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湖国百景しりとり紀行 その3

21.たろうぼうぐうおひたきたいさい
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巨岩が露出した円錐形の赤神山(標高350m)。
その急斜面の中腹に取りつくように鎮座するのが、
約1400年前の創祀と伝えられる太郎坊宮こと阿賀神社。

毎年12月第1日曜日におこなわれるのがお火焚大祭。
3メートル四方の護摩壇に火が入れられるや、天突く煙。
修験者たちが次々と護摩木を投入していきます。

ともかく煙が大迫力!



22.いぶきやま
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標高1,377mの伊吹山は滋賀県最高峰。

県内で唯一『日本百名山』(深田久弥)
に選ばれている山でもあります。

(比良山は「背が足りない」という理由で外されています)

  新幹線で岐阜との国境のトンネルを抜け、
  ふいに右側に現れるとき・・・
  名神高速で彦根のトンネルを抜け真正面に現れるとき・・・
  夕暮れに湖西からびわ湖越しにその姿を遠望するとき・・・

ほんとに美しい山だなあ・・・と感じます。

古来より歌枕として知られ、
岐阜・滋賀・愛知・三重の四県で、
伊吹の名が校歌に出てくる学校は
370校もあるのだそうです。

23.まぼろしのみずうみ湖国百景しりとり紀行 その3_c0196076_1043753.jpg
映画産業華やかなりし頃、
京都の撮影所から近いこともあって、
滋賀では頻繁にロケがおこなわれていました。

とくに、京都には海がないので、
びわ湖を海に見立てて撮影されることも多かったようです。

>『銀幕の湖国』(吉田馨著 サンライズ出版)という本によると、
あるときは厳流島に(『宮本武蔵 厳流島の決斗』)、
またあるときは瀬戸内海の船着き場に(『悪名』)
・・・などなど大活躍。
あの大魔神もびわ湖から登場しています(笑)

びわ湖を「海」ではなく「びわ湖」として撮影された映画も、
もちろんたくさんありますが、その極めつけといえば、
やはり『幻の湖』でしょう。

不覚にもこの映画のことを知らず、
annyさんに教えていただいて、先日はじめてDVDで観たのですが・・・
いやあ、これはとんでもない映画でした!!!

「東宝創立50周年記念映画」の冠がつき、
原作・脚本・監督は橋本忍・・・とくれば、
誰しも「ハズレのない映画」だと想像してしまうでしょう・・・が・・・。

脚本家としての橋本忍といえば、
黒沢映画の『羅生門』、『生きる』、『七人の侍』、
『悪い奴ほどよく眠る』、『どですかでん』、
黒澤映画以外にも『白い巨塔』、『日本のいちばん長い日』、『日本沈没』、
TBSのドラマ『私は貝になりたい』などを手がけた
「日本を代表する」といっても過言ではない人ですね。

1973年に「橋本プロダクション」を設立。
第1作が、原作の松本清張をして

  「原作を上回る出来」

といわしめた『砂の器』。
2作目の『八甲田山』も空前の大ヒット。

そして、自ら監督をつとめた第3作がこの『幻の湖』
・・・なのですが、空前のヒットメーが放ったこの作品は
空前の大ゴケ・・・都市圏の映画館では
1~2週間で打ち切り。
地方へは配給さえされず、舞台となった滋賀県ですら
上映されることなくお蔵入りとなりました。

突っ込みどころ満載の「カルトムービー」として、
あちこちでストーリーが紹介されていますが、
ぜひDVDでじっくり(2時間44分)ご覧ください。

滋賀県民必見です。

24.ミシガンしゅう
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北アメリカ五大湖のひとつ「ミシガン湖」のあるミシガン州と
滋賀県とは1968年、姉妹都市協定に調印。
翌年、州都ランシング市と県庁所在地の大津市とは、
姉妹都市提携を締結。

1982年からはミシガン州国際交流研修生が
毎年1年間大津市にやってきて、
大津港から出航する観光船
「ミシガン」で研修をおこなっています。

「ミシガン」の陽気な外国人乗務員の方々は、
ランシング市の学生さんだったのですね・・・

25. ヴュルツブルクし
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大津市はドイツ、ロマンティック街道の起点にある
ヴュルツブルク市とも
姉妹都市提携を結んでいます。

