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城端むぎや祭 2017 坂のまち

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山田川と池川に挟まれた河岸段丘に築かれた城端は坂のまちです。

国道304号線は金沢方面からこの町に入ると同時に坂道となり、五箇山へとつづきてゆきます。
この道を中心に、段丘の両側にも坂道が張り巡らされ、東側には善徳寺を中心とした社寺や豪商の蔵
西側には、この町の繁栄を支えた織物の工場群や町屋などが、往時の面影を色濃く残して街並みをなしています。

「城端むぎや祭」の「街並み踊り」は、そんな情趣溢れる坂のまちを背景におこなわれます。




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善徳寺の門前町として開町した城端。
その繁栄は五箇山との関係を抜きには語ることができません。

冬は雪深く孤立状態になる五箇山の住民は、越冬の物資をいちばん近い「里」である城端で調達。
代価は五箇山の生産物、とくに「曾代糸」と呼ばれる絹糸で、城端ではこれを原糸として
開町の頃より絹織物製造をはじめ「加賀絹」として主に京の絹問屋へ卸して財をなしてゆきます。

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近代になると絹織物産業はますます盛んになり、近隣の農村から女工を雇い入れて増産するほどに事業は拡大。
バックの四棟の蔵は、そんな好景気に沸く明治の末に建てられた財閥、野村家の蔵(現在は曳山会館)。

善徳寺からつづくゆるやかなこの坂道「今町通り」は城端を象徴する景観といえるでしょう。


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「今町通り」のゆるやかな坂を登っていくとY字路になり、右へ行けば「ぼたもち坂」
道なりに左へ行くと庁舎や「じょうはな座」がありますが、その途中、レトロな建物が目を惹きます。
もともと銭湯だった工芸のお店が「桂湯」という屋号そのままに営業されているようです。

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善徳寺の南へ戻って御坊坂。

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御坊坂の途中を南へ下ると「念仏坂」。 この浄念寺まえの坂も「街並み踊り」の会場です。

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念仏坂を下りきったところからさらに下る坂は「警察の坂」。 (トップの写真と同じです)

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名の由来は文字通り警察があったことから。 左上の建物がそれで、現在は西下町の公民館になっています。

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土曜日には「じゃんとこいむぎや」というよさこいイベントもあります。

町の真ん中を貫く国道304号線は拡張されたためか往時の面影はあまり感じられません。
この坂を下ってしばらく行くと「出丸坂」で「街並み踊り」の会場のひとつ。
さらにカーブを下ってゆくと城端駅があり、駅前のステージも会場になっています。

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段丘の西側には、すでに廃業したところも含め
絹織物の工場や町家などが開発の波に浚われることなくよく残されています。
とくに東新田町は繊維産業の中心地だけあって、街並みの情趣には目を瞠るものがあります。

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なかでも「坡場(はば)の坂」は「今町通り」とともに城端を代表するすばらしい景観のひとつだと思います。
国道が敷設されるまではこちらが街道で、五箇山への玄関口だったそうです。

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この坂の上の醤油醸造所の母屋のまえも「街並み踊り」の会場のひとつ。 最高の舞台です。

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城端がもっとも賑やかだった頃(明治40年)に訪れた民俗学者、柳田国男は
『秋風抄』という旅行記のなかで、町の印象をこんな風に記しています。

  「城端は機の声の町なり。
   寺々は本堂の扉を開き聴聞の男女傘を連ね
   市に立ちて甘藷の苗を売るもの多し
   麻の暖簾京めきたり」

「越中の小京都」という城端のキャッチコピーは、この頃からあったのでしょうか(笑)

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しかし、今となってみると「京めく」どころか西陣にも見られないような貴重な景観です。

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池川沿いの景観もまた見ものです。

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「水月の坂」にある吉村絹織物業さんの工場をつなぐ木製の渡り廊下。
川島地区は西陣の老舗、旧川島織物の創業者、川島甚兵衛の出身地として知られています。

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「禅寺前の坂」

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この坂を下ってゆくと・・・

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池川越しに、三角屋根がノコギリ状に連なる建物。 これもかつての機織工場です。

Commented by ei5184 at 2017-09-23 05:17
はは~ん、此処は八尾に負けない坂道ですね~
ちょっと心配に(笑)
町並みは好いです! つい早朝撮影をしてしまいそうな予感が!
Commented by dendoroubik at 2017-09-23 08:08
☆eiさん

八尾にくらべたら城端の坂道は楽勝ですよ(^‐^
歩く範囲も限られてますし 場所取りに苦慮することもありません
夜も早く終わり まったりと眺めて楽しめる感じです
Commented by photresbienne at 2017-09-26 17:37
とても素晴らしい町並ですね!
お祭り風景も相俟って、戦前にタイムスリップしたような・・・
道路上を渡す廊下に鋸屋根と言い、堪らないです(*´Д`)
Commented by dendoroubik at 2017-09-26 20:18
☆里村さん

重要伝統的建造物群保存地区に指定されてないのが不思議なくらい
まとまったすばらしい景観が残されています
絹織物でとても栄えた町が急激に寂れてしまったために
その反動で街並みのすばらしさが等閑にされてるのではないかと思います
操業していない繊維工場や廃屋が手つかずで残され
とてももったいない気がしました
by dendoroubik | 2017-09-22 19:24 | ◇城端むぎや祭 | Trackback | Comments(4)