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能登13 ぼら待ちやぐら

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穴水湾あたりでは、かつてこういったやぐらのうえで、
ひねもす「ぼら」が来るのを待ち、
魚影が通りかかると網をたぐる
・・・という漁法が盛んだったといいます。

江戸時代にはじまり、
最盛期には穴水だけでも20を越えるやぐらがあったそうですが、
1996年を最後にこの漁はおこなわれなくなります。

現在は根木と中居に観光用のやぐらが組まれ、
海沿いの249号線を走っていると目に入ってきます。




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「ぼら待ちやぐら」で検索してみると、
かならずといっていいくらい

「天文学者パーシバル・ローエルが、著書『NOTO』のなかで、
まるで怪鳥ロックの巣のようだ、と表現したことが有名である」

という文章に出会います・・・

しかし、パーシバル・ローエルも怪鳥ロックも知りません・・・

怪鳥ロックというのは、
アラビアンナイトに出てくるワシのことらしいですね。

パーシバル・ローエルというのは
冥王星の存在を予見した19世紀の天文学者で、
明治の日本に5回も訪れた日本研究家でもあり、
こちらの方が有名みたいです。

著書のなかで「ぼら待ちやぐら」を紹介された穴水町には
ローエル顕彰碑が置かれ、訪問した日に当たる5月9日には
「ローウェル祭」なるものが開かれているそうです。

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数年まえに、渡辺京二さんの「逝きし世の面影」
という本が評判になってました。

マイナーな出版社から出ていた大部の本で
絶版になりましたが、その後、
メジャーな出版社から復刊され、
そのとき読んでみました。

明治前後に日本に来た西洋人の
旅行記や日記などを渉猟し、
西洋人が未開人を(褒めるにせよ、貶すにせよ)
高所から批評する「オリエンタリズム」ではなく、
彼らが垣間見た、いまはもう失われてしまって
取り返しのつかない日本の「逝きし世の面影」を探求した本です。

センチメンタルな日本称揚本ではありません。
彼らが見た美しく満ち足りた日本は、
日本人自らが放擲し、いまはもう失われたものである
・・・と、きっぱり書かれています。

この本でローエルのことに触れられていたか、
触れられていたとしたら、どのような扱いだったか
忘れてしまいましたが、先日、
扇情的なドキュメンタリー映画で有名な賞をとった
映画監督が来日し、インタビューを聞いていて、
ふとこの本のことを思い出しました。

「日本が大好きだ」

という言葉にも、違和感をおぼえました。

異文化のドアをノックするのに、
入り口を間違ってはるのでは・・・と感じます。

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泥吐きをしなければならないのが面倒なためか、
ぼらの刺身を食べる習慣は
穴水以外の他の能登地方にもないそうです。

食べそびれましたが、かなりおいしいそうですね。
by dendoroubik | 2010-06-12 15:04 | ◇能登半島一周記 | Trackback | Comments(0)