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水海の田楽能舞 その1 禊

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毎年2月15日、
福井県今立郡池田町水海「鵜甘(うかん)神社」で、
「水海の田楽能舞」の奉納がおこなわれます。
(国の重要無形民俗文化財)

当日の朝「朝戸開きの神事」がおこなわれたあと、
とくに重要とされる「祝詞」「翁」「高砂」を舞う3人が、
11時より水海川で禊をおこないます。

13日から「別火」と呼ばれる、
精進潔斎の生活を送った3人が、
奉納まえに水海川で身を清めるのです。





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3人が遥拝しているのは、
水海川の源流がある標高1464メートルの部子(べこ)山。

(この日はあいにくの曇り空で拝むことができませんでしたが・・・)

その山頂に鎮座する鵜甘神社の上宮。

「水海の田楽能舞」のおこなわれる社は、
その下宮ということになります。

継体天皇の越前時代に 
足羽の水源神として祀られたのがはじまりとされています。

(水海川は足羽川の支流のひとつです。)

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池田町は、福井県のほぼ中央に位置する、
標高200メートル前後の山間にあります。

福井県の観光案内の雑誌なんかにも
載っていないようなところですが、
田楽と能をあわせた、たいへん珍しい。

田楽能舞の伝承される土地として知られています。

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水海の田楽能舞の起源については、
必ずこんな伝説を添えて紹介されています。

 後深草天皇の御世(13世紀中ごろ)・・・

鎌倉幕府第5代執権、北条時頼が
諸国行脚の折、池田を訪ます。

越前から美濃への最短距離を選んだのでしょうか。

現在も特別豪雪地域に指定されているこの場所で、
時頼<は雪に閉じ込められてしまい、
ひと冬、足止めを食ってしまいます。
村人は田楽を舞って時頼の無聊を慰め、
時頼もこれをたいへん喜び、
返礼に能を伝授して翌春、立ち去ります。

鎌倉帰館後・・・
時頼は神主、社家四名を召して数々の恩賞を与えます。 

村人たちは、時頼の徳を敬慕し、
お礼に代えて伝授された能を奉納。

恩賞を拝領した村人の徳を敬慕してすぐ
「時頼神社」を創建し、
お礼に代えて修得した「能」を奉納、
田楽と能を合わせた珍しい田楽能舞が
この地に継がれることとなった由縁である・・・と。

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北条時頼は性格も堅実で、
信仰心も厚い人だったといわれています。

庶民に対しても救済政策を採るなど善政を敷き、
後世、名君と謳われた人です。

北条氏は家柄が低く、
血統だけでは権力の正統性を保持できず、
善政を標榜することでしかそれを得ることができなかったのだ、
という風にもいわれますが、
「名君」説は、彼が僧となって諸国を巡った
・・・という「廻国伝説」を生みます。

その伝説は、謡曲「鉢の木」のような物語を生みます。

上野国佐野に住む佐野常世(佐野源左衛門)
という貧しい武士のもとに、
ある雪の夜、ひとりの旅の僧が宿を乞います。

貧しいながらも食事をすすめ、薪がなくなると
大切な鉢植えの梅・松・桜の木を囲炉裏にくべて
旅の僧に暖をとらせます。

 「落ちぶれているが、『いざ鎌倉』というときには
  鎌倉には、一番に駆けつけ、命を捨てて戦う覚悟だ」

常世は僧にそんな話をします。

その後、鎌倉幕府から召集がかかり駆けつけると、
あの雪の夜に泊めた僧・・・実は前執権の時頼が。

常世の言葉がウソでなかったことを知った時頼は、
褒美として、佐野常世の領地を取り戻してやり、
鉢の木にちなんで、梅田・松井田・桜田の3ヶ所の土地を与えた・・・。

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おそらく水海の田楽能舞の時頼伝説は、
「鉢の木」なんかから生まれたものでしょう。

この伝説は、古くから田楽が盛んな土地柄でに、
美濃能郷などから能が流入したことを
あらわしているのだと思います。

池田町には多くの能面が集中的に現存し、
また、水海以外でも田楽能がおこなわれていたそうです。

それらは惜しくも天保から大正時代にかけて途絶。
「田楽」から「能」への生の発達史を見るような
「田楽能舞」は、ただ水海だけに伝承されています。

神事のあと、午後1時半より、まず田楽がはじまります。
by dendoroubik | 2013-02-17 11:06 | ◆越前の祭 | Trackback | Comments(0)
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