神目神社 酒樽返し

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奥能登・・・石川県鳳珠郡能登町藤波。
神目神社(かんのめじんじゃ)の「酒樽返し」
という春祭りを見物してきました。

白いフンドシ姿の男衆が、
田んぼや海のなかで一斗入りの酒樽を奪い合い、
豊作、豊漁を祈願する・・・という奇祭です。




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舞台は、7月に「あばれ祭り」のおこなわれる宇出津のすぐ南、
海岸線を走る国道249号線沿いの藤波。

正午過ぎに到着すると、
海岸沿いの集落に曳山が1基。

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午後1時ごろ、神目神社へ向けて曳行されてゆきます。

曳山は全部で3基。

漁師町らしく、いずれも恵比寿さんを載せていました。

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もともとこのお祭りは、神目神社ではなく、
八王子神社でおこなわれていたものです。

八王子神社の氏子の網元方と、
大宮神社の氏子の網元方に分かれ、
酒樽を奪い合い、大漁を占う・・・
といったものだったそうです。

明治の末にふたつの神社が神目神社に合祀され、
以降、この神社の春祭りになったとのこと。
(現在の所在地は、大宮神社があったところ)

創祀年代は不詳。
延喜式内の神目伊豆伎比古神社にあてられた古社ですが、
元禄2年に社殿が焼失し、旧記を失います。

主祭神は、迦爾米雷王。

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拝殿に掲げられたこの奉納額がすごい!

「鯨捕り絵図」(能登町指定文化財)といい、
加賀藩13代藩主前田斉泰が能登視察のおり、
藤波の浜辺で鯨捕りを見物した時の情景を描かせたものです。

能登内浦は、全国でも指折りの定置網魚場ですが、
江戸時代には鯨がかかることもあったのですね!

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そういえば、近くにある真脇遺跡という縄文遺跡では、
イルカの骨が多数出土しているといいます。

気の遠くなるような昔から、豊かな漁場の恵みを受けて
ここに人間が営みをつづけてきたのですね・・・。

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3基の曳山が神目神社の石段下に曳き揃えられ、
午後2時より神事がとりおこなわれます。

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最後に一斗入りの酒樽に、
フンドシ一丁の男衆が酒を注ぎ入れます。

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酒樽を交代して担ぎながら、
男衆は拝殿を飛び出し、石段を駆け下りて、
1キロ弱先の田んぼへ向ってゆきます。

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そもそも、なにゆえに酒樽を奪い合うのか・・・?

翌日の新聞には・・・。

 樽にまたがった神様が海岸に漂着したとき、
 住民らがもてなそうと樽を奪い合ったことにはじまる。

・・・とありますが、能登町のHPなどを見ると、
また違った由来が記されています。

平安時代末期、武将の奥方、または娘が
樽に乗って流れ着いたことがはじまり・・・。

源義経が能登を経由して奥州へ落ちのびる途中、
病気になった寅御前が
伴の女3人と7つの樽に乗って流れ着いた・・・。云々。

いずれにせよ、神様や、やんごとない身分の人物が、
樽に乗って流れ着いた、
・・・という漂着伝説が起源にあるようです。

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「あばれ祭り」のおこなわれる宇出津の、
その名も酒垂神社(さかたるじんじゃ)の神も、
アエの風(北東からの風)のまにまに
酒樽に乗って漂着したと伝えられています。

能登には、このような漂着神話が無数にあるそうです・・・。

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息を切らせて、男衆を追いかけました(笑)。
到着するとすぐに酒樽の奪い合いがはじまります。 

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奪い合い・・・というより、
ジャレ合っているようにも見えます(笑)

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休憩をはさんで何度か繰り返されます。
途中、一度、泥だらけになった酒樽を、
近くの小川で洗い清めます。

これも「台本」にあるそうです。

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休憩中に、酒樽の酒の回し呑み。

この日は快晴で、比較的温暖でしたが、
4月の奥能登でおこなわれる行事ですから、
身体を温める・・・という意味合いもあるのでしょうか。

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20本の掌で酒樽が掲げられているのを見ていると、
やはり神聖な行事がおこなわれている・・・
という印象も浮かんではくるのですが・・・

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でも、やっぱり子供のドロ遊びのようにも(笑)

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田んぼでの酒樽返しが済むと、
また交代で酒樽を担ぎながら、
今度は港へ移動してゆきます。

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海のなかで酒樽返しがおこなわえます。

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神目神社から、3基の曳山も曳行され、
港でのこのシーンがいちばん華やかで見ものでした。

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神目神社の春祭りとなった酒樽返しは、
終戦後、一時廃れ、復活したのが昭和50年。

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決して大きくはない海沿いの町で、
祭りが再興されたというのは感動的です。

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隣の宇出津では、
同じ月の終りに盛大な曳山祭りがおこなわれ、
夏には著名なあばれ祭りもあります。
あるいは、それらを横目で見ながら、
自分たちも・・・という気持ちがあったのかもしれません。

