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小松お旅まつり 2015 その1

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子供歌舞伎がはじまって、来年で250年を迎えるといわれる小松お旅まつり
八基揃えのある土曜日・・・その日おこわわれる、ふたつの当番町の子供歌舞伎、計5回をすべて見てまわってきました(笑)



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今年の出番町のひとつ、橋北の京町。

  「よーら八寸」

拍子木で音頭を取りながら、最初の執行場所まで、曳山が曳行されてゆきます。
京町は小松城にいちばん近く、かつて曳山が大手前に集まって芝居をしていた頃も、決まって、最初に幕を開けたのだといいます。
昭和初期の2度の大火の後も、戦後も、人心が消沈するなかで、いちはやく曳山芝居を再開したのが京町。

名実ともに小松の「一番山」です。

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小松のまちは、市街を流れる九龍橋川を境に北と南で、橋北、橋南と呼び慣わされます。
橋北で曳山を保有する町は、京町、中町、材木町の3つ。

橋南の曳山は、西町、龍助町、寺町、八日市町そして、今年の当番町、大文字町の5つ。

少し時間があったので、橋北の3つの曳山を見てまわりました。

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橋北の松任町が、近江長浜から曳山を譲り受けたりということもあったそうですが
その後、各町が競うようにして建造した曳山は、金箔や漆塗、螺鈿、彫刻など
加賀の伝統工芸の粋を尽くして絢爛豪華、小松ならではの様式美として屹立しています。


うっとり眺めていると・・・

 「うちの町の自慢は・・・」

町の方が、そばへ寄ってきて解説をしてくださいます。
誇らしげなのにイヤ味のない、その説明をお聞きするのも、この祭りの楽しみ・・・

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京町「壺坂霊験記」

2013年の長浜で市川団四郎氏が振付
それがとてもよかったということで、京町から「壺坂寺」のリクエストがあったのだそうです。

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昨年の米原も団四郎版「壺坂寺」でした。

子ども役者の個性を活かして、3つそれぞれにすばらしかったです。

今回、大家さん役が、その女房・・・お仙・・・に変更されていたのは
役者全員が女の子という小松の特色を活かしてのことでしょうが、この女将さんが妙に色っぽい(笑)
いでたちからして「おいしい」役の善六。 掛け取りのこのふたりの掛け合い、最高でした。

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ほとんどの時間を子供歌舞伎鑑賞に費やしたので、他に見るべきものも
ほとんど見られませんでしたが、道々、各町をまわる獅子舞は楽しませてもらいました。

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これも、お旅まつりの楽しみのひとつです。

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大文字町「曽我十二時 揚巻助六の場」(そがじゅうにとき あげまきすけろくのば)

てっきり、歌舞伎十八番「助六」のことかと思っていたら・・・いわばその海賊版、愛知県に伝わる地芝居なのだそうです。
新吉原の傾城、揚巻太夫が、実は曽我兄弟の兄、十郎だったというビックリな話です。
それを小学生の女の子が演じるのですから、話がちょっとややこしいですね(笑)


それにしても、この艶やかさ・・・

きみ、ホントに小学生・・・?(笑)

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「いいとこどり」しているだけあって、話がとても面白かったです。

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役のうえでは敵同士ですが、とても仲がよさそうな助六と奴幾助。
稀代の二枚目役と、しれっとした顔で観客を笑わる役・・・のふたりですが、舞台を降りるとこんな素敵な笑顔でした・・・

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花道広場よろっさでの、大文字町の歌舞伎が終わり、橋南の五基が、八基揃えへ向かいます。

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橋北と橋南の境界にあたる、細工町交差点に八基が曳き揃えられてゆきます。
橋北は兎橋神社、橋南は本折日吉神社の、それぞれ氏子町。
20年ほどまえまでは、それぞれの曳山が曳き揃えられることはもちろん、お互いに川を越えることさえなかったそうです。

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八基が曳き揃えられてからほどなく、役者たちが曳山までつづくレッドカーペットを、練ってゆきました。

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西陽を受けながら、京町の芝居がはじまります。

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クライマックスに差し掛かる頃、それまで一日中、空を覆っていた雲が、ようやくなくなり、快晴・・・夕暮れてきました。

  三つ違いの兄さんと・・・

言うて暮らしていた夫、沢市が谷底へ身を投げたのを知ったお里の寄る辺なさ。

  どうしょうぞいなあ・・・

お里の悲嘆と、義太夫の竹本越孝さんの名調子が重なります。

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座頭・沢市と、遊び人・雁九郎のひとり二役、早変わりもこの芝居の見どころ。

  「どっちが好き?」

とインタビューで尋ねられ、「沢市」・・・と答えていた小学5年の女の子。
理由は・・・沢市の話し方の方が、ふだんの自分の話し方に近いから・・・と。

奈良の話なのに、なぜかひとりだけ江戸っ子のような伝法なもの言いをする遊び人など
ちょっと縁遠い存在だったのかもしれません。でも、美少女の演じる雁九郎、とても魅力的でした。

