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上鴨川住吉神社の神事舞 後篇

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神事舞は大きく二部にわかれ『ホントウ』と呼ばれる前半部では
前回の「リョンサンの舞」「 獅子舞」「田楽」のほかに「扇の舞」「高足」という多彩な芸能が披露されます。
後半は『七番の翁舞』・・・「いど」「萬才楽」「六ぶん」「翁」「たからもの」「くわじゃ(冠者)」「父の尉」
そのあと番外として「巫女の舞」が舞われるのですが、前半とはちがいこれがとても難解です。

「翁舞」は能楽の原典ともいわれますが現在よく見られる「翁舞(式三番)」とはまったく異なり
さらに古い、田楽能や猿楽能など様式を残している、と考えられているそうで、難解なのもむべなるかな、ですね。




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「ホントウ」のつづき「扇の舞(イリ舞)」です

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「田楽」のメンバーが、ひとりずつ幼い順に扇を持って登場。

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太鼓の囃子に合わせて、片足で跳びながら舞います。

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「高足」は、ふたりの青年が順に登場して舞います。

棒で地面を捏ねまわすような仕草と棒を蹴りあげるように横跳びを繰り返す不思議な動作は
農耕を表す身振りとも中国から伝来した曲芸に由来するともいわれます。

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ふたりとも同じ動作を繰り返しますが、最後だけちがいます。
ひとり目は棒の横桟に両足をかけて、倒れるまでピョンピョン飛び跳ね
ふたり目は、右手で扇を持ち、左足の指を横桟にかけてこれも倒れるまで旋回。
まわりから檄や野次が飛ぶ、とても楽しい雰囲気でした。

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『翁舞』最初の演目「いど」です。

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扇で中空に大なにかを描くような仕草と、つま先で地面を後ろへ掻き出すような身振りの繰り返し・・・

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「萬才楽(万歳楽)」

両袖を合わせる達拝のようなポーズ以外、ときおり鈴を振だけ・・・

もともとがこういうものだったのか、それとも永きにわったって継承されているうちに
舞が簡略化されていったのかはわかりませんが、ここで演じられる能舞は、ほとんど動きらしい動きがありません。

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次は「六ぶん」になっていますがこれは垂れ幕の中で演じられていたらしく(あとから知りました)
外からは伺い知ることができませんでした。

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「翁」です。

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これもときおり緩慢な動きがある以外、ほとんどの時間が達拝して立ち尽くしているばかり・・・

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つぎは「たからもの」となっていますがこれがどれを指すのか、まったくわかりませんでした。
同じ翁面で、異なる曲を演じていたのでしょうか・・・

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「くわんじゃ(冠者)」。

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「父の尉」。

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上鴨川住吉神社には「神事舞」に使用する5面以外に
用途の不明な7面の能面(尉面・冠者面・媼面・陵王面)が現存するそうです。

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さいごは番外の「巫女の舞」。

一転、鈴を振りながらの調子の早い舞になるのは「巫女」の身振りをまねているのでしょうか・・・?

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「東には女はないか男巫女」

幕のなかから謡いが聞こえると、これに呼応するように

「女はあれどもおかみが嫌いで男巫女」

と若衆の合唱がつづきます。
掛け合いのようなこの謡が繰り返されるうちに能舞は終了。
意味はわかりませんが、どこかユーモラスな雰囲気です。

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能面、楽器を本殿へ納めます。

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能舞終了後、赤い化粧まわしをつけた幼児の相撲がありました。

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しっかり聞きとれませんでしたが「東西両横綱」と呼ばれていたように思います。

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長男以外の「宮座」に入れない子どもたちは「祇園座」といわれる別な組織に属します。

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さいごに、この子どもたちによる「神相撲」がおこなわれます。

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勝敗に関係なく「ご祝儀」が渡されますが
実力の伯仲した男の子どうしの真剣勝負などもあり、負けた方が悔し涙を流すような場面も・・・

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これで終了です。

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中世の田楽、能舞の遺風をよく伝えるものとして重要無形民俗文化財に指定される「神事舞」
伝承されてきた歳月の重みに思いを致すと眩暈がしそうです・・・


Commented by ei5184 at 2016-10-05 08:11
本当に何時もながら良くぞ調べられていますね~
お蔭で知らない各地の神事・祭りを堪能させて頂けます。
こういう素朴な神事を後世に伝えるためには、
大変な労力と世代へ繋ぐ努力が一層必要なんでしょうね~
貴重なご案内を、ありがとうございました。
Commented by dendoroubik at 2016-10-05 09:16
☆eiさん

おわらの歌詞を調べても それで風の盆が楽しめるわけでなく
知らなくても楽しめることはまちがいありませんが
知っていた方がより味わい深くなるということも確かで
祭りのことを調べるのはその程度の動機に基づくものですので
書かれていることを信じたりなさらないでくださいね(笑)

ただ 後半の「翁舞」はまったく理解できず むずかしすぎて
正直「楽しむ」ことができませんでした
隣り合わせた 東京からお越しの音楽家の方は
祭りの「音」に耳を傾けて 録音などされていました
そもそも「音」を「楽」しむ耳の出来からして僕とはちがうのでしょうね(笑)
by dendoroubik | 2016-10-04 22:23 | ◆播磨の祭 | Trackback | Comments(2)