2010年 06月 12日
能登13 ぼら待ちやぐら
穴水湾あたりでは、かつてこういったやぐらのうえで、
ひねもす「ぼら」が来るのを待ち、
魚影が通りかかると網をたぐる
・・・という漁法が盛んだったといいます。
江戸時代にはじまり、
最盛期には穴水だけでも20を越えるやぐらがあったそうですが、
1996年を最後にこの漁はおこなわれなくなります。
現在は根木と中居に観光用のやぐらが組まれ、
海沿いの249号線を走っていると目に入ってきます。
「ぼら待ちやぐら」で検索してみると、
かならずといっていいくらい
「天文学者パーシバル・ローエルが、著書『NOTO』のなかで、
まるで怪鳥ロックの巣のようだ、と表現したことが有名である」
という文章に出会います・・・
しかし、パーシバル・ローエルも怪鳥ロックも知りません・・・
怪鳥ロックというのは、
アラビアンナイトに出てくるワシのことらしいですね。
パーシバル・ローエルというのは
冥王星の存在を予見した19世紀の天文学者で、
明治の日本に5回も訪れた日本研究家でもあり、
こちらの方が有名みたいです。
著書のなかで「ぼら待ちやぐら」を紹介された穴水町には
ローエル顕彰碑が置かれ、訪問した日に当たる5月9日には
「ローウェル祭」なるものが開かれているそうです。
数年まえに、渡辺京二さんの「逝きし世の面影」
という本が評判になってました。
マイナーな出版社から出ていた大部の本で
絶版になりましたが、その後、
メジャーな出版社から復刊され、
そのとき読んでみました。
明治前後に日本に来た西洋人の
旅行記や日記などを渉猟し、
西洋人が未開人を(褒めるにせよ、貶すにせよ)
高所から批評する「オリエンタリズム」ではなく、
彼らが垣間見た、いまはもう失われてしまって
取り返しのつかない日本の「逝きし世の面影」を探求した本です。
センチメンタルな日本称揚本ではありません。
彼らが見た美しく満ち足りた日本は、
日本人自らが放擲し、いまはもう失われたものである
・・・と、きっぱり書かれています。
この本でローエルのことに触れられていたか、
触れられていたとしたら、どのような扱いだったか
忘れてしまいましたが、先日、
扇情的なドキュメンタリー映画で有名な賞をとった
映画監督が来日し、インタビューを聞いていて、
ふとこの本のことを思い出しました。
「日本が大好きだ」
という言葉にも、違和感をおぼえました。
異文化のドアをノックするのに、
入り口を間違ってはるのでは・・・と感じます。
泥吐きをしなければならないのが面倒なためか、
ぼらの刺身を食べる習慣は
穴水以外の他の能登地方にもないそうです。
食べそびれましたが、かなりおいしいそうですね。
by dendoroubik
| 2010-06-12 15:04
| ◇能登半島一周記
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