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  「お客さん! 目が見えた!」

  「良かったな~!」(笑)


見どころ満載の小松お旅まつりですが、とりわけ僕がこの祭りを好きなのは、歌舞伎を見る観衆のまなざしが、とてもあたたかいことです。

  「歌舞伎のまち」

・・・を標榜するだけあって、子ども歌舞伎を楽しもうという意気込みが、いっしょに見ていてビンビン伝わってきます。
こういう掛け合いなんかもあって、笑いをとるシーンや、見せ場での歓声は、どこよりも盛大のように思えます。
そのせいか、団四郎師匠が織り込むギャクも、いつも以上に多かったです(笑)

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京町の芝居が終わると、日もとっぷり暮れて・・・

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大文字町の芝居がはじまります。

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壺坂寺が、夕暮れに似合うように、助六も闇を背景にして、妖艶なその魅力がさらに際立ちます。
揚巻が曽我十郎に戻り、巻き舌で名乗りをあげるのを聞いて、思わずゾクッときてしまいました。
ここは、やはり女の子が演じることが、魅力を倍加させるシーン・・・

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来るたびに「今年は良かった」と思うのに、翌年訪れると、その印象がまた更新される・・・
いい祭りは、皆、そうですね。そして、立ち去り難い・・・

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250年目へ思いがめぐります・・・
Commented by tora003 at 2015-05-18 20:28 x
こちらの祭りも、お付き合いいただきありがとうございました。
24枚の臨場感あふれる写真と詳細なキャブション・・・絶妙でございます。
風薫る5月の祭り絵巻、やはり北陸はdendoroubikさんの廊下ですね。
次の記事も楽しみにしております。
Commented by 清水 at 2015-05-19 10:45 x
素晴らしい写真と構成の中で
まだ見ぬ祭りはさらに空想を膨らませ
見物したことのある祭りは
自分の記憶と重ね合わせて楽しませていただいております

お旅祭りには何度か行っておりますが
二つの出し物をすべて見たのは
今回が初めてのような気がします
写真撮影だけでなく
祭りを楽しむ余裕が出来てきたのかもしれません
Commented by shinrajuku at 2015-05-19 11:17
こんにちは。
これがみんな、しょ、しょ、しょ、小学生の女の子・・・?
ま、ま、ま、マジですか・・・?
Commented by dendoroubik at 2015-05-19 20:06
☆toraさん

こちらこそありがとうございました!
勝山 長浜 揖斐川 小松
toraさんとの旅にハズレなし・・・ですね(笑)

土佐と泉州 両親とも先祖は太平洋側なのに
なぜか日本海側に激しく惹かれるのはなぜでしょう・・・?

もっと早くupするつもりだったのですが
休みにこれまたまた日本海側の
「おかえり祭り」へ行ってしまいました(笑)
Commented by dendoroubik at 2015-05-19 20:15
☆清水さん

「撮った」というよりも「写ってる」
・・・って感じの写真ばかりでお恥ずかしいです(笑)
何か感じていただけたとしたら
それは写っている祭り自体のすばらしさです

今週の土曜には勝山のさぎっちょがJR大阪駅に・・・

越前の方が 越前の祭りを大阪に見物に来る
・・・というのもまたオツなもの(笑)

いかがです~~
Commented by dendoroubik at 2015-05-19 20:22
☆shinrajukuさん

子供歌舞伎で男の子の「女形」に惚れてしまうのと
女の子の演じる「女形」に惚れてしまうのと
どちらが倒錯的なのでしょう(笑)

女と思ったら実は男だった
・・・という役を演じる女の子に見惚れるのは
まちがいなく究極の倒錯ですね(笑)
Commented by すぺいん人 at 2015-06-07 23:13 x
こんばんは☆
今年は小松に行けなかったので、こちらで拝見させて頂きました♪♪♪

お写真を見てるだけだとすっかり忘れていましたが、、、
そういえば小松は女子でしたね!(^^;)
雁九郎、男の子だと思い込んでました(汗)。

そして、助六の話が面白い!
「助六」と「対面」を混ぜ合わせただけでなく、まさかの揚巻が十郎って!!(@@;)
・・・それにしても揚巻ちゃん、めちゃ色気と気品が有って良いですね~♪

自分の目で見られなかったのは残念でしたが、dendoroubikさんのおかげで楽しませて頂きました♪
ありがとうございました☆
Commented by dendoroubik at 2015-06-08 10:59
☆すぺいん人さん

こんにちは!

「ふだんは人前で話すのも恥ずかしい」
・・・というくらいシャイな女の子が
「泣く子も黙る雁九郎たあ オレのこったい」
という啖呵・・・シビれてしまいます(笑)

揚巻も一幕では格式と気品と色気を漂わせながら
二幕で曽我十郎祐成に戻るときの巻き舌・・・
これにもヤラれてしまいました(笑)



by dendoroubik | 2015-05-18 08:05 | ◇小松お旅まつり | Trackback | Comments(8)