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大津 長等神社の綱打祭

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三井寺は、桜や紅葉の季節には多くの人が訪れる滋賀の観光地のなかでも
比較的、人気のあるスポットですが、
その鎮守神でもあるこの長等神社へ
参詣する人はそれほど多くありません。

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この神社はもともと、天智天皇が近江に都を遷されたとき(667年) 
都の鎮護として長等山山中の霊地に須佐乃男命(スサノオノミコト) 
を祀られたのがはじまりといわれています。 

その約200年後、三井寺の開祖・円珍(智証大師)が
日吉山王神(大山昨大神)を勧請合祀、
さらにその約200年後、参詣の便宜をはかってこの地に遷されます。 

京への峠道、「小関越え」のすぐ脇でもあり、
当時としては交通量の多い繁華な通りだったんでしょう。 
三井寺と大津の中心部のあいだにあって、
現在はちょっとわかりづらい場所になってしまっているのが、
観光客の多くない理由かもしれません。

小正月をひかえた1月14日から16日にかけて、
この神社で「綱打祭」と呼ばれる
一連の神事がおこなわれます。 
神社所蔵の この神事を描いた画の裏書に 

「延長6年 (928) 正月12日、志賀の土人、
社前に巨蛇の形を造り、神事を行ふ」

とあるそうなので、すくなくとも1000年以上まえ
・・・ということは、この地へ遷宮する以前から
おこなわれてことになりますね。 

14日午後の「綱打祭」と
15日朝の「焚き上げ祭」を見物したのですが・・・
同じ大蛇を燃やす祭りでも、前回UPした 
『勝部の火祭り』の迫力とはほど遠く、
およそ1000年もつづく由緒ある神事とおもえない 
ゆる~い感じ、がとてもよかったです。




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「綱打ち」は14日の午後1時からはじまります。 

氏子たちが持ち寄った藁を本殿横の木に結わつけて、
大蛇の胴体、尾の部分を編みあげていきます。 

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三つ編みの要領ですね。

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編まれた胴と尾は、
ちょうど楼門の先までの長さに調整されていきます。

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一方、拝殿では、大蛇の頭の部分づくりに余念がありません。 
拝殿から本殿へ向けて大蛇が設えられていきます。

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本殿の祭神、ヤマタノオロチを退治した
スサノオノミコトの御心を安らげる
・・・という意味合で、大蛇がささげられるのでしょうか・・・

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ああでもない、こうでもない・・・といいながら、開始から3時間・・・

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ジャ~ン! 
(蛇~ん?) 
完成です!

































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日本神話では「ほおずきのよう」と表現される目玉は
橙(ダイダイ)がつかわれています。









それにしても・・・
完成した藁の供物は、というよりも、ビワコオオナマズかアンコウ・・・











拝殿のまえから楼門までつづく大蛇の長さは約30メートル。 
けっこうな長さだと思うのですが、
聞くところによると、このオロチの尾は、
むかしは1本ではなく、氏子の各町がそれぞれつくっていた
・・・つまり数本(8本?)あったそうです。 

各町が夜通しで競ってつくった尾は、
500メートル先の菱屋町商店街や、
京阪電車の路線あたりまでつづいていたというから驚きです。

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さて、2日後の16日の朝。 

  「踏むとご利益がある」

といわれるオロチの尾・・・
だいぶ、踏み荒らされている気配です・・・

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午前9時、拝殿から大蛇の頭の部分だけ取り外され、
火桶のなかへ据えられます。

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祝詞が奏上されたあと、
塩、酒、米などがオロチの頭に振りかけられ、
木箱に入った御神灯から、いよいよ奉火されます。

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見ようによっては・・・

  「オロチが火を吐いている」

・・・と見えなくもないですが・・・あまり絵には(笑)

近所のどんど焼き(左義長)といった感じです・・・

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そのあと、オロチの胴体が切り刻まれ、
つぎつぎに火にくべられていきます。

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同時に、正月の飾りモノなどが火になかへ放り込まれていきます・・・



余談です・・・

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長等神社向いのヴォーリズ住宅「旧ニップ邸」(大正14年竣工)
・・・先日来 売りにだされていましたが、
この日、ふと覗いてみると・・・おっ! 新しい表札が!

大津市かどこかが買い取って公開してくれないかなあ
・・・とも思っていたのですが、
大正時代の建物に、あらたに住もうという方がおられるところが、
またすばらしいですね。 

(年末ジャンボで3億円当たっていれば、僕が買っていたのですが・・・)
Commented by nochi423 at 2012-01-17 23:32
焼かれる大蛇を見守るオジサマ達が…お祭りの雰囲気が伝わってきました。
ちょっとコアなイベントもまったりしていいですね。
それにしても500メートルってすごい!!
その間に居るかもしれない飛び出し君の事を想像してしまいます。
Commented by toco-luglio at 2012-01-18 01:28
こんばんは
本当に、お祭りが多くて羨ましい!!!
それぞれ、地元の皆さんに守り継がれてきたのですよね。
ヴォリーズ設計の家も、買う人がいて「現在進行形」というのがいいなあ。

Commented by dendoroubik at 2012-01-18 01:54
☆ノチさん

飛び出し君と大蛇のコラボ ぜひとも見てみたかったですねえ(^O^)
でも 飛び出し君が登場したころには もう大蛇の長さは 現在のようになっていたかもしれません(>_<)

各町が長さを競い合った…といいますが
そんな子供っぽいことを競い合う心意気?が好きですねえ^_^;
Commented by dendoroubik at 2012-01-18 02:09
☆tocoさん

京都も年がら年中 祭りをやってるようなものですが
滋賀の祭の多様さも 興味深いですね
いわゆる「奇祭」と呼ばれるものが多く そのテの本では かならずいちばん多く収録されていますね^_^;やはり 受け継ぐ下地…みたいなものが強いのでしょうか

大正時代の建物に あらたに住める…というのは やはりスゴイことですね!
Commented by yume at 2013-02-08 16:57 x
気になるニップ邸ですが、2013年2月4日も、このように幌がかかっていました。
幌のかかったニップ邸画像は今年ではなく、確か去年だったよなぁ。。と思いながら見ていましたが、やはり2012年でした。
一年間、私も見てなかったから。。このまま一年だったかどうかは。。わからないのですが。。。。。
Commented by dendoroubik at 2013-02-08 20:31
☆yumeさん

1月に長等神社へ行ったとき 覗いてみるのを忘れてました!
標札がかかっているので お住まいの方に気兼ねする気持ちもあって
あまりジロジロ覗きこめなくなった…というのもありますね…

それにしても あんな物件を購入されるなんて
趣味がいいというだけでなく
よほど経済力がおありの方なんでしょうね
いちど中を拝見させていただきたいものです(^-^
by dendoroubik | 2012-01-17 15:00 | ◆近江の祭 大津 | Trackback | Comments(6)