滑川 ねぶた流し

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7月31日の夕刻、富山県滑川市の「ほたるいかミュージアム」裏の中川原海岸で
「ねぶた流し」という民俗行事がおこなわれています(国指定重要無形民俗文化財)。

高さ3~6メートルの大松明(ねぶた)を海に浮かべ、焼き尽くす夏越の祓・・・




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午後2時頃より檪原(いちはら)神社(神明町)で「茅の輪くぐり」がおこなわれる
というネット記事を見て向かったのですが、現地でお聞きするとここではおこなわず
3時から「禊場」でやるというのでついていくと「ねぶた流し」のある海岸ちかくの住宅地。

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祝詞のあとに、集まった人々が御幣のようなもので左右の肩を浄めたあと茅の輪をくぐってゆきます。
「児童クラブ」の子供たちを中心に、中川原地区の方々です。

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川や海に近接するわけではなく、神社からも1,2キロはなれた住宅街に
なぜ「禊場」が設けられているのか不思議に思っていると
まるでそんな僕の心の声を聞き取ったかのように
地元の男性が、以前はこのそばを川が流れていたことを教えてくださいました。
山から伐り出して川を下った木材を蓄えておく木場であったらしく
前の通りは「前田の殿さんが参勤交代のときに通る街道」だったとのこと。

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昼過ぎから堤防のうえに大松明(ねぶた)の準備がされてゆきます。
中川原、常盤町1、2区、吾妻町の各町内会、滑川青年会議所
寺家小学校、滑川東地区公民館、滑川市役所の計11基が参加します。

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むかしは、各地区毎に海岸線で「ねぶた流し」がおこなわれていたそうです。
行事自体を取りやめてしまった地区もあり、小学校や市役所など、新たに参加するようになった団体もあります。
これは僕の想像ですが、伝承する地区も海岸線にテトラポットが設置されたりしておこなえなくなり
中川原地区のこの海岸に集約されるようになったのではないかと思います。

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そのためか、中川原地区のねぶただけが、少し離れた東側で「ねぶた流し」をおこなっていました。

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ねぶたが浮きのついた台座に据えつけられ準備が済むと
子どもたちを中心に、目鼻を刻まれた茄子や胡瓜、折り紙の装飾などが取りつけられます。

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午後6時半、ねぶたは海に浮かべられ、順に点火されてゆきます。

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まだ梅雨明けまえの北陸でしたが、夕暮れの空が美しい・・・

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「ねぶた」・・・といえば夏の青森の巨大行燈行事を思い浮かべてしまいますが
津軽の夏祭りだけでなく、他の習俗と合体して様相が異なるように見えても
戦前まで「ねぶり流し」と呼ばれていた「秋田の竿灯まつり」や
滑川の「ねぶた流し」同じ富山県黒部市の「ニブ流し」などはルーツは同じ
全国的におこなわれている「眠り流し」という行事だと指摘したのは柳田國男です。

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「ねぶた」「ねぶり」「ニブ」などは「眠り」の転訛で、文字通り「睡魔」を流し追い払う行事。

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夏に限らず僕は一年中睡魔に襲われっぱなしですが(笑)
むかしの人は夏の疲労からくる睡魔を労働の妨げとなり、やがて災厄を招く邪悪なものとも考え
人形(ひとがた)や燈篭などを川に流し、自らも沐浴して禊をした・・・といわれます。

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「目を転じてさらに日本海側の、北よりの地方を見ていくと、
 爰にはやや比較を可能ならしめるほどに相接近した事例がある。
 現在知られている南の端は、越中滑川のネムタ流し。
 これは人形をこしらえて海に流す行事で、その際に子どもが水を浴び、
 又、ネブタ流され、朝おきゃれ といふ唱えごともあるといふのだが、
 其期日は今は七月三十一日である。」(柳田國男が『眠流し考』)

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よく燃えあがるよう、竹竿の先に取りつけられた鎌でねぶたを縛った荒縄を切ってゆきます。

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現在は燃え尽きたねぶたは引き揚げられますが、むかしはそのまま沖へ流されていたといいます・・・

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10年ほどまえにはじめてこの行事を知り、いつか見てみたいと思っていました。
ようやく念願叶って満足なのですが兵庫県から日帰り・・・
おかげでその後、強烈な睡魔に襲われつづける毎日です(苦笑)

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Commented by 沙都 at 2017-08-10 00:41 x
滑川 ねぶた流しに行こうかどうか迷って結局、行きませんでした。
記事を見ていると結構、明るいですね。
午後の6時半頃なのでもっと暗いのかと思っていました。
Commented by dendoroubik at 2017-08-10 10:58
☆沙都さん

しかしさすがによくご存じですね
それならお誘いすればよかった
黒部の「ニブ流し」もハシゴできないかと画策したのですが
まったく同時刻におこなわれるようでしたので断念
どちらも日が落ち切るまえに行事は終了してしまいます
Commented by goodroads at 2017-08-15 19:24
こんばんは

その昔、滑川で仕事をしておりましたが・・・
ついぞ、いかぬまままた本年も行けませんでした。

そういえば、ねぷた流しというものを私は1度も見たことがありません。来年は現地へ行って見たいと思います。
Commented by dendoroubik at 2017-08-17 09:09
☆Tomさん

往復700キロをかけて日帰りで見に行くことに
躊躇しないでもありませんでしたが(笑)
積年の思いを遂げるときかと思い切ってでかけました
天気予報も芳しくなかったんですけれど・・・

でもやはりネブタが海に浮かんで点火されると
そんなことを忘れてしまう幻想的な光景が広がりました・・・

by dendoroubik | 2017-08-03 00:02 | ◆越中の祭 呉東 | Trackback | Comments(4)