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津沢夜高あんどん祭 2015

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富山県西部、砺波平野には「夜高(よたか)」
と呼ばれる行燈行事がいくつかあります。

青森のねぶたのような巨大な行燈を曳きまわし、
盛りあがったところで突合せを行う・・・というものです。

砺波市のとなみ夜高祭、庄川観光祭、
南砺市の福野夜高祭、
そして小矢部市の津沢夜高あんどん祭り。

津沢の祭りへ、4度目の見物へ出かけました・・・。



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4度目の津沢・・・雨でした。

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少々の雨では中止にならないのがこの祭りです。

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軒下には武者絵の描かれた行燈が吊るされ、
町ぜんたいが幻想的な雰囲気に包まれます。

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丹精込めた美しい行燈がビニールに覆われているのは
いかにも残念ではありましたが、
ゾクゾクするようなこの祭りの興奮は
篠つく雨にも水を差されることはありません。

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前日に子どものお囃子のコンクールがあり、
上位の子どもたちの演奏がありましたが、
これがべらぼうに上手く、カッコいいのです。

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若衆、小若が夜高太鼓を打ち鳴らし、
主に女の子や女性が篠笛で曳行を盛りあげます。

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  津沢辺りか 夜空が燃えるョ
         夜高太鼓に ササ浮かれでる

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この祭りはもともと、6月10日、11日の
「やすんごと」と呼ばれる植付け盆
・・・五穀豊穣を祈る、虫除けの田祭り行事として
伝承されたものだそうです。

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17世紀の中頃、砺波郡福野の鎮守の氏神として
伊勢神宮より分霊を勧請した際、
住民たちが手に手に行燈を持って
国境に分霊の行列をお迎えしたのが、
行燈行事としてのこの祭りのはじまり・・・

たいていの観光案内にはそう書かれています。

想像するに、その光景がえも言われず美しかったこと・・・
その記憶が、夜高祭りを興す契機となったのかもしれません。

「夜高」は「夜に(行燈を)高々と掲げる」・・・の意でしょうか。

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なぜ、行燈が巨大化していったのかわかりませんが、
青森から能登半島にかけての日本海沿岸部には、
巨大な行燈行事がいくつも伝承されており、
夜高祭りも、それらと無関係ではないだろうと思います。

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青森ねぶたの人形型でもなく、
弘前ねぷたの扇型でもなく、
あんどんの形は、秋田「能代のねぶながし」
を思わせる城郭型が多い・・・。

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午後9時過ぎ、引き回し(喧嘩)がはじまります。
その頃、いちばん雨脚が激しくなってきました。

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7基の大行燈が、次々に
向かい合っては、激しくぶつかり合ってゆきます。

組み合わさると、曳き棒をクレーンのように上下させながら、
相手の「釣り物」(前方に取りつけられた行燈)を破壊。

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  喧嘩山車なら かいしょで回すョ
         揺れて夜高の ササ勇み肌

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「喧嘩」は夜半までつづきます。

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戦いを終えた夜高行燈は、
ふたたび夜の町を練り回されてゆきます。

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勇壮な夜高行燈のぶつけ合いが、
この祭りの白眉にはちがいないのですが・・・

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7基の大行燈、6基の中行燈、8基の小行燈が
軽快なお囃子を奏でられるなか、
「ヨイヤサ、ヨイヤサ」の囃子詞とともに、
闇のなかを練ってゆく風情・・・
4度も訪れた理由は、むしろ
そちらを味わうことだったかもしれません。

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ヨイヤサ、ヨイヤサ・・・

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遠くでお囃子が聞こえてきます。

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小矢部川沿いの、おそらくは普段は静かな町。

祭りの夜でさえ、夜高行燈が遠ざかると、
何事もないように静寂につつまれるこの町を後にしたのは、
ちょうど日付が変わろうとする頃・・・
Commented by mahoroba-shahai at 2015-06-15 11:16
まさに、圧巻! そのもですね。
シルエットが、またイイ! 酔いしれました。
ありがとうございます。
Commented by dendoroubik at 2015-06-15 11:36
☆まほろばさん

ありがとうございます!

規模では劣るかもしれませんが
町練りの幻想的な美しさや 喧嘩の興奮は
津軽のねぶたにも負けていないと思います

でも 雨のために 夜高行燈の美しさが
じゅうぶんにお伝えできなかったかもしれません

なぜ全国的な知名度がさほど高くないのか
不思議に思えるほど とてもいい祭りです
Commented by yyama0525 at 2015-06-16 07:52
鄙びた集落に突如響く、あの三味線に似た
音色のハイビート
行灯の美しさ・・雨もまた良しだったでしょう

ガチなぶつかり合いで、否応なく盛り上がった
様子が手にとるように分かります

私は翌日も行けませんでした
Commented by dendoroubik at 2015-06-16 11:39
☆Capt.Yamaさん

傘を片手の撮影でしたので
写真はどうにもなりませんでしたが(笑)
若衆 小若の心意気はまったく雨も無関係
正直 ちょっとガッカリしながら臨んだんですが
瞬く間に祭り風情に酔いしれてしまいました(笑)

静かな町だからこそ
あの急激なお囃子と幻想的な夜高行燈がより映えるんでしょうね・・・
Commented by tamsanpe at 2015-06-16 14:09
とても美しくて激しいお祭ですね。
普段静かな町が祭の時賑やかになって
また元の静かな町に戻る。
この感じが田舎育ちの僕は懐かしい気がします。

それにしても、ほんとに素敵な写真ですね^^

Commented by dendoroubik at 2015-06-16 17:41
☆ぴんの助さん

実直で寡黙な県民性というイメージとは裏腹に
富山県には存外 喧嘩祭りが多いんですね~
なぜなのかとても気になるところではありますが
納得のいく説明を聞いたことがありません
ただ どれも静と動の対比が美しくいい祭りばかりです

つくづく思うのは祭りの良さは その知名度と
必ずしも比例しないということです(^-^
Commented by shinrajuku at 2015-06-17 11:08
こんにちは。
過去3年のこの祭りの記事も今拝見してきました。
あ~、いいですね~、たまりませんね~^^
こりゃぁ行ってみたい。(行きたいところばかりが増えて、なかなか行けませんが・・・)
晴れた日の鮮明な行燈も綺麗ですが、
ビニールを被されて光る行燈がかえって妖しく思えます。
濡れた道が行燈に照らされてボ~ッと浮かび上がるのもまたいい感じです。


Commented by dendoroubik at 2015-06-17 21:41
☆shinrajukuさん

でも やっぱり雨じゃない方がいいですね(笑)
カメラ 壊れるかと思いました(>_<)/~~

水の入った水田に屋敷林が浮かびあがるように見える
この時期の砺波平野の散居村の風景を山の上から見ようか・・・
それとも夕刻 夜高行灯が 田んぼのなかを練り歩くのを眺めようか・・・
そんな野望も雨に打ち砕かれてしまいました・・・

どうして夜高祭りはぶつけ合いをするのか
・・・と思ってたら 大宰治を読むと
昔は津軽のねぶたでも やってたみたいですね

規模は小さいですけど
ある意味 ねぶたよりも面白い祭りですよ~~
by dendoroubik | 2015-06-15 10:15 | ◇津沢夜高あんどん祭 | Trackback | Comments(8)