2015年 05月 18日
小松お旅まつり 2015 その1
今年の出番町のひとつ、橋北の京町。
「よーら八寸」
拍子木で音頭を取りながら、最初の執行場所まで、曳山が曳行されてゆきます。
京町は小松城にいちばん近く、かつて曳山が大手前に集まって芝居をしていた頃も、決まって、最初に幕を開けたのだといいます。
昭和初期の2度の大火の後も、戦後も、人心が消沈するなかで、いちはやく曳山芝居を再開したのが京町。
名実ともに小松の「一番山」です。
小松のまちは、市街を流れる九龍橋川を境に北と南で、橋北、橋南と呼び慣わされます。
橋北で曳山を保有する町は、京町、中町、材木町の3つ。
橋南の曳山は、西町、龍助町、寺町、八日市町そして、今年の当番町、大文字町の5つ。
少し時間があったので、橋北の3つの曳山を見てまわりました。
橋北の松任町が、近江長浜から曳山を譲り受けたりということもあったそうですが
その後、各町が競うようにして建造した曳山は、金箔や漆塗、螺鈿、彫刻など
加賀の伝統工芸の粋を尽くして絢爛豪華、小松ならではの様式美として屹立しています。
うっとり眺めていると・・・
「うちの町の自慢は・・・」
町の方が、そばへ寄ってきて解説をしてくださいます。
誇らしげなのにイヤ味のない、その説明をお聞きするのも、この祭りの楽しみ・・・
京町「壺坂霊験記」
2013年の長浜で市川団四郎氏が振付。
それがとてもよかったということで、京町から「壺坂寺」のリクエストがあったのだそうです。
昨年の米原も団四郎版「壺坂寺」でした。
子ども役者の個性を活かして、3つそれぞれにすばらしかったです。
今回、大家さん役が、その女房・・・お仙・・・に変更されていたのは
役者全員が女の子という小松の特色を活かしてのことでしょうが、この女将さんが妙に色っぽい(笑)
いでたちからして「おいしい」役の善六。 掛け取りのこのふたりの掛け合い、最高でした。
これも、お旅まつりの楽しみのひとつです。
大文字町「曽我十二時 揚巻助六の場」(そがじゅうにとき あげまきすけろくのば)
てっきり、歌舞伎十八番「助六」のことかと思っていたら・・・いわばその海賊版、愛知県に伝わる地芝居なのだそうです。
新吉原の傾城、揚巻太夫が、実は曽我兄弟の兄、十郎だったというビックリな話です。
それを小学生の女の子が演じるのですから、話がちょっとややこしいですね(笑)
それにしても、この艶やかさ・・・
きみ、ホントに小学生・・・?(笑)
「いいとこどり」しているだけあって、話がとても面白かったです。
役のうえでは敵同士ですが、とても仲がよさそうな助六と奴幾助。
稀代の二枚目役と、しれっとした顔で観客を笑わる役・・・のふたりですが、舞台を降りるとこんな素敵な笑顔でした・・・
花道広場よろっさでの、大文字町の歌舞伎が終わり、橋南の五基が、八基揃えへ向かいます。
橋北と橋南の境界にあたる、細工町交差点に八基が曳き揃えられてゆきます。
橋北は兎橋神社、橋南は本折日吉神社の、それぞれ氏子町。
20年ほどまえまでは、それぞれの曳山が曳き揃えられることはもちろん、お互いに川を越えることさえなかったそうです。
八基が曳き揃えられてからほどなく、役者たちが曳山までつづくレッドカーペットを、練ってゆきました。
西陽を受けながら、京町の芝居がはじまります。
クライマックスに差し掛かる頃、それまで一日中、空を覆っていた雲が、ようやくなくなり、快晴・・・夕暮れてきました。
三つ違いの兄さんと・・・
言うて暮らしていた夫、沢市が谷底へ身を投げたのを知ったお里の寄る辺なさ。
どうしょうぞいなあ・・・
お里の悲嘆と、義太夫の竹本越孝さんの名調子が重なります。
座頭・沢市と、遊び人・雁九郎のひとり二役、早変わりもこの芝居の見どころ。
「どっちが好き?」