詳しい経緯はわかりませんが、おそらく彼の地の生んだ
詩人マックス・ダウテンダイ(1867年~1918年)が、
大津を舞台にした幻想小説集『近江八景の幻影』
(Die acht Gesichter am Biwasee)
を書いていることが縁でしょうか。

平成10年、市制100周年を記念して、
びわ畔のなぎさ公園にヴュルツブルクハウスが建設。
ヴュルツブルクから職人を招き、建築資材も取り寄せて、
本格的フランケン地方の民家が再現されています。

皇子山公園には「ヴュルツブルク通り」という名の、
これはなんということもない通りもあります。

26.しのだのはなび
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滋賀県は「奇祭」の宝庫です。

「奇祭」に関する本には必ず登場しますし、
その数もいちばん多いと思います。

その中でも、僕がいちばんド肝を抜かれたのは、
この「篠田の花火」です。

篠田神社の鳥居近辺でおこなわれる
打ち上げ花火と仕掛け花火の競演。
クライマックスは境内に設えられた10畳ほどの板の大爆発。
そして静かにほの青く浮かび上がる幻想的な和花火の絵図。
最後に松明の奉納・・・。

信じられない!
こんなことが現代日本でおこなわれているなんて!


27.びわこだいはなびたいかい
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毎年8月8日は「パチパチの日」・・・びわ湖大花火大会です。

湖面に映る花火の光がいいんです・・・

28.いしだみつなり
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「有能な官吏だが、偏狭で人を動かす徳のない器の小さな男」

石田三成に貼られたレッテルは、
おおむねそんなところですね。

でも、ほんとうにそうだったんでしょうか・・?

  三成に過ぎたるものが二つある
       島の左近に佐和山の城

彼を表す この有名な言葉なんかも、
敗者を不当に賤しめて、勝者を正当化しようという
意図が見え透いているようにも思えます。

その佐和山城が、
いまも見られることをご存じでしょうか?


  えっ? ご存じない?


それもそのはず「佐和山遊園」という
石田光成のテーマパークは
公式な滋賀の観光案内なんかには、
いっさい記載されていません。

運営は財団法人佐和山三成会。

・・・というか、実態は三成のテーマパークを構想した
地元のひとりの実業家。
彼はこのテーマーパークに1976年 着工。
佐和山城(みたいなもの)や金閣寺(みたいなもの)、
東大寺の仁王(みたいなもの)を
つぎつぎにつくりあげていきます。

が・・・建築基準法の要件を満たしていない
との理由から、今もオープンできないまま・・・
ひっそりと、国道8号線沿い、
佐和山トンネル脇で増築、改築工事がおこなわれています・・・。

29.りゅうせい
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流星(龍勢)とは狼煙のようなもので、
忍者同士の通信手段。

甲賀神社発祥の地、甲南町竜法師で、
毎年9月12日、瀬古薬師堂の「会式」の日
「瀬古の流星」と呼ばれる伝統行事がおこなわれます。

写真は「流星」を重ねて合成しているので、
けっこう派手に見えるかもしれませんが、
じっさいは、初秋の宵に間歇的に打ちあげられる、
とても牧歌的な光景でした^-^

30.いもくらべ
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最後に「奇祭」をもうひとつ。

  「中山の芋くらべ祭」

この祭りの起源は、おそらく800年まえ・・・
その原型は1000年ほどまえに遡るといわれます。

どんな内容かというと・・・

今となっては、ほとんどが何を意味するのかわからない
形式的な所作が延々とつづきます。
(おそらく、神と人間との饗応をあらわしているともいわれます。)

そして、最後に東西ふたつの集落から
その日の朝、掘り出された芋(ずいき)を
竹に結び、その長さをくらべ合います。

  「こっちの方が長い」
  「いや、こちらの方がもっと長い」

そんな問答がこれまた延々と繰り返されます。

話によると、昔、決着がつかず、
夜中までくらべ合いがつづいたこともあったのだとか(笑)

東が勝てば豊作、西が勝てば不作・・・とのことですが、
見ている方は、どうやって決まるのかもわからないまま、
最終的に勝負がついてしまいます。

まだまだ暑さの残る9月1日、
意味の理解できないこの行事の一部始終を眺めていると
頭がボーッとしてきて
なにかモノ狂おしい気分になってきます・・・
by dendoroubik | 2012-12-14 21:35 | ◇湖国百景しりとり紀行 | Trackback | Comments(0)