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竹割り祭り

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白山がいちばん美しくに見える町・・・と深田久弥がいう石川県加賀市大聖寺。

その深田久弥の生家、中町から南西へ北国街道をすすむと
敷地天神山の麓に菅生石部(すごういそべ)神社が見えてきます。

この神社で毎年2月10日に行われる「御願(ごんがん)神事」
通称「竹割り祭り」・・・という奇祭です。




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「天神さん」という通称は、中世に一帯が北野天満宮の社領であった名残り。
「敷地天神山」という山の名も、その頃につけられたのでしょうか。

ちなみに、京都の「わら天神(敷地神社)」は、夫役として加賀から赴いた人々が
この菅生石部神社の神を勧請したものなのだそうです。

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境内には、奉納された青竹がスラリ・・・ちょっと壮観です。

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神事のまえに、準備がはじめられます。

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奉納された青竹を、鉈で2メートルほどに切り分けてゆきます。

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青竹を3本、三角錐に組みあげ、そのまわりを農家から奉納された藁で覆ってつくられる「アズマヤ」

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準備が整った午前11時、祭典がはじまります。

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祭典が20分ほどで終了すると、おもむろに盤木が鳴り、これを合図にアズマヤに忌火が遷されます。

境内には「2月1日以降、鳴り物禁止」の注意書きが掲示されていました。
10日間もの鳴り物禁止・・・気合いのほどが伺われます。

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それまで楼門の外で気炎を吐いていた白装束の若衆が
ワッショイワッショイ、青竹を手に、やにわに境内に駆け込んできます。

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そして、準備された青竹をつぎつぎに石畳に叩きつけて割ってゆきます。

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ただただ、延々と竹を割りつづけてゆきます・・・

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祭りのまえに境内に流れていた解説によると
この竹割りは平和な世でも戦乱に備える心構えを持つように
という天武天皇の尚武の教えに基づくものだということです。

山幸彦(炎出見尊)と海幸彦(酢芹尊)の神軍に倣ったものだとも・・・

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なぜそんなことをしなければならないのか釈然としないつまま
しかし、つぎつぎに青竹が叩き割られてゆく光景には、不思議な爽快感があります。

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用意された500本の青竹をすべて割り終えると若衆が拝殿に練り込み
大蛇に見立てた長さ約20メートルの大繩を引きずり出します。

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境内を出てまた拝殿に戻り、頭と尾の綱引きになります。

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神事がはじまるまえ、境内でどんど焼きがありましたので
おそらく小正月の行事のひとつなのでしょうけれど
この大綱がなにを意味しているのか解説はなく、やはり釈然としません・・・

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ただ、この光景もとてもエキサイティングです。

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これを3度繰り返し、大聖寺川へ・・・

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敷地橋上より大聖寺川に投げ入れ、終了です。

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開始から1時間足らず・・・

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10日間にわたって鳴り物を禁止したり、大繩の綱打ち
青竹の伐採や切り分けなど、長い時間をかけて準備されたものが
あっという間に蕩尽されてしまう見事なカタストロフィ。

昂奮と、釈然としない気持ちがない交ぜとなった不思議な印象を残し
祭りの熱が町じゅうに伝導する間もないほど、あっけなく幕切れとなります・・・

Commented by senbei551 at 2017-02-16 11:33
ブログだけ読んでるともっと長かったのかと思ったら、1時間ほどなんですね。竹500本もあったら3時間くらい割り続けるのかと思いました(笑)
Commented by dendoroubik at 2017-02-17 06:20
☆せんべぇさん

アズマヤの点火 竹割り 大綱・・・
舞台装置や行事の多彩さにくらべて
時間のあまりの短さが なんだか腑に落ちず
その不思議な印象が奇祭たるゆえんかと思ったほどです

行事が短いことはあらかじめ知ってはいたのですが
終わったあとの余韻みたいなものはあるだとうと思ってたら
それもありませんでした(^-^;
by dendoroubik | 2017-02-15 08:00 | ◆加賀の祭 | Trackback | Comments(2)