2013年 09月 12日
おわら風の盆 2013 その4 天満町
おわらをおこなう十一の支部のうち、福島(ふくじま)支部を除く十の町は、井田川右岸にあります。
十の「旧町」は井田川と別荘川にはさまれた丘陵にありますが、
天満町(てんまんちょう)は別荘川が井田川に合流する河口近く、唯一その左岸に位置します。
その向こうには久婦須川。天満町は、三方を川に囲まれた町です。
おわら開催中の八尾の町は、この世ならぬ幻想的な気配を漂わせていますが
下新町から眼鏡橋を渡って天満町へ入るとき、さらに異界に降り立つような感覚に捉われてしまいます。
最終日の踊りがはじまる午後7時。間歇的に降っていた細かい雨も、ようやく上がりそうな気配。
このまま降らずにいたら演るよ、とのことで、しばらく待機します。
予定を少し過ぎて、生演奏なし・・・スピーカーから流れる録音の囃しで輪踊りがはじまりました。
2、30分踊っているうちに、もう雨は降らないと判断されたのか
地方(じかた)の方々もスタンバイされ、本格的に輪踊りがはじまります。
家族的な雰囲気に溢れた、とても温かく、やわらかい感じの踊りです。
おわら風の盆を見て誰もが瞠目するのは、隅々まで神経が行き届いたような指先と掌の優雅な動き・・・
ひとつひとつの挙措を忽せにしないこの仕草は、一朝一夕に身につくものではないでしょう。
幼いころから、こうして積みあげられてゆくのですね。
富山県滑川市出身の女優、室井滋さんは、エッセイでこんなことを書いています。(『ああ、風の盆』)
当時の滑川では小学校の運動会で『ホタルイカ音頭』という、
なにやら楽しげな踊りをやっていたそうです。炎天下での練習で、室井少女らはブツクサ・・・。
「知っとる~ 八尾の子らのシゴキって、こんなもんやないらしいよ。
猫背にならんように、物差し、背中に入れられたり
腰を強くするために、砂の重りパンツ穿くらしいよ」
「音楽の時間も三味線と太鼓ばっかりで、笛とかハーモニカなんて見たことないらしいがよ」
「なんのせ、赤ちゃんが歩きだしたらもう練習やってゆうから、おっとろしいわねぇ」
私達はきびしい踊りの町に生まれなかった事を半分喜び、半分妬んで、よく噂したものだ。
天満町には「川窪おわら」と呼ばれる、独特の唄い方が伝承されています。
おわらは、いきなりハイトーンヴォイスではじまり、都都逸とおなじ、七七、七五を
こぶしをうねらせながら、息継ぎなしで唄い切ります。
「川窪おわら」は、上句の七七の間に、「コラッショット」と囃しを入れるのですが
その間合いが、とても長閑で、心に沁みるのです。
唄の街だよ 八尾の町は
うたで糸とる オワラ 桑もつむ
輪踊りがすすむうちに、それまで、今年は何ひとつ見ることができないのではないか・・・
と半ば諦めに近い気持ちでそこに佇んでいたことさえ忘れ、引き込まれていることに、ふと気づきます。
雨が降るとか、降らないとか、そんな心配さえもう忘れてしまっています・・・。
ただ、この瞬間を味わえただけで、今年もやってきた甲斐があった・・・
そんな充足感に見ている誰もが浸されていたと思います・・・
風の盆が終ると、色んな方の視点を楽しんでいます。
温かくて、やわらかいという表現は、新鮮で嬉しいです。
toraさん共々、またご来町くださいませ。
今年もすばらしいおわら ありがとうございました
雨で皆さん やきもきされ
ご苦労も多かったと思いますが
3日間ともおこなわれたのは なによりでした^-^
toraさんとは 今年 福井と京都の祭りでご一緒させていただき
おわらで再会を約していたのですが
ご事情がおありで・・・残念でした
記事のなかでも記しましたように
toraさんのご贔屓の天満町で輪踊りを眺めているうちに
やっぱり来てよかった・・・と 幸福感に満たされました
来年も またお伺いさせていただきますv
コメントいただきまして ありがとうございます^-^
てっきりごいっしょできるものと楽しみにしておりましたが
予想外に充実していた今年のおわら行に
唯一・・・決定的に欠けていたのは
toraさんと酒を酌み交わす時間だったようです(>_<)
来年は せんべぇさんも無理矢理連れ出しましょう(^-^)/