水海の田楽能舞 その4 高砂

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  高砂や この浦舟に 帆を上げて
  この浦舟に帆を上げて
  月もろともに 出潮の
  波の淡路の島影や
  遠く鳴尾の沖過ぎて
  はやすみのえに 着きにけり
  はやすみのえに 着きにけり


あまりにも有名な世阿弥の脇能の傑作中の傑作、
『高砂』の後半部分です。



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醍醐天皇の御世のこと・・・。

阿蘇神社の神主、友成が都見物を思い立ちます。

従者とともに播磨国、高砂の浦に立ち寄ったとき、
清らかなたたずまいの老夫婦があらわれます。

高砂の松について問いかける友成に、
松の木陰を掃き清めていた老翁は、

自分は住吉に住む者だから、
くわしいことはこの姥に尋ねるようにと答えます。

このような老夫婦が、
なぜ高砂と住吉に離れて暮らしているのかと訝る友成たちに、

   「高砂住吉の松も相生のやうに覚え」

と老夫婦は『古今集』にある文句を引き合いに出して語ります。

互いに通いあう心遣いがあれば万里の道も遠くないのだ・・・と。

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さらに、和歌の道のめでたさ、常緑の松の永遠性などが語られ
実は、自分たちは高砂住吉の相生の松の精なのだ
・・・と老夫婦は明かします。

そして、住吉での再会を約して
小舟に乗って沖に消え去っていきました。

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残された友成一行は、老夫婦の後を追って、
月の出とともに小舟を出し、高砂の浦から一路、住吉へ向かいます。

・・・と、ここから「高砂や・・・」の後半部分がはじまります。

住吉に着くと、住吉明神が現れ、
月光の下、君民の長寿を寿ぎ、平安な世を祝福するために
神々しく颯爽と舞う・・・それが後半の神に扮したシテのこの舞です。

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  ありがたやの影向や 
  ありがたやの影向や 
  月すみよしの神遊 
  御影を拝むあらたさよ

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  げにさまざまの舞姫の 
  声も澄むなり住の江の 
  松影も映るなる 
  青海波とはこれやらん


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  神と君との道すぐに
  都の春に行くべくは

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  それぞ還城楽の舞

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地   
さて万歳の

シテ 
小忌衣

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  さす腕には 悪魔を払ひ をさむる手には 寿福を抱き 
  千秋楽は民を撫で 万歳楽には命を延ぶ 
  相生の松風颯々の声ぞたのしむ 颯々の声ぞたのしむ


世阿弥は『古今集』仮名序の

  「高砂、住の江の松も、相生の様に覚え」

という一節から、この『高砂』を着想したといわれます。

驚くべき想像力ですね。
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Commented by senbei551 at 2013-02-20 22:45
いい雰囲気出てますね~!!
能面って表情同じなのに、不思議な雰囲気醸し出しますよね。僕も薪能とか好きでよく観に行きましたよ。
Commented by dendoroubik at 2013-02-20 22:57
☆せんべいさん

見る角度や陰影で表情がかわるので
見ていてゾクッとしました
何百年も人知れず 雪深い里でこんなハイブローな芸能がつづけられていたなんて…
想像しただけで 身震いしそうなほどの感銘をおぼえます
Commented by tora003 at 2013-02-21 22:26 x
こんばんは~
私は福井県の池田町も「水海の田楽能舞」も知りませんでした。
国指定重要無形民俗文化財の伝統ある祭礼行事なのですね。
多くの観光客が訪れる祭りとは一線を画す民族伝統芸能の凛々しさが一連の記事写真から伝わってまいりました。

余談ですが、勝山の左義長が迫ってまいりました。
私も日曜日に訪れるつもりですが、どこかでお会いできると嬉しいですね。
Commented by dendoroubik at 2013-02-21 23:34
☆toraさん

実は自分も 池田町がどのあたりにあるのか見当がつかず
雪深そうなところなので ちょっと二の足を踏んでいたのでした^-^;
けっこうな雪の量だったのですが 現地をウロついていると
「今年は雪が少なくて 祭りの雰囲気が出ない」
と みなさん口を揃えておっしゃっていてました(苦笑)

感想をひとことでいうと
「いいものを見せていただいたなあ」 
・・・に尽きます
とても美しものを見た充実感がいまもつづいています
by dendoroubik | 2013-02-20 14:40 | ◆越前の祭 | Trackback | Comments(4)