垂井曳軕まつり その2

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一番軕の中町(紫雲閣)の芸題は「一谷嫩軍記 熊谷陣屋」

子ども狂言の演目でいちばん多いのは、
おそらく「忠臣蔵」(・・・といってもいろいろありますけれど)
ついで「一谷嫩軍記」なかでもこの「熊谷陣屋」ではないでしょうか。

長い軍記物の真ん中だけを出すわけですから、
人間関係や設定を知らなければ、
決してわかりやすい話でもありません。
また、たいていの歌舞伎と同様に、
この物語も、現在のモラルや常識からすると
ストレートに共感できるという類いのものでもありません。

それでもいまだに上演される人気演目なのは、
日本人の心の琴線に触れるテーマが凝縮しているからでしょうか・・・



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初陣の息子小次郎が気がかりでならず、
武蔵国から陣屋を訪れる直実の妻、相模。

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日も暮れようとするころ、戻ってきた熊谷は、
女の身で戦場に来るとは何事かと叱責。

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・・・と、熊谷は背後からいきなり斬りつけられ、
咄嗟にねじ伏せれば、それは平敦盛の母、藤の方。

藤の方と相模はその昔は主従の間柄。
直実にとっても義理ある女性です。
十六年ぶりに再会した二人。今は敵味方ながら、
敦盛のことが気がかりで迷い込んできた藤の方を、
同じ思いの相模がかくまっていたのです・・・

須磨浦で敦盛を討ったという直実を、
藤の方と相模は難詰しますが、
非情の戦場でのことは致し方なし、と直実。

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敦盛との一騎打ちのありさま、
あっぱれなその最期を舞いながら物語ります。

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藤の方を連れすぐにここを立ち退け
と言い残し、奥へ退いた直実は、
ふたたび敦盛の首が入った首桶を持って現れます。

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ひと目その首を・・・とすがりつく藤の方と相模を、
御大将義経公に見せるまでは誰にも見せられぬ
突き放し、義経のもとへと行こうとしたところに・・・

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あらわれたのは、義経その人。

(古式練込みのとき、見かけないなと思っていたら・・・)

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(なんと三番叟との一人二役でした!)

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首桶に取り縋ろうとする藤の方と相模を制札で制し、
その文言に添って敦盛の首を討ったと述べる直実。

  一枝を伐らば、一指を剪るべし

この桜一枝でも切ろうとする者、指を切って報いられる
・・・という文言に事寄せて、義経が直実に託したのは、
皇統に連なる敦盛(この芝居では、彼は白河院の落胤
・・・ということになっています)を討つなという内命。

実は、首桶に入っているのは敦盛ではなく、
身代わりに討った同じ年頃の息子小次郎の首。
(須磨浦の段 組打)

よくぞ討った、敦盛に間違いない
・・・と首実検した義経は断言。
縁者にその首を見せて名残を惜しませよ・・・と。

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首が自分の子供だと知り、悲嘆に暮れる相模。
やはり驚いて言葉をなくす藤の方・・・

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陣太鼓が鳴り響き、直実が出陣の用意にと、
義経の前から下がったところに
あらわれたのは石屋の弥陀六。

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弥陀六がじつは平家の武士、
弥平兵衛宗清である、と見破り声をかける義経。
宗清は平家が滅びるのを悲憤慷慨。

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平治の乱のころ、平家との戦に負けて追われ
殺されかけていた常盤御前と幼い義経を
温情から助けたのは他ならぬ宗清。

自分が情けをかけさえしなければ、
いまの平家の悲運はなかったかもしれぬと嘆きます。

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恩に報いるように、鎧櫃を宗清に託す義経。
入っているのは(この芝居には登場しませんが)敦盛。
思わず駆け寄る藤の方を押しとどめ、
敦盛の命を助けた熊谷に礼をいう宗清。

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齢十六で散った小次郎の菩提を弔うため
僧形となった直実は暇乞い・・・義経もこれを許します

  十六年はあっという間だったなあ・・・相模

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  十六年はひと昔・・・夢だ夢だ!

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堅固で暮らせと声をかける義経・・・
おさらばと別れゆく人々・・・

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このラストは何度見てもグッときます・・・
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Commented by すぺいん人 at 2016-05-09 22:28 x
自分のところでのアップをさぼって、dendoroubikさんとtoraさんの記事を拝見して思い出しながら楽しんでいます(おい!)
三番叟と義経の2役は驚きましたね~♪

私はこの時、かなり離れた位置からのんびりと見ていたのですが、それでも相模と熊谷にやられました(涙)。
Commented by dendoroubik at 2016-05-09 23:56
すぺいん人さんとこも早くお願いします
待ちわびてます(≧∇≦)b

つっぱってたコワモテの男が最後に泣くというのは
パターンとわかっててもヤラレてしまいます(T^T)
最近ではTV版の「64」のピエール瀧とか^_^;
by dendoroubik | 2016-05-09 19:53 | ◆美濃の祭 | Trackback | Comments(2)