2009年 09月 01日
東海道2 長安寺牛塔
この石塔(牛塔/ぎゅうとう)の、
あきれるくらいのバカでかさは、
写真では伝わりにくいと思いかもしれません。
高さ3.3m・・・
といっても、まだイメージが湧きにくいかもしれません。
ジャイアント馬場さんが横に立ったとしても、
笠の下のくびれあたり・・・まだ1.2m余します。
少しはイメージいただけたでしょうか(笑)
京都と滋賀の境「逢坂の関」は、
北国や東国へ都落ちする、
どこか寂しげな落剥したイメージがつき纏います。
逆に、都へ入る「更級日記」なんかでは、
晴れがましい期待感を込めて描かれていますが、
現在は国道1号線に車が忙しなく行き交うだけで、
そんな感興を催す暇もない神経症的な場所です。
1号線の改修工事の際に建てられた
「逢坂山関跡の碑」と1794(寛政6)年に設置された常夜灯が、
崖にへばりつくように建っています。
国道はそのまま瀬田方面に直進しますが、
大津市街地方面へ左折していく道が、旧東海道です。
現在の国道161号線で、更に直進すると、
札の辻で北国街道とわかれていきます。
逢坂の関より更に京都側からこのあたりまで、
見るべきものはたくさんありますが、長安寺を訪ねます。
京都側からいくと、小町湯という銭湯の角を左に折れると、
すぐ京阪(京津線)が通り、
そのすぐ向こうがお寺への石段になっています。
石段を登ってすぐに目に飛び込んでくるのが、
この牛塔です。重要文化財。
逢坂の関の東側には、
平安時代に貴族の信仰を集めた大仏で有名な関寺がありました。
平安中期の大地震で倒壊し、再建にあたって
清水寺から運搬用に寄進された牛が
「仏の化身」だという噂が広がります。
藤原道長もこの牛をひと目見ようと参詣したとかしなかったとか。
この牛、工事と同時に死んでしまい、
手厚く葬られた後、この供養塔が建てられたといいます。
この牛塔、鎌倉時代初期の作ということなので
、先の説話とは年代が合いません。
以前、訪ねた湖南の園養寺にも同じような話が伝わり、
牛が祀られていました。
当時よくあった説話を、後世の人が、付会したのかもしれません。
ただ、この胴部分の無意味な大きさ
・・・というか、鈍重さみたいなものが、
牛をリアルに連想させ、そのリアルさが、そ
んな話に妙な説得力を与えています。
そんなことも、あったかも知れないなあ・・・と思わせます。
長安寺は、その関寺の跡地に建てられた
一遍聖人開山の時宗のお寺です。
更に石段を登ると、小さなお堂が見えてきます。
なかから読経が聞こえてきます。
お堂のまえに、石の牛。
石の牛・・・なんですが、牛塔を見た後では、
むしろ塔の方が牛っぽく思えてしまうから不思議です。
お堂の横には「埋もれ百体地蔵」
比叡山焼き討ち等により山麓の坂本に埋もれていた石仏を、
百体ここに集めたもの・・・という説明書きがあります。
一遍聖人供養塔。
小野小町供養塔。
謡曲「関寺小町」に因みます。
(関寺の住職が、山かげに住む老女を訪ね、
歌物語をするうちに、おのずとその老女が小野小町だと知れる、という話)
大津の町並み、東海道が見下ろせます。
そういや、電車から石段が見えていたかもしれません。
また生まれ育った町の発見です♪
このあたり、長等学区、逢坂学区、中央学区の境目で場所じたい、秘密めいています。
唐橋あたりから、東海道を歩こう!と歩いた時、このあたりに社寺がたくさんある事に驚きました。
関蝉丸神社は、線路の前に鳥居があって面白いですし、蝉丸神社上社は高台にあって面白かったです。
あの時の記事アップしないままになっています。
小町湯の奥、京阪の向こうにお寺があることも、牛塔のことも知っていたんですが、ふたつが結びつかなかったんです。今回、歩いてみて、はじめて気づいたと同時に、僕も「秘密めいた」という印象を持ちました。
たぶん、国道と京阪電車の切り方に拠るんじゃないでしょうか。
京都側の月心寺から、逢坂関、安養寺、関蝉丸神社、長安寺まで歩いてみたんですが、1号線は車がビュンビュン、161に折れると交通量は減りますが、ゆっくり歩いてみる気になるようなロケーションではないですねぇ・・・
どれも歴史的価値の高い遺構なのに、もったいない気もします。
関蝉丸神社の記事、ぜひアップしてください!
過去に記事を書いていました。
こちらアルファベットがはねられるので、URLはかけませんが、私のブログで「旧東海道 逢坂の関」と入れれば出てくるかと思います。
記事にはしていませんが、京阪電車の線路の向こうに長安寺の石段が見えている写真もありました。
なんとなく見た記憶があたんですが・・・改めて見たら、ありましたね、蝉丸神社の記事(笑)
線路と迫ってることを表現するために、車両をフィーチャーしようとした写真(蝉丸神社と、長安寺とのちがいはありますが)・・・無意識のうちに、yumeさんのマネをしてたんでしょうか(・・・この記事の3枚目の写真・・・汗)