人気ブログランキング | 話題のタグを見る

水海の田楽能舞 その2 田楽

水海の田楽能舞 その2 田楽_c0196076_22281647.jpg


午後1時半より「鵜甘神社」拝殿にて、4番の田楽舞「烏とび」「祝詞(のっと)」
「あまじゃんごこ」 「阿満(あま)」、つづいて能舞「式三番」「高砂」 「田村」 「呉羽」 「羅生門」が奉納されます。 



水海の田楽能舞 その2 田楽_c0196076_23503742.jpg
 
「烏とび」

その名の通り、烏のような黒づくめの舞人が1人登場します。

  「インーヤーハー」

の掛け声で、舞人が舞台を一周するだけの舞。
「中啓」という扇の一種を肩にかつぐように左右に振りあげながら、片足ずつ交互に跳びはねていきます。
これは大八洲の国造りを意味し、土地の区画を定めている動作をあらわすそうです。
生命を賦活させるような、深遠な雰囲気が漂いはじめます。

水海の田楽能舞 その2 田楽_c0196076_2163456.jpg


水海の田楽能舞 その2 田楽_c0196076_2117113.jpg

「祝詞」

狩衣に袴、烏帽子をかぶった翁が登場します。

「中啓」と「チリ」(先の奉書紙を挟んだ竹)をもっています。
囃子も謡もなく、今日ここで田楽能舞を奉納する意味を翁が朗々語りながら舞います。 

水海の田楽能舞 その2 田楽_c0196076_23302831.jpg

  さ候らえば東西鳴り高し最明寺殿の始正月のご祈祷に
  何をか仕まつらんと各々寄りて詮議し給ふ
  何々と申し候えどもこの御田楽にすぎめでたきことの
  あるまじきと拠って評定し給ふ

最明寺殿、時頼のために田楽能舞を奉納しようと相談する様子が語られます・・・

水海の田楽能舞 その2 田楽_c0196076_21425025.jpg


水海の田楽能舞 その2 田楽_c0196076_21292096.jpg

「あまんじゃこ」

白、黒、赤のシャグマをかぶった3人の舞人が登場します。
手に持った「びんざさら」を掻き鳴らしながら、老人のように腰をかがめて舞台をまわります。 

水海の田楽能舞 その2 田楽_c0196076_21243936.jpg
  
  「ヤー、アンハー」

の掛け声と、力強い太鼓の音、びんざさらのジャラジャラいう音が単調に繰り返され、 いつしか不思議な世界に引き込まれていきます・・・

水海の田楽能舞 その2 田楽_c0196076_21323113.jpg

荒ぶる神を鎮め、世を清め祓う舞だそうです。

水海の田楽能舞 その2 田楽_c0196076_2205665.jpg
 
「阿満」

中啓とチリを持った異形の男が登場します。 『千と千尋』に登場する「顔なし」みたいな不気味な風貌。

水海の田楽能舞 その2 田楽_c0196076_21455373.jpg

笛が二人、太鼓と小鼓がそれぞれ1人の囃子。 

水海の田楽能舞 その2 田楽_c0196076_22153520.jpg

農耕作業のあらましを述べたあと、チリを鈴に持ち替えて、後半は豊作を祝う舞を舞います。

水海の田楽能舞 その2 田楽_c0196076_22333764.jpg



水海の田楽能舞 その2 田楽_c0196076_223311100.jpg

  このよろこびに神つかさ国御領所は富貴万福神は
  あらせ給うぞや尚お尚お御はやし候

水海の田楽能舞 その2 田楽_c0196076_22364266.jpg

舞台を取り囲む多くの観衆のなかでこれを見ていたわけですが、
昔はこんなギャラリーなどはおらず、村人だけで執りおこなわれていたはずです。
何百年も、そんな風にひっそりとおこなわれていた様子を想像すると、その信仰の深さに慄然とする思いでした・・・
by dendoroubik | 2013-02-17 21:00 | ◆越前の祭 | Trackback | Comments(0)