長浜曳山まつり 2017 青海山『伊勢音頭恋寝刃 油屋』

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有名な芝居ですけれど、前段の人間関係が複雑なので
知らなければ見ていてもワケがわからないかもしれません。

パンフレットに書かれた「あらすじ」とも舞台はかなり違っています。

泣かせたり笑わせたりする芝居なら観客の反応を伺いつつ
どうやったらウケるかと手さぐりもできるでしょうけれど
大人でも勘どころの掴みにくいこんな難しい演目を
見事に演じ切ってしまう子ども役者にまず瞠目させられます。

そして長浜曳山まつりの奥深さも感じます・・・





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ゆえあって名刀「青江下坂」と折り紙(鑑定書)を探す福岡貢。
なんとか刀だけは取り戻しますが、折り紙が見つかりません。

伊勢古市の遊郭「油屋」に逗留している上客の侍、徳島岩次は
「青江下坂」と折り紙を盗み出したお家騒動の張本人で
彼が折り紙を持っているのではないかと貢は睨んでいます・・・

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「油屋」の遊女、お紺は馴染み客の貢と相思相愛ですが
貢の伯父から許婚者がいるので別れて欲しいと言われています。

しかし貢なしでは片時もいられないお紺。

貢の探している刀の折り紙は、上客の岩次が持っているといいます。
いっそのこと岩次に身を任せて折り紙を取り戻し
潔く自害してあの世で貢と契ろう・・・と文を書こうとするところへ・・・

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遣手の万野がお紺を探しにやってきます。

万野は貢が他の遊女に書いたというニセの無心状を見せたり
さんざんに貢の悪口をいっては岩次に靡くことを勧めます。
もともと金払いの悪い貢のことを快く思っておらず
お紺をわがものにしようとする岩次の片棒を担いでいるのです。

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心ならずもお紺は、岩次に乗り換えると返事。大喜びする万野。

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刀を取り戻して油屋に来た貢。

養子縁組で町人になってはいますが貢は元武士で
「油屋」には、昔の家来筋の喜助が働いています。
喜助は、許婚がありながら遊郭三昧の貢に意見しますが
刀を預けながら、貢はこう打ち明けます。

ようやく刀は取り戻せたが折り紙がなく
どうやらそれを逗留客の岩次が持っているらしい・・・と。

そこで喜助も事情を呑み込みます。

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このやり取りを聞いていたのが岩次。
刃をはずして「青江下坂」の刃とすり替えます。

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しかし、喜助はこのすり替えに気づいていました。

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貢のために、心を鬼にして岩次に靡くふりをするお紺。

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「青江下坂」も手に入り、横恋慕していたお紺が自分に靡くのに上機嫌の岩次。

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これを見た貢は気色ばみますが、お紺は愛尽かしをするだけ・・・

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端金を無心する貢の文が古市の色街に出回っているとか
女たちからさんざんに身に覚えのない非難を受けます。

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遊女お鹿は無心状だけでなく貢からの恋文もあると見せ
お金も貸してこんなに尽くしているのに・・・と泣き落とし。

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すべて万野が仕組んだデタラメなのですが
「油屋」にツケの溜まっている貢の立場は悪くなるばかり。
とうとうお紺は、お金が欲しいなら自分に頼めばいいものを
お鹿を騙すなんてあんまりだ・・・と貢と縁切りしてしまいます。
 
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逆上した貢は、武士だった頃の癖で刀を抜こうとします。
が、刀は預けたままで苦々しく扇子を握りしめるだけ。

立ち去る貢に喜助はすかさず、ホンモノの「青江下坂」を手渡します。

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「お前のような油虫はナ、顔見るのも胸が悪い・・」

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お紺が貢と縁を切るのを見た岩次は、安心して正体を明かします。
お紺は岩次が大切に持つ、袱紗に包まれた折り紙を
甘えた振りしてちゃっかり自分のものにしてしまいます。

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まんまと「青江下坂」を手に入れたと喜ぶ岩次。
しかし、よく見るとそれは「青江下坂」ではなく自分の刀。

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喜助が貢の家来筋だと思い出した万野。たばかられたことに気づきます。

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大急ぎであとを追う万野は・・・

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刀の拵えの違っていることに気づいて戻ってきた貢と鉢合わせ。

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刀を奪おうとする万野と刀の中身が替わったことを知らない貢。

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言い争ううちに鞘が割れ抜き身となった刀で・・・

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貢は一刀のもとに万野斬り伏せてしまいます。

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憑かれたように貢は・・・

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「油屋」へ戻り、お鹿をはじめ、つぎつぎに人々に手を負わせてゆきます。

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(ここではお鹿だけしか登場しません。
 題名の由来となった伊勢音頭の総踊りもありません)

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斬られそうになったお紺が貢を制して手渡したのは「青江下坂」の折り紙。

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確認するとまさしくホンモノ。

つれなく縁切りして見せたのも岩次たちを油断させ
鑑定書を取り返すためのお紺に捨て身の計略。

貢はお紺の心遣いに感謝します。

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喜助からは、いま手にしている刀こそ「青江下坂」であることを告げられます。

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よくこんな難しいセリフを憶えたなということも驚きで
「大人顔負け」の演技にも舌を巻いてしまいますが
そういった相対的な困難さではなく子どもが演じることの圧倒的な凄さを
存分に味わわせてくれる・・・そんな芝居でした。

by dendoroubik | 2017-04-21 22:16 | ◇長浜曳山まつり | Trackback | Comments(2)
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Commented by ei5184 at 2017-04-22 15:20
伊勢の内宮と外宮を結ぶ参道相の山、
芸妓たちがにぎやかに伊勢音頭を踊る油屋の奥座敷。
そこで繰り広げられる刃傷沙汰・・・
片岡仁左衛門の福岡貢を何年か前に大阪松竹座でやっていましたね~
子どもたちの熱演で、忘れていたストーリーが蘇りました(笑)
Commented by dendoroubik at 2017-04-22 15:52
☆eiさん

秀太郎の万野で相の山から通し狂言で演ったやつですね!
そちらは見てないんですが この子ども歌舞伎はいかがでしたか?

華やかな伊勢音頭の踊りもなく
刃傷沙汰を凄惨に描くこともないのに
どうしてこんなむずかしい演目を選んだのかな
・・・といまでも不思議に思います
(とてもよかったとは思うのですが・・・)

歌舞伎好きの知人に教えてもらって気づいたのですが
今年の長浜は春(長浜城)夏(油屋)秋(紅葉狩)冬(八重垣姫)
キレイに四季が並んでいましたね
そのためにこの代表的な夏狂言が選ばれたんでしょうか(笑)