2014年 11月 05日
BIWAKOビエンナーレ 2014 泡沫-UTAKATA
更新が遅れて、すでにひとつは終了してしまい、
もうひとつもあと数日で会期が終わってしまうのですが、
滋賀県近江八幡市の旧市街地で、
ほぼ同時にふたつのイベントが行われていました。
今回で6回目となる国際芸術祭「BIWAKOビエンナーレ」と、
没後50年を記念して開催された「ヴォーリズメモリアルin近江八幡」。
まず、BIWAKOビエンナーレから・・・。
訪れたのは雨の月曜日。
・・・にもかかわらず、近江八幡は静かににぎわっていました。
手にしたマップの色で、その人が巡っているのが、
ビエンナーレなのかヴォーリズなのかがわかります(笑)
年齢層は、前者の方が圧倒的に若い・・・。
第一回目は大津市で行われましたが、
二回目以降は、ここ近江八幡を中心に行われています。
僕は4回目2010年「玉手箱-Magicsal worldから見始め、
前回の2014年「御伽草子-Fairy Tale」と今回で3度目です。
主に江戸時代の・・・多くは廃屋となった14の建築物が会場。
チケットを買って巡ってゆきます。
この国際芸術祭の意図については、
総合ディレクターの中田洋子さんが、
TVなどで頻繁に語っておられますので、
ご存知の方、 また、共感する方も多いと思います。
海外での生活経験から、
近年、日本人のわが町に対する誇りと、
それに基づく町並みの継承への意志が
希薄になってきているように感じる
・・・というような意味のことを語っておられたと思います。
古いものを捨て去って、
新しいものをどんどんつくることが
活気だと勘違いしているのではないか?
日本人は奥ゆかしいのか何なのか、
他人(外国人)のお墨付きがなければ、胸を張れない、
というところがあるのかもしれません。
TVなんかでも、いまだに西欧人が日本の伝統美を称賛する
・・・という紋切り型のシーンによくお目にかかります。
しかし、こと町並みや景観の保全に関しては、
壊しては作り替える・・・という、
西欧人と正反対のことをしている、というのが皮肉です。
もしかしたら、渡辺京二氏の言う通り、
日本の本当の美しさは明治のはじめに決定的に失われ、
いま、伝統的な建造物などに感じる美しさは
「逝きし世の面影」にすぎないのかもしれません。
だとしても、伝統的な町並みは
保存されないよりは保存された方がいいに決まってますし、
できればそういったものに触れる機会は
多ければ多いほどいいですね。
そして、同じ出会うのなら、うまく出会いたい・・・。
伝統的な町並みや建造物と、
不思議な出会いを提供してくれるのが、
BIWAKOビエンナーレの愉しさだと思います。
生まれ出ずる作品は、江戸時代よりときを刻んできた建物たちから立ち上がる記憶の雫。
足を踏み入れた瞬間、その一雫が心を満たしてくれるでしょう。(中田洋子)
官庁や企業の主導する芸術祭ではないので、
スケール感に欠けると思われる向きもあるかもしれませんが、
密度は濃いです。
そして、自由度が高いのも、毎回出向いてしまう理由のひとつです。
たとえば、全会場で撮影OK。
どうせ素人なのでロクな写真は撮れはしないのですが(笑)
ファインダー越しに見るというのも、作品の触れ方のひとつだとすれば、
そういう自由が担保されているのは、やはり嬉しいことです。
撮影するしないにかかわわらず、
撮影禁止の場所というのは、ちょっと窮屈です。
「BIWAKO」と銘打たれているのは、
いずれ滋賀県の各地にこの芸術祭を拡散させたい
・・・という思いからだそうです。
そうなったらいいのにな・・・と思います。
滋賀県の観光がもうひとつパッとしな理由のひとつは、
見所が分散していて交通の便が悪いことが挙げられます。
そういう不便さを逆手にとって、
のんびりとびわ湖を遊覧しながら巡る芸術祭が、
いつかでできたらな・・・と夢想します。
八幡掘はびわ湖に繋がってますので、
近江八幡へは舟でも上陸することが可能ですね・・・