西海祭り 前篇

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能登半島に200ほどもあるといわれるキリコ祭りのなかで
「西海祭り」(石川県県羽咋郡志賀町西海)が珍しいのは女性が担ぐキリコがあることです。

もともとはどこでも女人禁制だったはずのキリコに女性が乗りこんだり
担いだりするところは他にもあり、いまや珍しい光景ではありませんが
こちらでは女性だけが担ぐようになった時期が比較的早く
浴衣に赤い腰巻とエプロン、足袋にワラジという装束が異彩を放っています。

揃いの装束の女性たちがキリコを担いで駆ける姿は胸キュンもの(笑)
それだけでなく、日付が変わるまで延々とつづくキリコの暴れっぷりも見事でした!




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外浦のキリコ祭りを見るのははじめてです。
せっかくでしたので早めに家を出て
以前から見てみたかった旧富来(とぎ)町の福浦港を訪ねてみました。
能登金剛の最南端の入り江にある、秘密基地のような趣きのある漁港の町です。

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縄文、弥生時代から漁猟が盛んな外浦屈指の良港で
8~10世紀には渤海使と盛んに交易がおこなわれ
藩政時代には北前船も寄港した交通の要衝だったといいます。
集落を見下ろす日和山には日本最古の木造灯台「旧福浦灯台」があり
雨にもかかわらず多くの人が訪れていました。

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福浦漁港から能登金剛を越えさらに海岸線をすすむと
15分ほどで祭りの舞台となる西海地区に到着しました。

能登半島の地図を眺めていると、内浦(富山湾側)にくらべて
東岸の外浦(日本海側)には大きな入り江が少なく
能登金剛やヤセの断崖など高い海食崖をめぐらした地形が目立ちます。
このあたりが唯一大きく湾曲して入り江をなしており
大きな漁港を取り巻くように漁村らしい集落がひろがっています。

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「西海祭り」は風戸(ふと)地区(松ケ下神社)と
風無(かざなし)地区(西海神社)ふたつの神社の合同の祭りですが
隣の千の浦地区(度會神社)でも祭りがおこなわれていました。

こちらは曳山祭りのようでしたが、神社には小さなキリコも立てかけられていました。

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松ケ下神社、西海神社両社でほぼ同時刻にはじまりますので
まずキリコの数が多い西海神社から見てみることにしました。

午後6時、冨木神幸太鼓の奉納からはじまります。

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御輿が本殿から担ぎ出され鳳凰が取りつけられると
境内に待ち構えていた7本のキリコが乱舞をはじめます。

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こちらは地元の少年少女が担ぐキリコ。

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男性の装束もイカしています。

白いワイシャツに黒いチョッキ、白いパンツにゲートル、足袋にワラジ。
戦争から帰ってきた男衆が着替えもせずに祭りに駆けつけた名残りとか
海に出ていた男衆が上着だけ脱いでキリコを担いだのがはじまりといわれるそうですが
いずれにしても男衆がいかにこの祭りに血を騒がせていたかが伺われるエピソードですね。

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出漁などで不在がちだった男衆のピンチヒッターをつとめたのが
女性がキリコを担ぎはじめた理由だという風に言われています。
しかし、楽し気にキリコを担ぐ女性たちを眺めていると
この説はちょっとちがうんじゃないかと思えてきました。
こんな楽しそうなことを男衆だけに独占させておくのはズルイ
と女性たちがキリコを担ぎ出したいうのが実情ではないでしょうか笑)

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男衆の人出不足から女性がキリコを担ぎ出したというこの祭りも
人口減少から女性の数も減少・・・そこへ登場した代打の代打が
長期滞在型インターンシップ「能登留学」を広める活動をおこなっている
金沢を中心にした大学の学生団体「能登ラボ」のメンバーです。

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数年まえから助っ人としてこの祭りに参加されているそうです。

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それにしても・・・女性のこの装束はいい!(笑)

祭りにエプロンや割烹着・・・といえば
祭りにうつつを抜かす男衆を蔭で支える女将さんの象徴ですが
そんなアイコンが反転して祭りの最右翼に躍り出る倒錯的な美!

