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比良八講荒れじまい

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「比良八講荒れじまい」

近江にそんな言葉があります。

一見、穏やかに見えるびわ湖ですが、この時期、寒気がぶり返し、
比良山から突風が吹いて大荒れになることがあります。

この局地風を「比良颪」とか「比良八荒」と呼びます。

びわ湖の西側は、比良の東麓が湖に迫っていて、
急斜面を駆け降りるように吹くこの北西の風は、
全線高架のJR湖西線で
停車中の貨物列車を横転させたこともあるほど。
1941年の4月のはじめ、 死者11名を出した
旧制第四高等学校漕艇部の遭難事故も、
この「比良颪」が原因といわれます。

かつて比良にあった天台寺院で、法華経を講読する
「法華八講」とよばれる法要が営まれていました。
その時期が、びわ湖の荒れる時期と重なっていたことから
これが終わる頃に局地風も収まるという意味で

  「比良八講 荒れじまい」

という言葉が生まれたそうです。

比良(法華)八講の法要は、途絶していましたが、
昭和30年、箱崎文応大僧正によって再興。
毎年3月26日、天台僧侶によって、浜大津、
近江舞子でおこなわれています。




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近江の昔話に、修行僧に恋をした娘の話があります。

びわ湖の東岸から西岸にたらいの舟に乗って百夜通いをする話。
いろんなバリエーションがありますが、共通するのは、
百日目に「比良颪」で対岸の燈火がかき消され、
荒波にもまれて転覆・・・恋が成就しない、という結末です。

「稚児娘」と呼ばれる女性たちが手にしたぼんぼりは、
その燈火を表しているそうです。

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南小松の子供たちが、野村太鼓で一行をお出迎え。
(向こうに見えるのは、一行が浜大津から乗ってきた観光船ビアンカ)

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記念植樹。

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雄松崎に設けられた護摩道場へ。

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雄松崎は、約3kmにわたって白砂青松のつづく風光明媚な名勝です。

「琵琶湖周航の歌」の2番の歌詞は、ここが舞台・・・。 

  松は緑に 砂白き
  雄松が里の 乙女子は
  赤い椿の 森陰に
  はかない恋に 泣くとかや


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山伏たちの手によって、
いろいろな作法が執りおこなわれていきます。

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護摩の煙は四方八方へ。まさに比良八荒。

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大阿闍梨が数珠でお加持を与えてゆきます。

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今年は春が早く、週明けには桜も満開の予報。

いまさら比良八講でもないかな
・・・と思わないでもなかったのですが、
この日は前日よりも3℃も低く、
びわ湖岸には冷たい風が吹き荒れていました。

やっぱり、これが終わらないと
湖国に本格的な春は来ないのかもしれません・・・。

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最後は(なぜか)恒例の山伏たちによるモチまき・・・。
Commented by tora003 at 2013-03-27 22:29 x
昨日は名古屋も寒の戻りで桜の開花も足踏み状態。
比良山系は京都方面へ向かう新快速の車窓から琵琶湖越しに眺めてばかりですが・・・
「琵琶湖周航の歌」に歌われる松の緑と白砂の美しい
風光明美な水辺なのですね。
春を告げる厳かな宗教行事、興味深く拝見いたしました。

Commented by dendoroubik at 2013-03-27 23:28
☆トラさん

「背(標高)が足りない」・・・という理由で「日本百名山」に入りそびれた比良山ですが
滋賀県民にとっては印象深い山です
伊吹も比叡も岐阜京都の方々と分け合っている感じですが
比良のうしろは丹波高地なので これはもうザ・滋賀県な山^-^
とくに早春から初夏にかけての景色がよく
「比良の暮雪」・・・と近江八景のひとつにもなっていますね
護摩供養じたいはそれほど珍しい行事でもないのでしょうが
この時期 比良の麓のびわ湖岸でおこなわれることに意味がある
・・・とそんなことを考えながら撮りました
自分にしてはよく撮れた・・・と思いながら 去年の写真を見返したら
ほとんど同じような写真でした^-^;
進歩 ありません・・・
by dendoroubik | 2013-03-27 01:00 | ◆近江の祭 大津 | Trackback | Comments(2)