とインタビューで尋ねられ、「沢市」・・・と答えていた小学5年の女の子。
理由は・・・沢市の話し方の方が、ふだんの自分の話し方に近いから・・・と。
「お客さん! 目が見えた!」
「良かったな~!」(笑)
見どころ満載の小松お旅まつりですが、とりわけ僕がこの祭りを好きなのは、歌舞伎を見る観衆のまなざしが、とてもあたたかいことです。
「歌舞伎のまち」
・・・を標榜するだけあって、子ども歌舞伎を楽しもうという意気込みが、いっしょに見ていてビンビン伝わってきます。
こういう掛け合いなんかもあって、笑いをとるシーンや、見せ場での歓声は、どこよりも盛大のように思えます。
そのせいか、団四郎師匠が織り込むギャクも、いつも以上に多かったです(笑)
京町の芝居が終わると、日もとっぷり暮れて・・・
大文字町の芝居がはじまります。
壺坂寺が、夕暮れに似合うように、助六も闇を背景にして、妖艶なその魅力がさらに際立ちます。
揚巻が曽我十郎に戻り、巻き舌で名乗りをあげるのを聞いて、思わずゾクッときてしまいました。
ここは、やはり女の子が演じることが、魅力を倍加させるシーン・・・
来るたびに「今年は良かった」と思うのに、翌年訪れると、その印象がまた更新される・・・
250年目へ思いがめぐります・・・
24枚の臨場感あふれる写真と詳細なキャブション・・・絶妙でございます。
風薫る5月の祭り絵巻、やはり北陸はdendoroubikさんの廊下ですね。
次の記事も楽しみにしております。
まだ見ぬ祭りはさらに空想を膨らませ
見物したことのある祭りは
自分の記憶と重ね合わせて楽しませていただいております
お旅祭りには何度か行っておりますが
二つの出し物をすべて見たのは
今回が初めてのような気がします
写真撮影だけでなく
祭りを楽しむ余裕が出来てきたのかもしれません
こちらこそありがとうございました!
勝山 長浜 揖斐川 小松
toraさんとの旅にハズレなし・・・ですね(笑)
土佐と泉州 両親とも先祖は太平洋側なのに
なぜか日本海側に激しく惹かれるのはなぜでしょう・・・?
もっと早くupするつもりだったのですが
休みにこれまたまた日本海側の
「おかえり祭り」へ行ってしまいました(笑)
「撮った」というよりも「写ってる」
・・・って感じの写真ばかりでお恥ずかしいです(笑)
何か感じていただけたとしたら
それは写っている祭り自体のすばらしさです
今週の土曜には勝山のさぎっちょがJR大阪駅に・・・
越前の方が 越前の祭りを大阪に見物に来る
・・・というのもまたオツなもの(笑)
いかがです~~
子供歌舞伎で男の子の「女形」に惚れてしまうのと
女の子の演じる「女形」に惚れてしまうのと
どちらが倒錯的なのでしょう(笑)
女と思ったら実は男だった
・・・という役を演じる女の子に見惚れるのは
まちがいなく究極の倒錯ですね(笑)
今年は小松に行けなかったので、こちらで拝見させて頂きました♪♪♪
お写真を見てるだけだとすっかり忘れていましたが、、、
そういえば小松は女子でしたね!(^^;)
雁九郎、男の子だと思い込んでました(汗)。
そして、助六の話が面白い!
「助六」と「対面」を混ぜ合わせただけでなく、まさかの揚巻が十郎って!!(@@;)
・・・それにしても揚巻ちゃん、めちゃ色気と気品が有って良いですね~♪
自分の目で見られなかったのは残念でしたが、dendoroubikさんのおかげで楽しませて頂きました♪
ありがとうございました☆
こんにちは!
「ふだんは人前で話すのも恥ずかしい」
・・・というくらいシャイな女の子が
「泣く子も黙る雁九郎たあ オレのこったい」
という啖呵・・・シビれてしまいます(笑)
揚巻も一幕では格式と気品と色気を漂わせながら
二幕で曽我十郎祐成に戻るときの巻き舌・・・
これにもヤラれてしまいました(笑)