長浜曳山まつり 2016 その3 梶原平三誉石切

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鎌倉幕府の御家人、梶原景時といえば、
頼朝に讒言して義経を死に追いやった大悪人
・・・という評価が通り相場でしょう。

歴史上もっとも人気のない人物のひとりかもしれません。

小説・ドラマなどでは、
必ず冷酷で悪い奴として描かれる景時
(大河ドラマ「義経」では中尾彬・・・適役でした)
たったひとつ、目も醒めるようなカッコイイ正義の侍
・・・として描いているのがこの「石切梶原」。




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鶴岡八幡宮に参詣に訪れた平家方の大庭三郎と、
平家に心を寄せる梶原平三が鉢合わせ。

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ふだんは不仲なふたりですが、そこは神前。
互いの武運長久を祈って盃を交わします。

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そこへ六部太夫と梢の父娘が、かねてから大庭に
売る約束をしていたしていた宝刀をもって現れます。

 時は治承・寿永の乱の頃。

石橋山の戦いに敗れたものの、
頼朝に味方する多くの関東武士たちは、
再挙を期して軍資金調達に奔走。
六部太夫の息子、三浦大助、
梢の許嫁、真田文蔵もそんな武士。

彼らに資金を融通してやるために、どうしても
宝刀を売らなければならならなかったのです。

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大庭は梶原に目利きを頼みます。

 「切り先物打ちはばき元」

天晴れ稀代の名剣・・・梶原は太鼓判。

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喜ぶ太夫を制して、

  「いかなる名刀かは知れぬが、
   切れ味が劣れば鰹かきも同じこと」 

・・・と、大庭は刀を買い渋ります。
ならば二つ胴の試し切りを、と太夫は申し出ます。
ふたつの胴体を一気切って、
切れ味を確かめてくれというのです。
しかし、試し切りする囚人はひとりしかいません。

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そういえば、二つ胴の証明書が家にある、
と窮した太夫は嘘をつき、梢に取りに帰らせます。

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太夫は、自ら囚人とともに試し切りされる覚悟。

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試し切りしようとする大庭を制して、
目利きをさせておいて、試し切りさせぬとは、
礼を失すると梶原が刀を取りあげます。

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そこへ梢が戻ってきますが、ときすでに遅く、
太夫と因人は重なり合って切られるのを待つばかり・・・

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梶原が刀を振り上げると、
紅白の梅・・・ではなく桜の花びらが乱れ散り・・・

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囚人の胴体は真っ二つ・・・

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・・・になったものの、縛った縄が切れただけで
太夫の身体はカスリ傷ひとつありません。

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とんだ茶番・・・とあざ笑いながら去る大庭・・・

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面目なさに腹を切ろうとする太夫を制して梶原は・・・

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刀の目利きの時に差裏の八幡の文字を見て
源氏に所縁ある者と分かって命を助けたのだ・・・

石橋山の戦いで頼朝を助けたのは他ならぬ自分。
源氏に味方するものだと本心を語ります。

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  「形は当時平家の武士、
   魂は左殿の御膝元の守護の武士、
   命をなげうって、忠勤をつくすべし」

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この刀はまさしく名刀。

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その証拠として梶原は・・・

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手水鉢を見事に真っ二つに・・・

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梢「アレ、モシ父さん」

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梶原「剣も剣」

太夫「切り手も切り手」

「役者も役者」

・・・と、ここでは大向うではなく、若衆の手拍子で合唱。

梶原は刀を三百両で買うことを約束します。

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梶原景時の悪評が定着したのは「吾妻鏡」からともいわれます。

北条氏を正当化するために書かれたこの史書で、
梶原景時がワルモノに仕立て上げられたのは、
いまだ武士たちの崇敬を集めていた頼朝を、
あからさまに批判することができないので、
佞人讒者である景時を重用してしまったのが誤り
・・・という迂遠な方法で、同じ鎌倉幕府の
前勢力を否定する意図があったともいわれています。

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この構図は「判官贔屓」の源淵でもありますので、
義経が悲劇のヒーローである限り、
景時の名誉回復は、永遠にないかもしれません。
作者の意図はわかりませんが、
カッコよすぎる景時の活躍するこの芝居、痛快です。
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Commented by ei5184 at 2016-04-25 19:23
長浜、10月に着物美女の撮影には、のこのこ出かけていましたが、
来年こそ 心を入れ替えて(笑)、子供たちの熱演の撮影に出掛けたいと思います。
もしも忘れていたら、申し訳ありませんが、始まる1週間前までにご案内を、宜しくお願いします。
Commented by dendoroubik at 2016-04-25 22:34
☆eiさん

心を入れ替える必要なんて全くありません
時期がちがうので 両方行けばいいだけです(笑)
でも 僕の思うところ 子供歌舞伎の方がよっぽど
倒錯的で甘美な世界です

なんといっても15日の本日ですけれど
14日の宵宮の自町狂言と登り山 役者夕渡り
そして今回はじめて行った16日の後宴にも打ちのめされました

来年はぜひ3連投で!
Commented by すぺいん人 at 2016-04-27 23:04 x
梶原が手水鉢を斬ってる後ろ姿がカッコ良いですね~♪♪♪
刀を抜いて構えたところへ桜の花びらが散ってる画も美しい♥

本日も1日最高な時間が過ごせますけど、後宴も「ちょっと楽しんでる感」が有って良いですよね♪
本日で紋付だったのが後宴で大島になるのも粋だし♪
Commented by dendoroubik at 2016-04-28 12:15
☆すぺいん人さん

梶原は最初から最後まで「芝居」してました
あれだけテンションを保てるというのは大したものですね

今回はじめて後宴へ行ったんですけれど
ステージを含めると1日中芝居だけを楽しめて
なかなかに優雅な気分に浸れるものですね
by dendoroubik | 2016-04-25 16:33 | ◇長浜曳山まつり | Trackback | Comments(4)