長浜曳山まつり 2013 その4 神前狂言②

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びわ湖の間隔がいちばん狭くなった西側、堅田。 
名高い浮御堂」のすぐ南側に
「おとせ浜」 と呼ばれる小さな浜辺があります。

「おとせ浜」には、おとせの石」
という石碑がひっとりとたたずんでいます。

「おとせ」というのは堅田出身の女性の名前で 、
彼女にまつわる伝説が、この浜の名前の由来です。


こんな話です。


源平争乱の頃・・・
京の源氏屋敷に奉公していたおとせは、
主家滅亡の際、源氏の旗印である
白旗を守りながら故郷へ向けて逃れます。
大津で討手を振り切るためにびわ湖へ飛び込みますが、
白旗を握った片腕を切り落とされ、息絶えてしまいます。

その片腕は故郷の堅田に流れ着き、
おとせの子が指を開かせるまで、
白旗を握りしめたまま離そうとしなかったのだといいます。

忠義を貫いて白旗を離さなかったおとせ。
その子は母の遺志をついで白旗を守護し、
のちに木曽義仲の武将手塚太郎光盛に・・・





この話をもとにつくられたのが『源平布引滝 実盛物語』
演じるのは、常磐山(呉服町組)

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討死にした義賢の子を宿している葵御前は、
びわ湖畔にすむ百姓の九郎助の家にかくまわれています。

そこへやってきたのが、
平家方の詮議の者、斉藤実盛と瀬尾十郎。

生まれる子が男なら殺せ、という命を受けてきたのです。

苦し紛れに錦にくるんで差し出したのは、赤ん坊ではなく、
さきほど九郎助と、その子太郎吉が、
びわ湖畔で見つけた、白旗を握っていた腕。

嘲笑う瀬尾をなだめる実盛。
実は、平家方に白旗を渡すまいと、小万
(おとせをモデルにした、劇中では太郎吉の母)の
腕を切ったのは、ほかならぬ実盛。

腕を見て、ハッと気づいたのでした。

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やがて葵御前が産気づき、
玉のような男の子(木曽義仲)を生みます。

源氏隆盛の瑞相と実盛は喜び、
ぜひ太郎吉を若君の家臣に取り立てて欲しい、と頼みますが、
小万の本当の父親は平家方。

その息子を家臣にするわけにはいかない
・・・と、葵御前は突っぱねます。

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 平家方の血を引くとはいえ、
 功を立てたなら取り立てよう・・・

葵御前のその言葉を陰で聞いていた瀬尾は、
なぜか、自らを太郎吉に討ち取らせます。

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なんと瀬尾こそが小万のほんとうの父親。

九郎助の恩に報いるために、
わざと孫の太郎吉に手柄を立てさせたのでした。

この功により、若君・・・木曽義仲の一の家臣となることが許され、
名も手塚太郎と改めた太郎吉。

今度は母の仇の実盛に詰め寄るのですが、
手塚太郎、まだ実盛にチーンと鼻をかんでもらうような幼子。

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成人したあかつきに戦場で討たれようと約束して幕。


それにしても、実盛役のこの少年。
長いセリフを淀みなく発し、声もよく威厳がありました。

あんまり上手すぎて「上手い!」と思うスキさえ与えない
・・・それほど上手かったです。

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『一谷嫩軍記 熊谷陣屋』翁山(伊部町組)

熊谷次郎直実に取りすがる女性は
熊谷の妻、相模(小次郎の母)と藤の方(平敦盛の母)。

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熊谷は、息子の身を案じて陣屋を訪ねてきた相模に、
敦盛を討ち取った様子を語ります。

その時、襖の陰から藤の方が・・・

  「我が子の敵熊谷やらぬ」

熊谷に切りかかります。

熊谷はそれをやさしくいなし、
戦場での敦盛の立派な最後の様子を物語ります。

やがて、義経のまえでの首実検となりますが、
その首は、意外にも熊谷の息子、小次郎のものでした。

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  「一枝を伐らば一指を剪るべし」

熊谷は、皇統をひく敦盛を助けよ
・・・と密命を受けており、身代わりに、
涙をのんでわが子、小次郎の首をはね
実験に供したのでした。

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 「演じるのに、大人である必要なし。」

去年の「長浜曳山まつり」のポスターの惹句です。

長浜の子供狂言を見たことのない人は、
ちょっとオーバーな表現だと思うか、いいとこ

 「大人顔負け・・・ってことかな」

・・・という程度にしか思わないかもしれません。

しかし・・・。
世の無常を感じて、剃髪、義経に暇乞いをする熊谷次郎直実が、

 「十六年はひと昔。 アア夢だ夢だ」

・・・と慟哭するラストシーンに、
ジーンとこない人もあまりいないと思います。

その感動は「子供なのによく演った」
・・・とうような感想とは、まったく異質なものです。

  「演じるのに、大人である必要なし」

そんな言葉にするかしないかは別にして、
見終わったあとに、そういった感慨を
抱かない人もいないだろう、と思います。

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by dendoroubik | 2013-04-28 21:00 | ◇長浜曳山まつり | Trackback | Comments(0)