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日野 中山の芋くらべ祭

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毎年9月1日に、日野の中山地区でおこなわれる
「芋くらべ祭」は「天下の奇祭」なんて呼ばれることがあります。

なるほど、東西両集落から持ち寄った芋の長さを競べる
・・・いってみれば、ただそれだけの祭を
奇祭といっても差し支えないようにも思えます。

ただ、じっさいに見てみた印象をいうと、
奇祭とはまったく逆・・・のものでした。

この祭の体裁が整ったのは、
およそ800年以上まえといわれ
・・・一説には、その基になった祭祀は、
おそらく1000年以上まえ・・・
このあたりに人が住みはじめたころから
あったともいわれています。

神を饗応して語らい、最後に豊作を占うだけ
・・・奇抜な装束や、笛・太鼓のお囃子
なんかもいっさいないプリミティブな祭です。

でも、もともと祭とはおそらくそういったもので、
時を経るにしたがって奇抜な装束や音曲が加わり、
どんどん「奇祭」になっていった
・・・というのがじっさいのところなんじゃないでしょうか・・・?

「天下の奇祭」どころか、日本でも、
もっともオーソドックスな祭のひとつかもしれません^^




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祭は午後1時、集落の中心に位置する
熊野神社からはじまります・・・
が、昼すぎまで病院だったので、
駈けつけた2時には、すでの集落のはずれ
「野神山」と呼ばれる丘のうえに設えられた
祭場に舞台は移っていました。

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古式に則った儀礼が、炎天下で
延々と2時間ほどつづくのですが、
テープで解説が流れているので、
なんとなく流れはつかめます。

どうやら、神と人間の饗宴をあらわしているようです。

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おおまかな流れをいうと・・・

まず芋の供進があり、神へ膳を奉ります。

三々九度の杯ののち、参列者に膳が出されます。
そして、芋打ちの酒肴が出されます・・・

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参列者は、絣の着物を着た「山子」(やまこ)
と呼ばれる8歳~14歳の男の子たち。

裃をつけた「山若」(やまわか)と呼ばれる
16歳以上の青年たち(東西各7人)。

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「をり」米粉をこねて、
魚を模り、赤く着色した食べ物。

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そのほかに、餅、せんば(里芋の茎)、
ぶと(米粉を平たくのばしたもの)、
冬瓜、大角豆など計6品。

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半切の東西交換。

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祭場中央に「芋くらべ石」という
やや大きめの石が置かれ、
そこを境に東西にわかれています。

東西両方に設えられた神座。
祭の途中、何の前触れもなく、
石を吊るした紐が小刀で断ち切られます。

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落ちた石を、東西の山子が拾いに行きます。

この石は山子が家へ持ち帰り、
来年の祭まで大切に保管するそうです。

・・・が、この一連の行為が何を意味するのか、
いまやまったくわからないそうです・・・

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山子の相撲。

立ち会ったところで、山若の行司が
ストップをかけ、勝敗はつけられません。

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何度か繰り返されます。

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いよいよ、芋くらべがはじまります。

祭の朝、東西両集落で
もっとも長い里芋が掘り出され、
太い竹の先に結わえらます。

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「定尺」(じょうじゃく)

芋の長さを測るモノサシです。

芋くらべ石のうえで、1本の木を割ったもの
・・・つまり同じ長さであることが確認されます。

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三番尉(三番目の年長者)が定尺を使って
里芋のずいきの長さを測っていきます
・・・といいますが、じっさいに測っているようには見えません。

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それどころか、酔っ払いのようによたよたしながら・・・
あるいは、トランス状態のダンスのように・・・
芋の長さを測っていきます。(「芋を打つ」というそうです)

これは、神が芋を打っているさまを
あらわしているともいわれるそうです。
(だから、あんな千鳥足なんですね)。

測定が身贔屓に拠らない正当なものであることを
主張しているのでしょうか・・・?

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お互い測りおえると、結果の報告です。

が・・・

  「東(西)の芋より西(東)の芋は、
   一丈も二丈も三、四丈も五、六丈も長う打ちましてござる」

と、自分の芋の方が長いと主張しあいます。

大切な祭だからということで、
芋を交換して測ってみては・・・という提案がなされ、
今度は相手の芋を打っていきます。

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テープの解説によると、延々と勝負がつかず、
深夜にまで及んだという記録がある、とのことですが・・・
あんないいかげんな測りかた?で、
勝負なんかつくはずない・・・とも思えるのですが(笑)

・・・でも、この日もけっきょく、
定刻には決着がついたのが不思議です。

古来、西が勝てば豊作、東が勝てば凶作
・・・といわれている、と解説にありますが、
さいしょから西が勝つようにしとけばいいのに・・・とも思うのですが、
そういうものでもないんですね・・・

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9月になって作況を占う
・・・というのも、なんだか不思議です・・・
by dendoroubik | 2010-09-02 00:00 | ◆近江の祭 湖東 | Trackback | Comments(0)