水海の田楽能舞 その5 田村

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「箙」「八島」とともに、勝ち戦の武将を主人公とする
修羅能、勝修羅三番のひとつです。

武者姿の田村麿が戦記を語りながら舞い、
敵をなぎ倒した往時の姿を彷彿とさせる、
たいへんテンションの高い後半部分。



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東国から上ってきた僧が春のある日、
京の清水寺を訪れます。

そこで出会った少年から坂上田村麿が
この寺を建立した謂れ聞いているうちに日は暮れ、
ふたりは月光に照り映える清水寺の桜を楽しみます。

少年は舞いながら田村麿ゆかりの
田村堂へと、姿を消していきます・・・。

残された僧の前に男が現れ、
あの少年は田村麿の化身だろうと語ります。

夜半、僧が法華経を読誦していると、
武者姿の田村麿の霊が現れます。

田村麿はかつて宣旨を受けた際、
観音に参り、願をかけたことを語ります。

その後、見事に賊を討ち果たしたありさまを
舞ってみせるのがこの後半部分です。

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いかに鬼神もたしかに聞け 昔もさるためしあり 
千方といひし逆臣に仕へし鬼も 王位を背く天罰にて 
千方を捨つれば忽ち亡び失せしぞかし 
ましてやま近き鈴鹿耶麻


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ふりさけ見れば伊勢の海 ふりさけ見れば伊勢の海 
阿濃の松原むらだち来つて 鬼神は 黒雲鉄火をふらしつゝ 
数千騎に身を変じて山の 如くに見えたる所に


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あれを見よ不思議やな

あれを見よ不思議やな 
味方の軍兵の旗の上に 千手観音の 
光をはなつて虚空に飛行し 千の御手ごとに


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大悲の弓には 知恵の矢をはめて 
一度放せば千の矢先 雨霰とふりかゝつて 鬼神の上に乱れ落つれば 
ことごとく矢先にかゝつて鬼神は残らず討たれにけり


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ありがたしありがたしや 
誠に呪詛 諸毒薬念彼 観音の力をあはせてすなはち還着於本人 
すなはち還着於本人の 敵は亡びにけり これ観音の仏力なり


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鬼気迫る田村麿の霊の舞ですが、
語られているのは仏力のありがたさであり、
祝言の能としても演じられてきたものだそうです。
by dendoroubik | 2013-02-22 00:00 | ◆越前の祭 | Trackback | Comments(0)
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