(スミマセン。ついマニアックな嗜好が出てしまいました ^-^;)

そして紅の腰巻がなんとも印象的です。
未婚の女性は紅、既婚の女性は桃色の腰巻をつける慣例があるそうで
これは長期にわたって海に出ていた男衆が久しぶりに帰郷して
ほのかに恋心を抱いていた女性がまだ嫁に行かずにいてくれたのか
はたまたすでに手の届かぬところへ行ってしまったか
ひと目でわかるようになっているというわけです。

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いわば「幸福の紅い腰巻」です(笑)

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ただ、僕が目にした限りでは桃色の腰巻の女性は1名だけでした。

そんなはずはないでしょう(笑)

結婚指輪をした女性も紅い腰巻をしていましたので
この慣例は有名無実化しているのかもしれません。

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何度も「差し上げ」を繰り返しながら乱舞は30分ほどつづきます。

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そのあと女子大生キリコを先頭に町内の巡行がはじまります。

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日が落ち切った頃に、今度は風戸地区(松ケ下神社)のキリコを追いかけてみました。

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集落を貫く国道を漁港の方へ下ってゆきます。

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富来漁港まえでのキリコ乱舞。

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漁港で折り返し、国道より一段下の海岸線の道をすすんでゆきます。

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回転寿司「西海丸」まえでの乱舞。

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中学生は休憩時間に、順に太鼓も披露します。

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午後10時頃、松ケ下神社、西海神社のキリコは風戸バス停下の海岸で合流。
ここから日付が変わって午前1時頃までがこの祭りの白眉です・・・

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Commented by 清水 at 2017-08-19 15:58 x
雨が心配でしたが大丈夫でしたね
赤の腰巻が未婚でピンクが既婚だそうですね
私の認識は逆でした
最初に訪れた時には赤とピンクが入り乱れており
子供さんと一緒に写させていただいた方が
赤い腰巻だったので
赤=既婚とインプットされたようです(笑)

女性のキリコにも要所要所に男性がいますが
以前は女性だけで担ぎ
男性は倒れ防止のロープを持っているだけでした

時代とともに祭りの形態も少しづつ変わりますが
人情は昔のままでうれしいです
Commented by dendoroubik at 2017-08-20 01:05
☆清水さん

お疲れさまでした!

時代の要請で変化を余儀なくされても
変わらないものが祭り風情なんでしょうね
助っ人として女子大生が参加するようになって
ずいぶんと趣きも変わったのかもしれませんが
往時の華やかさが蘇ったという側面もあるのではと思います

午前1時に祭りが終わってから七尾のホテルへ行き
3時間ほど眠って翌日は穴水のキリコ祭りへ行きました
帰りの北陸道ではさすがに睡魔に襲われ
SAで2時間も仮眠してしまいました(^-^;
Commented by 清水 at 2017-08-20 06:53 x
私も一時に出発し途中二度休憩したので
自宅着は四時すぎでした
そのままシャワーも浴びずに爆睡(笑)

今日は町内の夏祭りと地区のサマーフェスティバル
町内会の役員をしているので町内では世話係ですが
カメラがビールと箸に変わります(笑)
Commented by dendoroubik at 2017-08-20 09:23
☆清水さん

ハードスケジュールですね どうかご自愛くださいませ
・・・といっても お互い
「わかっちゃいるけどやめられない」ですね(^-^

翌日の沖波大漁祭りは午前中で切りあげ
帰りに若狭の精霊船を見に行こうとも思っていたのですが
雨が降ってきて・・・内心 ホッとしていました(笑)
by dendoroubik | 2017-08-19 15:18 | ◆能登の祭 | Trackback | Comments(4)