小松お旅まつり 2016 その2

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材木町の外題は「仮名手本忠臣蔵 七段目 一力茶屋」

子ども狂言の人気演目といえば、今でも忠臣蔵。
「碁盤太平記」なども頻繁に見ますが、
おそらくいちばん多いのはこの「仮名手本忠臣蔵」。

昨年の長浜では「九段目 山科閑居の場」
同じく米原では、今年の小松と同じ「七段目」
今年、石川県白山市で、子ども狂言ではありませんが、
「五段」「六段」の人形浄瑠璃を見ました。

最後のは例年の演目なのかもしれませんけれど・・・




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花に遊ばば祇園あたりの色揃え・・・

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四十すぎての女狂い・・・
祇園で放蕩に明け暮れる大星由良助(大石内蔵助)。
一力茶屋で酔いつぶれて寝ているところへ、
人目を避けながら力弥(大石主税)が訪ねてきて、
かほよ御前からの密書を手渡します。

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師直(吉良上野介)が近々自分の領国に帰るという伝言。

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密書の封を切ろうとしたときに現れたのは、
師直の家来、斧九太夫(大野九郎兵衛)。
もと塩冶(浅野)家の家老で、師直に寝返り内通。
由良助に仇討ちの真意ありやと、確かめに来ているのでした。

今日は旧主塩冶判官の月命日の前日。
魚肉を避けて精進すべき日でしたが、
盃を交わしながら、九太夫がわざと肴の蛸を勧めると、

  手を出して足をいただく蛸魚

由良助は平然とこれを食してしまいます。

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主の命日に精進さえせぬ根性で、敵討ち存じもよらず。
同じ師直の家来鷺坂伴内も呆れ顔。

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ふと見ると由良助が置き忘れた差料。
ほんに誠に大馬鹿者の証拠、と刀を抜いて見ると、
刀身は錆びついていて、
これでは豆腐も切れませんなあ、と嘲笑する二人。

さきほどの書状が気にかかり、
なおも由良助のことを疑う九太夫は、
座敷の縁の下に隠れて様子を伺うことに。
伴内は九太夫が駕籠に乗って帰ると見せかけ、
空の駕籠に付き添い茶屋を出て行きます。

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酔い覚ましに、中二階の座敷で風に当っているのは、
由良助に呼ばれて一力茶屋にいた遊女おかる。

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釣燈籠の灯りを頼りに密書を読み始める由良助。
二階にいたおかるは、恋文かしらと、いたずら心で覗き見。
しかし夜目遠目で字面もおぼろげ、
思いついたる延べ鏡 出して写して読み取る文章

縁の下には九太夫。

おかるの簪が髪からとれて地面に落ち、
その音を聞いた由良助ははっとして密書を後ろ手に。

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  おかるか そもじはそこに何してぞ

  わたしゃお前にもりつぶされ 
  あんまり辛さに酔いさまし 
  風に吹かれているわいな

  イヤかる、ちと話したい事がある
  屋根越しの天の川でここからは云われぬ
  ちゃっと下りてたもらぬか

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手紙を読んだかと詰問する由良助。

  身の上の大事とこそはなりにけり

  何の事っちゃぞいな

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何の事とはおかる 古いが惚れた
女房になってたもらぬか
・・・と身請けの話を持ち出します。

間夫があるなら添はしてやろう
侍冥利 三日なりとも囲うたらそれからは勝手次第
・・・と、あり得ない条件に、なおも訝るおかる。
それなら証拠に、と身請けの手続きに行く由良助。

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  世にも因果な者なわしが身じゃ
  可愛い男に幾世の思い
  何じゃいな おかしゃんせ
  忍び音に鳴く小夜千鳥

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大喜びで、さっそく故郷の父母に報せをと、
あわてて文をしたためているところへ、人を尋ねる男。
その尋ね人とはおかる。なんと兄の寺岡平右衛門。

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再会を喜び、身請けの話をすると、
お主の仇を報ずる所存はないに極った
・・・と平右衛門は憤慨。

足軽寺岡平右衛門は、同じ塩冶浪士たちと、
連判状に名を連ねたいと一力茶屋を訪れたものの、
由良助のあられもない放蕩を見聞きしているうちに、
に果たして仇討の真意があるのか、疑念を抱いていたのでした。

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おかるは、さきほど覗き見た書状の内容を耳打ちします。

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由良助の放蕩は、やはり世間の目を欺くもの。
平右衛門はそれを知って、喜ぶと同時に、
妹を身請けしようとした意図にハタと思い当たります。

