ヒロインが同性たちに
執拗にいたぶられるシーンは、今も昔も人気が高い(笑)

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さんざんいたぶられた上に
外へ放り出されたお三輪は、
失意のうちに家へ帰ろうとしますが、

 「三国一の婿取りすました」

・・・の声に、様子が一変します。

 エエ胴欲ぢゃ胴欲ぢゃ。
 男は取られ、その上に、又恥かかされ、
 何と堪えて居らりやうぞ。
 思へば思へばつれない男。
 憎いは此家の女めに、見返られたが口惜しい


乱れ髪に物凄い形相
(・・・という設定だと思いますが、さらに可愛くなってますね^‐^)

 おのれおめおめ、添わせうか

お三輪は、何かに憑かれたように
御殿の奥へ駆け入ろうとします。

そこへ、なぜか監禁されていたはずの鱶七が現れ・・・。   <つづく>
by dendoroubik | 2013-11-02 15:09 | ◇米原曳山まつり | Trackback | Comments(0)