小松お旅まつり 2017 中 町 『神霊矢口の渡 頓兵衛住家の段』前篇

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各地の曳山子供歌舞伎の過去の外題(芸題)を見てみると
『神霊矢口の渡 頓兵衛住家の段』はたびたび上演され
地歌舞伎でとても人気のある演目であることがわかります。

なんといってもこの芝居は主役の「お舟ちゃん」の魅力で決まり
その意味で米原で見た達者な男の子のイメージが忘れられずにいたのですけれど
小松のこの女の子はそれとは真逆なイメージが造形されているにもかかわらず
これからはこの子を基準にこの芝居を見てしまうのかな
というくらい魅力的でした。ほかの踊子役者もすばらしかったです。





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冬の夜、相模と武蔵の国境、矢口の渡りに
漂う気品を隠せない男女の旅人がさしかかります。

男は新田義貞の遺児、義峯。 女はその恋人、傾城臺(うてな)。
二人は足利方の追っ手を逃れて京から故郷新田郷へ落ちのびる途中です。

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ここは一年前、兄、義興が足利方の策略にはまり最期を遂げた場所。
義峯とうてなは人目を憚ってこっそり回向の念仏をとなえます・・・

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義峯は渡守の家におとないを入れ舟を出して欲しいと頼みます。

応接したのは、この家の主、頓兵衛の娘、お舟。
実は一年前、褒美の金欲しさに足利方の手先となり
矢口渡で新田義興を溺死させた張本人こそこの頓兵衛という男。
つまりお舟は義峯にとって仇の娘ということになります。
しかしこのときそんなことはお互い知る由もなく
お舟は気品溢れる義峯にひと目惚れしてしまいます。

落人の詮議が厳しく日暮れてからは舟を出すこともできず
かといってこのあたりには宿屋もなく困り果てた義峯を
お舟は家に泊めてやることにするのですが、招じ入れるとなんと女連れ。

2人を奥の間に案内したお舟は嫉妬に身悶えします。

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女子に生まれたからにはあのような殿御と添うてみたい。

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お連れの女子は女房さんであろうか・・・

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妹さんであろうか・・・

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ちょっと行って聞いてこよ・・・

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いえいえ、そんなはしたないことは聞けはしない。
妹さんならよけれど、女房さんなら・・・

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そこへ義岑が出てきて、うてなが薬を飲むための湯を所望します。

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湯を沸かしてやりながらお舟は思い切って義岑に
連れの女は妻なのかとたずねます。
落人の詮議がかかっている義岑は用心し
保養がてら浅草寺に妹と参詣に来たのだと答えます。

「あなた様さえよろしければ明日もあさっても
10日でも20日でも5年も10年も、100年でもお泊り下さい」
とお舟はあられもないことを口走ります(笑)

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純情な田舎娘のお舟が義岑に自分の気持を打ち明けると
義岑もまんざらでもなさそうな様子・・・

「それほどに思うて下さるお志、さらさら仇には思ひませぬ」

手を取り合って艶っぽい雰囲気になった途端
不思議なことに義岑もお舟も雷に撃たれたように気絶してしまいます。

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「さては娘の色香に迷い、心の穢れ御旗の咎めなるか」

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うてなが義岑の新田の旗を取り出し開くと義岑とお舟はたちまち気を取り戻します。

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一部始終を覗き見していたのが頓兵衛の手下の六蔵です。

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新田の旗を持っているからは落人の義岑に違いない。

実は六蔵は一年前に頓兵衛が新田義興を溺死させたとき
大活躍をしたにもかかわらず手柄は親方が独り占めしてしまったことに
いまでも不満を持っているのでした。

ここは誰にも知らせずに義岑を捕まえて褒美にしようと考えた六蔵が
奥の間めがけて駆け入ろうとするのをお舟が阻みます。

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かねてからお舟に懸想し言い寄っていた六蔵に
お舟は自分も以前から気があったかのようなことを匂わせます。

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「そなたの心を見た上と思うてゐた故」

・・・というお舟の言葉に六蔵は鼻の下をのばしのぼせあがってしまいます。

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ふたりが夫婦になったら六蔵にとって頓兵衛は義父。
父を出し抜いて手柄を独り占めする息子があるものか。

お舟の理屈に六蔵は「なーるほど」と頷いて
いま庄屋のところに出向いている頓兵衛を連れてくるために家を出ます・・・

by dendoroubik | 2017-06-11 23:27 | ◇小松お旅まつり | Trackback | Comments(0)
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