  妹 頼みがある

  他ならぬアニさんの頼み

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  妹 その命 アニが貰うた

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理由もいわずにいきなりの刃傷沙汰。
必死で命乞いするおかるに、
仕損じた平右衛門も男泣き。

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仇討の真意を知られ、殺して口封じするために、
お前に身請け話を持ちかけたのだ。

  おい妹 なんでそんなものを読んだんだえ

涙に咽ぶ平右衛門は・・・

  とても逃れぬそちが命
  兄が手にかけ首にして
  これ もって参えりましたと
  それを功に連判の 数に入ってお供に立たん

小身者の悲しさは人に勝れた心底を
  
  見せねば数には入れられぬ
  聞き分けて命をくれ死んでくれ妹

・・・とさらに掻き口説き、おかるも観念。

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  コレ待て両人
  心底見えた
  兄は東の供を許すぞ

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おかるの夫勘平は、連判に加わりながら、
敵一人も討ち取らずに無念の自害。
あの世で主君に会っても、申し開きができぬであろう。

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代わりに敵を
・・・と由良助はおかるの手を取り刀を握らせ、
ぐっと突っ込む畳の隙間。

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軒下の九太夫は七転八倒。

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それ引き出せの下知より早く、
九太夫の身体を引きずり出す平右衛門。
由良之助、髻を掴んでぐっと引き寄せ・・・

  獅子身中の虫とはおのれが事
  我が君様より高禄賜り 莫大の御恩を着ながら
  敵師直が犬となって ある事ない事よくも内通ひろいだな
  四十余人の者共は 親に別れ子に離れ
  一生連れ添う女房を 君傾城の勤めをさするも
  亡君の仇を報じたさ
  寝覚めにも現にも 
  殿ご切腹の折からを思い出しては 無念のなな涙

五臓六腑を絞りしぞや

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  とりわけ今宵は殿の逮夜
  口にもろもろの不浄はいえど
  慎みに慎みを重ぬる由良之助 
  よう魚肉を突きつけたな
  否と云われず応と云われぬ
  咽を通したその時は 五体も脳乱し 
  四十四の骨々も砕くる様にあったわやい

  夜叉め魔王めこの獄卒め

土に摺りつけ捻じつけて、無念涙にくれにけり・・・

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  コリャ待て平右衛門 
  喰らひ酔うたその客は 鴨川でナ

  へえ

  水雑炊を喰らわせよ

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一人三役の大役を、
しれっと演じてしまうこの女の子をはじめ
役者たちがとてもすばらしかったです。

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とくに僕のお気に入りは、
斧九太夫と鷺坂伴内の悪役ふたり。

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おかるさんや内蔵助、平右衛門は6年生なのでもう見られない・・・
by dendoroubik | 2016-05-21 23:44 | ◇小松お旅まつり | Trackback | Comments(4)
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Commented by ei5184 at 2016-05-22 16:53
いや~見応えがありました!
一人三役とは プロ顔負けですね!!
小学生だけなのですか、好い思い出になりましょう。
Commented by dendoroubik at 2016-05-24 10:44
☆eiさん

子供役者の熱演には毎回舌を巻いてしまいますが
それ以上に感動してしまうのは
なにかにとり憑かれているのではないか
と思ってしまうほど役に嵌りこんでゆく瞬間があることです
それを見たさに足を運んでいるのかもしれません・・・
Commented by すぺいん人 at 2016-05-29 00:00 x
1人3役とはすごい!!Σ(゜Д゜)
出演者がいっぱい居て華やかだなぁとか思っていたら、そんな風に支えてくれている子がいたんですね♪

伴内がめっちゃカワイイです♪( ☆∀☆)
縁の下は曳山+下が使える小松ならではですね♪♪♪

子ども歌舞伎ではまだ七段目を見たことが無いので、一回見てみたいなぁと思っています♪
刀で肩をぐっさりからの扇子でフルボッコにしてから鴨川の水雑炊って冷静に考えたら恐ろしすぎですけどね(笑)。
Commented by dendoroubik at 2016-05-29 08:11
☆すぺいん人さん

一人三役 しかもつづけざまに登場するのにビックリでした
伴内役の女の子はものすごくカワイかったです
最後のインタビューで
「人を笑わせる役なのでがんばりたいです!」
と答えているのを聞いてキュ~ン(笑)
この子で 伴内がおかるに言い寄る段が見てみたい!
由良之助の男の子とおかるの女の子は声がとてもよかったですよ