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五所川原「立佞武多の館 」

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遠く聞こえて 津軽の古里(くに)に
笛と太鼓と立ちねぷた
街を見おろし 歴史が通る
津軽平野は五所川原

ヤッテマレ ヤッテマレ
ヤッテマレ ヤッテマレ ヤッテマレ

勝った戦の立ねぷた
夏を彩る 風も踊れよ
立ねぷた 立ねぷた
(吉幾三 『立佞武多』




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旅行初日に弘前ねぷたを見た翌朝。

前夜、ねぷたの後、津軽三味線の聴ける居酒屋で
(・・・といっても、ライブはもう終わってましたが^-^;)
けっこう深酒をしたにもかかわらず
4時に起床して、弘前の街並み探索と、飛び出し坊やの調査にでかけました。

朝食後、向かったのは五所川原。市街地よりも少し北の金木。 太宰治の生家「斜陽館」です。

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行きの新幹線・・・京都から新青森まで6時間。

レンタカーで移動のために酒を飲めず、本を読むことにして選んだのは
太宰治の『津軽』と司馬遼太郎の『北のまほろば』。 津軽紀行の定番ですね。

ちなみに、帰りに読もうとカバンに忍ばせた
棟方志功の『板極道』と新田次郎『八甲田山死の彷徨』
これは心置きなく酒を飲んで、1ページも繙かれず(笑)

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とても・・・どうでもいいことなのですが・・・。
このブログのタイトル『ゲジデジ通信』というのは、太宰の『津軽通信』のパクリです(笑)

「津軽」・・・という語には太宰の含羞と矜持が相俟っていますが
関西人・・・とくに京都人が滋賀県民を揶揄するときに使う「ゲジゲジ」という言葉と
「デジカメ」の造語「ゲジデジ」には何の芸術的粉飾もありません(笑)

ブログをはじめようとしていた頃、車のなかでふとこのふざけたタイトルを思いつき
その勢いではじめたのを・・・とても後悔しています(笑)
もうちょっとカッコいいタイトルを、つければよかったかな・・・と(笑)

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それはともかく、改めて読み返してみて、やはり『津軽』は名作です。
『北のまほろば』『津軽』の注釈書として読めなくはありません。

京都、奈良に住まいながら、子弟の教育が不安だから
という世俗的な理由で東京に帰った志賀直哉よりも、
「ひょっとしたら、自分のルーツは近江日野商人」という妄想を抱きつつ、
関西に埋もれていった谷崎潤一郎の方が、今読んでも、圧倒的におもしろいですね。

しかし、関西にはまったく興味すら抱かず
生涯、京都にも奈良にも足を踏み入れなかった太宰治というのは、やはりすごい。

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『津軽』のなかで、宿敵・志賀直哉のことを同郷人が
崇拝せんばかりなのを苦々しく思い、論戦を挑むくだりがあります。
相手を納得させることができず
「作家を目の前にして、他の作家を誉めるなよ」
・・・と茶化して終わってしまうのですが
京都や奈良のことは書けても、津軽のことを書けはしないような人が
日本を代表する作家であっていいのか、という苛立ちがあったのかもしれません。


「かれは賤しきものなるぞ、ただ時の武運つよくして云々・・・」

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・・・と、そんなことを考えながら、金木から五所川原市街へ移動。
「立佞武多の館」高さ22メートルの立佞武多が、常設されています。

祭りは8月4日から8日の5日間。 ちょうどこの夜、ここから3つの立佞武多が、
市街地へ出陣する初日でしたが、青森ねぶたを見るため、泣く泣く断念。

五所川原では、毎年1基ずつ立佞武多が製作され、前年とその前の年とあわせ、3基で運行されます。

こちらが今年の新作「国性爺合戦 和藤内」。和藤内が、伊勢神宮の札で、
虎を屈服させるシーンです。

(わがトラは、巨人ねぷたに屈服する勿れ!)

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 それにしてもデカいです。

「デカい」・・・とは聞いていましたし、「デカいだろうな」・・・と心構えもしていましたが
まるで想定外のデカさ・・・思わず「わっ!」と声をあげてしまいました(笑)

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この大きさを捉えようと、4階から、1階から、矯めつ眇めつ撮ってみましたが、
まるきり大きさが伝わりません・・・。

言葉で表現するとすれば・・・

不必要な大きさ

・・・って感じでしょうか(笑)

いままで見た祭り関連の展示館では、能登輪島の「キリコ開館」と双璧です。

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五所川原の立佞武多は、能登のキリコと同じように、明治以降、次第に巨大化。
その後、電線の架線により運行が困難となり、やがて巨大ねぷたは姿を消してしまいます。

平成8年、有志が当時の設計図と写真をもとに復元。
ふたたび五所川原立佞武多は往時の輝きを取り戻しました。

五所川原の他のどの建物よりも高い、立佞武多の館の建物に、市民の心意気を感じます!

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祭りには、毎年、五所川原金木出身の吉幾三さんが登場、『立佞武多』を歌われるそうです。
とてもいい唄ですね。

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初日のこの日がちょうど登場される日とのことでした。 心残りです・・・。

Commented by nararanran at 2014-08-26 10:04
こんにちは。

太宰治氏の本は、ほんの一部分しか読んでいませんでした。
「津軽」は、読んだことがなく
「斜陽」と「人間失格」などなど。
今度、是非「津軽」を読ませてもらいます。
実は、学生時代に好きな本はと聞かれると
「斜陽」「人間失格」と答えていた私(^_^;)
今にして思えば笑ってしまいます。

Commented by dendoroubik at 2014-08-26 11:28
☆らんさん

いえ・・・実は僕もあまり読んでません(笑)

ただ「地方」を語る言葉が
最近ますます貧困になっているのではないか・・・と

地方のことを描こうとすると・・・
小説だと旅情サスペンスだとか
音楽だと演歌にしかならないのを
ちょっと淋しく思います
滋賀県なんて演歌にすらなりませんけど(笑)

「津軽」にはそういう紋切り型に対する
力強い抵抗が感じられて元気づけられました
Commented by nararanran at 2014-08-26 13:25
こんにちは~

昨日のコメントの「どぶに落ちても~~♪」の歌詞があまりにもよくって
検索してYouTubeで発見(*^^*)
思わずBlogにdendoroubikさんのお名前を載せさせていただきました。
事後報告で申し訳ありませんm(__)m

う~ん、すっごいエエ歌詞です(^^)
素敵なお話教えて下さってありがとうございます。
Commented by dendoroubik at 2014-08-26 17:19
☆らんさん

くだらないコメントを拾いあげてくださり
ありがとうございます♪ヽ(´▽`)/
5番の歌詞もいいんですよ・・・

男の人生ひとり旅
泣くな嘆くな 影法師♪

旅に出たくなります\(^o^)/

Commented by 嶺、 at 2014-08-27 14:53 x
こんにちは、初めてお便りします。blog拝見しました。陸奥の祭り津軽の古里ねぶた祭り 今年は行きたかったが他の取材と重なり残念です。素晴らしい写真ありがとうございます。此れからも宜しくお願いします。
Commented by dendoroubik at 2014-08-27 21:25
☆嶺さん

はじめまして!

津軽の地も そこでおこなわれるねぶたも
長らく憧れでしたの
この夏 はじめて訪ねることができて感無量です
妄想していた以上の発見ができ
また訪ねることのできる日を心待ちにしています

コメントいただきまして ありがとうございます!
また お暇なときにでも遊びにいらしてくださいませ^-^
by dendoroubik | 2014-08-25 23:05 | ◆陸奥の祭 | Trackback | Comments(6)