2021年 10月 25日
奥能登国際芸術祭 2020+ 11 ~家~
飯田町は江戸時代から能登半島先端部の物資の集散地で、公には村方扱いでしたが
御算用場や加賀藩の年貢米を納める御蔵が三つ設営されるなど、実質 在郷町として発展。
明治17年に郡役所が設置されて以降、現在も珠洲市の各種施設が設置される中心地です。
商業都市らしい古い町並のなか、ひときわ古格な珠洲市最大の地主、八木家住宅で
前回(2017年)金沢美術工芸大学のプロジェクト「スズプロ」が4つの作品を発表。
これに加えて能登ヒバを素材に家全体を彫刻化する作品『いのりを漕ぐ』制作されました。
飯田町を訪れるのは今回で二度目です。一度目は6年まえ。「飯田燈篭山まつり」を見ました。
能登の祭りといえば「キリコ祭り」で、現在もその数、およそ200あるといわれます。
特に内浦の穴水、能登町、珠洲市に密集していますが、こちらはキリコではなく山車型の曳山祭り。
一時は途絶した山車のうえに、ねぶた祭りのような燈籠人形を置く燈籠山も徐々に復活しています。
キリコでなく山車を作ったのは、在郷町として発展してきた飯田町の経済力が背景にあるのでしょう。
こちらは会場となった、八木家住宅です。
金沢美術工芸大学アートプロジェクトチーム[スズプロ]『家に潜る』
祭りでしか知らない町を再訪することがしばしばあります。 不思議な体験です。
金沢美術工芸大学アートプロジェクトチーム[スズプロ]『奥能登曼荼羅』
でも、今回はあまりそういった不思議な感覚は稀薄でした。
「鑑賞」するのではなく「体験」することが、インスタレーションが他の表現手段とちがうところといわれます。
ある景観のなかや古民家なんかの室内にオブジェや装置を置いて、空間自体を異化させること。
飯田燈篭山まつり
とすれば、お祭りは最高のインスタレーションということになります(笑)
金沢美術工芸大学アートプロジェクトチーム[スズプロ]『いえの木』
お祭りでしか知らない町を再訪した、といっても
インスタレーションを巡ってたわけですから、またちがう祭りに来たにすぎないとも言えますね。
だから、あまり違和感を覚えなかったのでしょう。
金沢美術工芸大学アートプロジェクトチーム[スズプロ]『いのりを漕ぐ』
こちらは、今回新たに制作された作品。
部屋いっぱいに力強い波濤と掌を表したという木彫がひろがります。
「飯田燈篭山まつり」は毎年7月20、21日の2日間おこなわれます。
20日には燈篭山と山車が吾妻橋に曳き揃えられ、花火があがったりして多くの人出ですが
2日目は燈篭山の曳行はなく、観光客は少なくなります。
少ない、というか、僕が行ったときには、観光客らしき人はひとりも見ませんでした。
でも、それがとても楽しかった。
またこの祭りに来たいなと思いましたし、祭りでない時にも訪ねたいと思った記憶があります。
祭りの再訪は未だ果たせませんが、後者の願いは、叶ったのか叶わなかったのか・・・
by dendoroubik
| 2021-10-25 05:00
| ◆能登の祭
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