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沖島のサンチョウ 後篇

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竹を円錐形に組んで立て、そこに松飾りや注連飾りを持ち寄って焼く
・・・多くの地域でおこなわれている、ありふれた左義長行事。

沖島のサンチョウ(左義長)をそんな風に思い込んで眺めていると
点火の仕方が一風かわっていて、意表をつかれてしまいました。
その奇妙さは、元服の儀式が加わっていることによります。

「左義長」と「元服」が同時におこなわれる行事が
他の地域でも見られるのかどうか、知りませんが
そういえば、どちらももともと小正月におこなわれるもの・・・




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午後1時すぎ、奥津島神社へ、宮守さんが燈篭に灯を燈しに来られます。

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集落を見下ろす小高い山の中腹に鎮座。

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社殿によると、和銅5年(712年)に勅命を蒙った藤原不比等により創祀。

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午後2時、五色の御幣と「合格祈願」「家内安全」「大漁」
などと書かれた扇子を3本合わせて円にしたものを取りつけた竹が持ち寄られ
拝殿に用意されていた松に、同じ飾りが施されてゆきます。

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烏帽子をかぶった「元服」が、竹、松を担いで準備完了。
本殿まえで火打ち石で浄められて出発です。

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拝殿を3回まわります。

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おそらく、昔はこの役を、数え年で16歳の若者が担っていたのだと思いますが
毎年該当者がいるわけでもないため、宮守さんたちが代行しているのかもしれません。

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大小ふたつの左義長が据えられた漁港まえの広場へ向かいます。

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大左義長のまえに並び・・・

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やにわにひとりずつ駆け出して・・・


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勢いよくサンチョウへ駆け上り、御幣を捧げます。
すでに「元服」を済ませた若衆が受け取り、サンチョウへ据えてゆきます。

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サンチョウに巻かれた「ダイナワ」は「元服」と青年団によって、沖津島神社でつくられるものだそうです。

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つづいて小さい方のサンチョウに点火されます。

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藁把に火をつけ、主に子どもたちがサンチョウへ投げ入れてゆきます。

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大サンチョウへも、同じように藁把で点火。 こちらは「元服」がおこないます。
先ほどのようにサンチョウへ向かって駆け出し何度も繰り返し点火しようとするのですが
「ダイナワ」のうえで待ち構える元元服の若衆が投げ入れられる藁把の火をことごとく消してしまいます。

「元服」に試練を与えて大人の仲間入りをさせるイニシエーションの意味合いがあるのでしょうか。

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「そろそろええやろ」

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元元服の若衆のその言葉でサンチョウに点火され、年神様は天上へ・・・

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はじめての沖島。

風景や祭りの風情もすばらしく、また訪ねたいと思いました。

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「日本の祭り」をテーマに、とくに離島や海の祭りを撮影されている写真家の箭内博行氏に、お会いしました。
近々、雑誌にもこの祭りを掲載されるのでしょうか。楽しみです!

Commented by ei5184 at 2017-01-18 05:00
竹生島へは三十三カ所巡りで何度も訪ねていますが、
沖島は知りませんでした。 一度TVで観た記憶はありますが、
確か船で学校へ通う中、高生? だったような。
機会を作り一度訪ねてみます。ご紹介ありがとうございました。
Commented by dendoroubik at 2017-01-18 06:48
☆eiさん

竹生島へは何度も詣でているとおっしゃってましたね
でも沖島はもっと近く 安くでいけますよ 片道500円(笑)
島には小学校までしかありませんので
TVでご覧になったのは中学生以上でしょうか

白洲正子がこの島の夕景がすばらしいと書いていました
雪のために見ることはできませんでしたけれど
奥津島神社のさらに上にある山神神社からの眺望は絶景でした
Commented by hanashigai at 2019-05-27 21:42
あの急階段を雪の日に!!
スニーカー履きでも、三脚とカメラバックで結構な勾配と感じましたが・・・。
この神社からの見晴らしが凄く素敵で、祭りがなくても随分とカット数が増えました。
僕も来年は見てみたいと思わせられました♪
たっぷり時間を持って行ったのに、全然足りなかったので夏の間に再訪問するつもりです。
Commented by dendoroubik at 2019-05-27 22:32
☆放し飼いさん

行こうと思えばいつでも行けるはずなのに
何か理由をつけないと行動できないのが悪いクセで
いまだに沖島を訪ねたのはこの1回切です
でも この島には3つ心残りがあります

ひとつは 白洲正子が この島からの夕焼けが
観たこともないような絶景だったと書いています
これは観てみたい
ひとつは琵琶湖産の天然ウナギ これも食べたい(笑)
もうひとつは 各戸にお地蔵さんがいらっしゃって
地蔵盆のときに 琵琶湖でこれを洗う風習があると聞きました
これも絶対に観てみたいと思います

放し飼いさんが なぜ沖島に行かれたのか 気になった次第です
by dendoroubik | 2017-01-18 00:44 | ◆近江の祭 近江八幡 | Trackback | Comments(4)