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3基の曳山も、つい最近、
つくられたものだそうです。心意気を感じます。

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自宅から遠いので、頻繁に通うこともできず、
誇れるほどの祭りを見たわけでもないのですが、
能登の祭りに、とても心を惹かれるのは、
こういう心意気がダイレクトに伝わってくるからだと思います。

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昨年、飛騨古川の祭りを見物しているとき、
隣合わせて話した、大阪からお越しの年配のカメラマンも、
能登の祭りがとても好きだとおっしゃってました。

車に乗られない方なので、能登線の廃線以来、
通えなくなったと嘆いておられました。

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来春の北陸新幹線開業のニュースを聞くにつけ、
思い出すのは、あのおじゃいいちゃんカメラマンの淋しげな表情です。

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車で往復12時間、見物時間は2時間足らず(笑)

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しかし、充実した時間でした。

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午後3時過ぎ、曳きおさめです。
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Commented by すぺいん人 at 2014-04-05 22:10 x
こんばんは☆
能登町にはお気に入りの宿が有るので何度か行っています(今年8月にも久々に行く予定♪)が、
こんなお祭が有ったんですね♪

能登のお祭と云うとキリコのイメージが強いですが、こちらのお祭も素敵ですね~!!!

酒樽の奪い合い、楽しそう♪(^^*)
男の人たちがまた良い顔してますね~!!!

奥能登は行くまでに時間がかかりますが、行くとなにかパワーを貰えるというか、時間をかけても行きたいと思わせる魅力が有ると私はいつも思います☆
Commented by すぺいん人 at 2014-04-05 22:12 x
あ、今年も15日に長浜曳山まつり行きが決定しました(笑)。
あと、14日は天気が良ければ春の高山祭まで遠征します(^^*)
(お天気悪かったら長浜で過ごします~♪♪♪)
Commented by dendoroubik at 2014-04-06 10:30
☆すぺいん人さん

能登から なんかパワー貰えそう・・・
というのは よくわかりますね~
自分も 年に1度か2度だけですけど 能登へ行きます

石川の観光といえば金沢が突出していて
それは京都府のなかで京都市が突出しているのと
同じようにも思えますが
お祭りに関していえば 
京都市とは逆に金沢市以外・・・
特に能登の祭りが抜きん出ているんですね

1年ずつ ボツボツと能登の祭りを
見てまわりたいと思っています


いよいよ春祭り本番ですね!
うれしい反面 日程が重なってどれかを見られなかったり
スケジュールが詰まりすぎて体力的にキツかったり
たいへんな季節に突入です(笑)

今週末は地元の山王祭 近江八幡の火祭り
それに長浜曳山と高山祭がかさなります
どれも曜日でなく日で決まった祭りなので
毎年悩んでしまいます(笑)
春の方の高山祭は いまだ行ったことがありません・・・

今年は14~16日まで長浜へ行く予定ですが
14日の昼間だけ 高山へ遠征するかもしれません^-^ v
Commented by nararanran at 2014-04-06 21:10
こんばんは~
能登のお祭りを金沢にいる間にもっと行っておくべきやったと後悔しています。
藤波はよく通りました^^
あばれ祭りも行きましたよ♪
(知人の家に飲みに行ったという方が正しいケド)
富山にも大きなお祭りがいっぱいありますね。
また回れたらいいな~と懐かしさで胸いっぱいになり拝見させていただきました。
ありがとうございます。

奈良ってお酒飲んで大騒ぎするお祭りないし・・悲
Commented by dendoroubik at 2014-04-06 23:15
☆らんさん

数年まえに 富山へ単身赴任していた2年間
富山の観光地や祭りを見まくりました(笑)
3年目は金沢や能登を・・・と思ってた矢先に
こちらへ返されて いま 石川に再チャレンジ中です

でも 地元だと かえって行かないものですね
何時でも行けるという安心と ちょっと気恥ずかしさと・・・
自分も大学を卒業するまで生まれ育った京都の
寺や 祭りも祗園祭を除いてあまり行った記憶ないです

だから 思い立ったら後先考えずに行こう!
体力と気力のつづく限りは そうしようと考えていますwww

奈良の祭りがつまらない
・・・ってことは 決してないと思います!
Commented by nararanran at 2014-04-13 09:38
そうですね。
奈良のお祭りもいいのがあります^^
なかなか行けないのですが
奈良のお祭りを見て。聞いて。体感してみたいです(*^_^*)
Commented by dendoroubik at 2014-04-13 14:40
☆らんさん

四季の風景も情趣のある奈良ですが
お祭りも独特で楽しげなものが多いですね!
・・・なかなか行く機会がなくて残念ですが・・・

らんさんが取りあげてくだされば嬉しいんですがwww
by dendoroubik | 2014-04-05 11:51 | ◆能登の祭 | Trackback | Comments(7)